時計を受け取りに

スピードマスターのオーバーホールが終わったから取りにきてちょうだいとメールは来たが、行く暇が無かった。

ようやく時間が確保できたので、銀座にある透明なエレベーターの時計店こと、ニコラス・G・ハイエックセンターまで出かけると。

クリスマス仕様のアベニュー・ドゥ・タン

普段はガラス張りのアベニュー・ドゥ・タンが、雪を思わせる白い装飾に覆われていた。なるほどクリスマスまでの限定仕様か。

オメガのコンプリートメンテナンスサービスを受けると、専用のケースに収められた状態で返却される。

時計ケース

2019年ではメガネケースのような横長ケースだったが、2025年末の今回は四角いケースだ。使い勝手の観点では、明らかに2019年のメガネケース風のほうが使いやすい。この四角いケースは、職場に置いておこう。

プッシュボタンとリューズは新品

今回のオーバーホールでも、プッシュボタンとリューズは新品に交換されていた。コンプリートメンテナンスサービスでは、余程の事情が無ければ新品への無条件交換となっているのかもしれない。

ムーブメントの部品も交換

「ムーブメントの部品も交換しました」とのことで、消耗した部品が見つかって交換措置となったようだ。

あちこちがリフレッシュされ、大きな変化といえばゼンマイの感触が以前とは明らかに異なっていた。これまでのゼンマイはギチギチギチ…と音を立てながら巻かれていたが、オーバーホールを経てカリカリカリ…と小さな音になって軽やかな感触になった。香箱一式を交換していたなら、激変した巻き心地も納得できる。

オーバーホール代

当初の見積もりどおりの価格で、オーバーホールを行う工賃だけでなく、各新品パーツ代が含まれている。そうなってくると納得の価格とも言える。

これで2回目の定期オーバーホールが終了。次回は2030年の見込み。

思ったよりも早い仕上がり

帰り際、スマホがブルブルと振動したので、どうやらメールが来たらしい。信号待ちのタイミングでメールチェックをすると、オメガから「時計のオーバーホールが終わったから取りに来てちょうだい」とのことだった。

修理完了報告メール

本来は来月上旬にオーバーホールが完了する予定で、それから取りに行けばいいかーと思っていたら、まさかの前倒し。さて、いつ銀座に行こう?休日に行けば混雑と店員の余裕の無さでこちらも疲弊するし、できるだけ平日休みが好都合だが。

毎朝のルーティンとして、装着するしない問わず時計のゼンマイを巻いて、一日がスタートする。これがないと何かを忘れているような気がして、なかなか落ち着かない日々が続いていた。そんな我慢の朝が終わるまで、あと少し。

そういえば、どこかの国が日本への渡航自粛としたような報道を見た気がする。銀座も変な観光客で溢れかえり、散歩に適さない街になっていた。京都では早くも混雑が減っているそうなので、こちら銀座も似たような傾向になるかもしれない。

分解掃除は進行中

スピードマスターの定期オーバーホールは進んでいるようで、案内ページではコンディションや作業の進行状況がアップされていた。

時計の状態

この中での懸念事項が、ブレスレット固着気味という判定。時計師による受け入れチェックでも指摘されており、季節問わず装着しているので皮脂や汗がどうしても残ってしまい、それが積もりに積もって汚れになってしまう。

私自身が時計修理をやっていて、ブレスやバンドから出てくる汚れを落とす作業も当たり前のようにやっているだけに、自分の時計の管理が疎かになっている点は、ある種の『医者の不養生』みたいなものか。

ただの固着気味なら、超音波洗浄を繰り返せば大抵はなんとかなる。

ブレスの関節部分の変色

しかし、ブレスの内部から錆のような汚れが出てきたことが、懸念事項に至るわけで。

今のところブレス本体に異常が見つかった等の追加報告はなく、恐らくは超音波洗浄で対処できていると思うが、帰ってくるまではけっこうドキドキかもしれない。このテの純正ブレスは非常に高価で、他のブランドだが正規ルートでは30万円を超えた記録がある。

「季節の変わり目に是非お持ち込みください。クリーニングしますから」と言われるあたり、もっと頻繁に通ってもいいかもしれない。

2回目のオーバーホールへ

うまい具合に隙間時間が見つかり、それならばとスピードマスターのオーバーホールを依頼しに銀座へ行くことにした。

腕に装着したまま店舗へ持ち込むのも、このご時世は考えもの。そこで時計ケースに入れて持っていくことにしたが、本来の時計ケースは全て職場に置きっぱなし。棚に片付けられていた、カメラのケースを転用して持参する。

輸送中の時計のブレス保護

まずはブレスと裏蓋の保護のため、クッション材に巻きつけておく。クッション材として、700系のクリーナーがピッタリだった。700系のクリーナーが手首のサイズより大きく、軽く締めた状態になってちょうどいい。これなら輸送中に外れることはなさそうだ。

時計をカメラケースに収める

カメラケースに入れて、スポンジで包んで輸送準備は完了。銀座へ向かう。

アトリウム ジャルダン・ドゥ・タンのキリン

キリンを眺めながら、見積もり待ち。前回のオーバーホール記録が残っており、6年が経過。テンプの振り角は300°ながら、日差は+17秒。恐らく平置き状態での計測だと思われるが、けっこうな進みが出ているそうだ。その他、磁気入りやブレスが固着気味で、コンディションが下がり始めたタイミングだったようだ。

このままオーバーホールを依頼することにして、時計は預けてくる。コロナ禍を経て、いろいろと変わったところや現状を知るとなれば、やはり正規店に出向いて、店員や時計師と会話をすることが一番と感じた一日となった。

今日はセイコーアルバ

運針が不安定になり、さらには曜日表示機能が壊れてしまったセイコーアルバの腕時計が持ち込まれた。シチズン/ミヨタCal.2035と似たようなコンセプトのムーブメント、セイコーCal.VJ33が搭載されていることに興味を抱いたので、さっそく分解して調べてみることにした。

デイディスクの裏側

いきなりデイディスクの裏側の写真。曜日表示がおかしくなっている状態…日本語表示と英語表示の間、空白部分で止まっている様子を撮影することを忘れており、ここまで分解してから思い出す。

原因としては、このデイディスク裏側の歯車が剥がれるようにして歪んでおり、うまく回転しなかったことによるもの。デイディスクはペラペラのプラシート状で、歯車も似たような柔らかい素材。無茶な扱いをすれば曲がってしまうような印象で、日付変更禁止時間帯に操作を繰り返したか。

デイディスクのクラッチ部分

一段階引いたリューズの右回しと左回しで、日付、曜日の各ディスクの回転を切り替えるクラッチ部分。ここの異常はなさそうで、切り替え歯車のスライドもスムーズだった。

モーター部分

さらに分解して、モーター部分をチェックする。シチズン/ミヨタCal.2035では歯車を含めて金属で作られていたが、セイコーCal.VJ33では樹脂のローターを使っていて、違いが大きく出る部分。ローターそのものは、Cal.VJ33のほうが大きい。

ローターの軸受け部分に異常あり

回路やコイル、サイズの割りに強い磁力を持っていたローターを外し、軸