GUESSの腕時計、電池交換

「電池切れっぽいんですが」と止まった腕時計が持ち込まれた。それでは診てみようかということで、まずは外観から。

GUESSの腕時計

GUESSの腕時計、レディースモデル。写真では全くキレイに撮れていないが、現物はステンレスの輝きと文字板のパール加工が施されており、全く違った印象になる。

クロノグラフ仕様で、裏蓋には「JAPAN MOV’T」の文字が刻まれている。この点から、セイコーからシチズンの汎用クォーツクロノグラフだろうと予想がつく。

慎重に裏蓋を開けて、ムーブメント本体をチェックする。

SII VD54

SII…セイコーインスルツ VD54と判明。使用されている電池はSR920SWで、既にマクセル製のものが組み込まれていたことから、どこかで電池交換を行っていたのだろうか。

新しい電池を組み込むと、すぐにザッ…ザッ…と1秒毎の駆動音が響き、正常動作を確認。裏蓋に記載されている指示に従い、電池のプラス極とリセット端子をショートさせ、リセットする。続いて、クロノグラフの0秒位置を再セットしてから、カウントとリセット動作の確認を行う。各カウンタはしっかり計測しており、リセット動作で60秒計と60分計は逆回転して元に戻る。

全て異常なく、停止の原因は電池切れ。Oリングにはシリコングリスを忘れずに塗布し、裏蓋を閉じて作業完了。

テクニカルガイド上に記載された電池寿命は約2年。クロノグラフを動作させれば、それだけ電池消耗が激しくなることがあり、若干の注意を要する部分。ご依頼ありがとうございました。

ノーメンテナンスの末路

カシオから再びメールが着信しており、もう作業完了したのか…と期待しつつ、Web上に表示される状況ページをチェックする。なるほど、思った以上に内部は傷んでいたようだ。

内部腐食判明

ガラスの内側が曇っているのだから、汗や水分が内部に入ったことは容易に想像できた。それで留まることなく、モジュールまでダメージが及んでいた。この流れでいくと、ほぼ全ての部品が入れ替わることになり、テセウスの船状態に突入。

腕時計を全くメンテナンスすることなく使い続け、いざ修理を依頼すると高額な修理費パターンが発生することは、デジタル腕時計、アナログ腕時計、機械式腕時計全てに当てはまる。メンテナンスフリーなデジタル腕時計であっても、適当な時機に防水検査とパッキン交換、内部乾燥をメーカーに依頼したほうが、より長く使うことができる。

メーカーに預けている時計の指示を行う一方で、電池交換依頼で預かっている時計の作業準備。毎度のことながら、裏蓋の扱い一つで極度の緊張感を抱く。

PROTREKの見積もり結果

手渡されたカシオPROTREK PRW-3500Y-1は、これまでの使い方と今後の維持を考えて、一旦カシオにメンテナンスを依頼。土曜日に発送して、月曜日に到着するよう手配し、今日付けで確かに配達されたようだ。

Webページ上からの申し込みを行った時点で、時計の不具合や交換してほしい部分を予め書いておき、それからどう診断されるのか。恐らく2~3日は掛かるだろうと思っていたら、今日の20時過ぎに早くも見積もり完了メールが着信、若干驚く。

見積もり結果

最も気になっていた、ガラス内側の汚れ。曇っていて、ただでさえ暗い液晶が見えにくくなっている。清掃か何かをするのかと思っていたら、まさかの『くもり除去不可』。この手の不具合は、メーカー対処不能という大きな発見を得る。

もしもメーカーサポートが終わっていたなら、素人修理でガラス内側の汚れを清掃し、復旧を試みるところだ。しかしケース、ガラス、ソーラーパネルでコンプリート化された構造となっていると予想され、どうにも対処できず壊していた可能性もある。

説明文を読んでいくと、ソーラーセル部品を含むケース交換…となっているので、まさかの新品交換となるか。7年前のモデルでも、補修用として部品が残っていることになるのかもしれない。バンド交換も依頼しているため、回路モジュール以外は全部入れ替え。まだテセウスの船状態には至らない。さて、どういう具合になって修理が完了するのだろう。

この調子だと、遅くとも5月中に返却されることになる。気になる修理費の総計は18,495円。

預かっている間に点検

何の前触れ無しに「お前に預けとくわー」と、いきなり手渡されたのがカシオPROTREK PRW-3500Y-1。見た目はG-SHOCKに極めて近く、かなりの大きさの腕時計。PROTREKシリーズだけあって、気圧、高度、方位が計測できて、ソーラーバッテリー駆動、電波時計etc…と実に多機能。

発売当時のニュースリリースは今もカシオ計算機の公式Webサイトで公開されており、なかなかのお値段だったようだ。

いつ購入したのかは分からないが、最長でも7年は経過しており、汚れと傷でけっこうボロボロ。現在までにどのように扱われたかは全く分からず、防水機能の合否や各種センサーの動作状況も不明。「好きに扱って構わない」とのことなので、一旦カシオに送って、メンテナンスしてもらうことにした。

カシオ専用輸送箱

カシオの時計専用輸送箱に収める直前。

7年前のモデルながらも現在も修理を受け入れていることが分かり、これがメーカー送りを即決めた理由。主に機能チェックが中心だが、ケースやバンドを中心として見た目の修復を依頼してみる。

ガラス内側の汚れ

液晶反転モデルなので表示は若干見えにくい。その見え辛さを余計に増しているのが、ガラス内側の汚れ。自前で分解して清掃しても良かったが、先に書いた通り修理を受け付けていることから、まずはメーカーに任せてみるのがスジ。症状申告欄には「風防内側の汚れ」と記載しておいた。

現時点での見積額は、20,000円近くに達する。もう少しで定価の半分近くになることになったが、私が買ったわけではないので問題になる金額ではない。

スペック通りの動作

セイコーCal.8J41といえば、年差±10秒という精度を誇る年差クォーツ。スペック上での電池寿命は約3年。

2018年12月に電池交換を行ったセイコードルチェSACM171…8J41-0AJ1は、2022年3月に入って電池切れ寸前、2秒運針状態から停止に至った。3年3ヶ月で電池切れになった経歴からして、定格を満足しているコンディションと考えられる。

セイコードルチェSACM171とSR916SW

電池を交換するなれば、本来はセイコー純正の指定電池SB-AJを使うのがベスト。とはいえ、今は第一線で使っているわけではなく、ムーブメントの維持のために運針していればOKという保存扱いなので、市販品のマクセルSR916SWを購入。

電池交換依頼なら即作業に入るが、自分の管理下にある腕時計では急ぎではないため、後回しになる傾向がある。使用電池を購入して一旦満足してしまい、交換はまた後ででいいや…と。次の休みの、明るい時間にでものんびりやればいい。

観賞は部品単位でも

腕時計の楽しみ方は人それぞれで、機械趣味がある私はムーブメントを構成する部品単位でも、興味の対象になってくる。そんな楽しみをより深くしてくれるのが、展示用オブジェの存在。

ゼニスのオブジェ

こちらはゼニスのオブジェ。ゼニスといえばエルプリメロと連想するほどで、同ムーブメントが発する軽快なハイビート音、納得できる価格帯、デザインに組み込まれた自動巻きローター…と、特徴やいいところを示すと延々と続く。

このオブジェの中には竜頭、テンプや香箱、各歯車が封じ込まれている。エルプリメロの部品は封入されていないが、それでもゼニスだ。独特の美しさがある。

ロンジンのオブジェ

続いて、ロンジンのオブジェ。航空時計でお馴染みで、さらにはスウォッチ・グループの一員となれば、より身近に感じられる。

バラされたクォーツムーブメントが封入されており、微細な歯車と大きな地板の組み合わせでバランスがちょうどいい。小さなオブジェの中に、精密な部品が大きく広がっている。

腕時計の部品は手に取って見ると苦労させられることがあるが、こうして樹脂の中に封入されていると、簡単に眺めることができる。ゼニスとロンジンの二つとはいえ、機械趣味を満足させてくれるオブジェクトたちだ。

蓄光

時計の針や文字板のインデックスに塗られている夜光塗料。太陽光や室内灯に当てておき、暗くなると緑色に光る。なぜか昔からこの発光が好きで、一時期は暗闇で光るプラモデルをいくつも作り、消灯後に淡く光る様子を毎晩楽しんでいたことがある。

腕時計保管状態

デスク上の腕時計置き場の様子。3本をまとめておいてあり、全ての時計に夜光塗料が塗られている。

蓄光により光る様子

消灯してみるとこうなる。右側で強力に輝いているのは蓄光テープで、暗闇でも最低限の行動ができるようにするための、一種の避難対策。

写真中央はオメガスピードマスターで、宇宙空間や月で使える時計だけあって光り方は目立つ。条件が良ければ一晩中光っており、視認性は抜群。

左側は辛うじて見えているのがシチズンアテッサ、普段使い用。夜光塗料は薄めなのか、十分に光を当てても光っている時間は長くはない。写真上部にはカシオPROTREKが置かれているが、夜光塗料は細い針の先端に僅かに塗られているだけで、殆ど役に立っていない。ELバックライトがあるので、視認性は確保できている。

時計の夜光塗料は緑色が多くみられる。一部のモデルでは青に光るものがあり、ロレックスの時計が思い浮かぶ。エクスプローラーでは鮮やかでキレイな青色に光り、寒色効果もあって引き締まった印象を受ける。欲しいモデルの一つであるミルガウスに至っては、青色と緑色の組み合わせにより、視認性だけでなくデザイン性も良くなっている。

高価なモデルになれば、細かい部分にもコストを掛けられることになり、暗闇で光る時間も段違い。

カシオ G-SHOCK GW-M5610/3159の修理その5

サポート依頼で預かっているG-SHOCK GW-M5610/3159の補修用部品がいろいろ届いたので、さっそく作業開始。

分解前に水洗いして垢やホコリ、石鹸カスを除去して乾燥待ち。完全に乾いたことを確認して、ケースからムーブメントを取り出していく。

液晶パネルが劣化したムーブメント

二年前の修理より、明らかに薄くなっている液晶の表示。結論としては液晶パネルの劣化で、表示が薄くなってしまっている。数多くのG-SHOCKが流通している世の中なので、探せば探すだけ部品は見つかる。現在は液晶パネルの交換を経て正常に復帰している。

交換するには一旦ムーブメントを分解することになるので、さらに細かくパーツを見ていく。大量生産に適した構造になっていて、あらゆる部品がサンドイッチのように積み重なって組まれている。

回路ブロック

回路ブロック。左側にトリマコンデンサと振動スイッチが見える。上部側を大きく占めるコイルは標準電波受信用のアンテナ。

回路ブロックとパネル枠を分離

回路ブロックとパネル枠を分離する。左がパネル枠、右が回路ブロックになる。クォーツ時計/電波時計、ストップウォッチ、世界時計、アラームといった時計機能だけでなく、太陽電池による充電制御回路、ELライトのインバータ回路も含まれている。

液晶パネルとELパネル

さらに分離して、液晶パネルとELパネルまでやってきた。右のELパネルは写真上では白っぽく撮影されているが、肉眼でみるとエメラルドグリーンに近い色をしている。左が問題の液晶パネルで、トラブルを抱えてしまうと修理は難しく、基本的には交換対応となる。

液晶パネルだけでなく、内蔵バッテリーの交換とリセット作業、電波時計としての標準電波受信機能、太陽電池の充電機能を次々にチェックしていく。返却までしばらくお待ちくださいな。

カシオ G-SHOCK GW-M5610/3159の修理その4

ちょうど二年前、カシオG-SHOCKの電池交換依頼に対応した。内蔵バッテリーが不調なのか、ソーラー時計らしからぬ挙動に陥っており、パワーセーブモードになって日付時計が全てリセットされてしまう状態だった。そこで内蔵バッテリーを交換し、一旦は復旧したのだが。

二年で再び同じ症状に見舞われてしまい、さっそく対処することになった。

カシオ G-SHOCK GW-M5610/3159

G-SHOCKらしく、ヘビーデューティに扱われている印象。それはともかく、液晶の表示が以前よりもさらに薄くなっているような気がするが。

薄い表示の液晶

明らかに薄くなっている。以前、分解清掃したときは、ガラス面に付着した石鹸カスによる被膜があり、これで表示が薄く見えていた。今回もその石鹸カスのコーティングか?と思ったりしたが、どうも違う感じがする。液晶そのものが傷んでいるように思える。

ひとまず分解からスタート。

TPOに応じて

先日の休日はフィールドで動き回っていて、このときに身につけていた腕時計はカシオPROTREKだった。普段の業務では分単位の行動が要求され、00秒になった瞬間にはい次!となる場面も多い。よってシチズンの電波時計を使っている。同じ業務でも、事務屋当番になってパソコンに向かってカタカタやっているときは、セイコーに変わる。遠出や出張といったシーンでは、オメガスピードマスターが出番。フォーマルシーンでは、これらの腕時計では場違いなので、ドレスウォッチに切り替えている。こうして、合計5本の腕時計を使っている。

場所に応じて腕時計を選ぶ

面白いもので、他人は当人の腕時計を見ていないようで、しっかり見ている。例えば、寝ぼけて時計をし忘れて会社に行き、ロッカーに放り込んであるチープシチズンを使うと「時計変えた?」といった具合。気の知れた職場環境内でこの状況なので、外の世界ではもっとシビアに見られているし、実際こちらも見ている。突き詰めると、人は人を見かけで判断している要素の一つ。

時刻が分かればなんでもいいという人からすれば、複数の腕時計を持つというのは奇妙に、無駄に見えるかもしれない。しかし、そのときの状況に応じて、服装や靴を変えるのだから、時計も合わせていくのも同じことではないか。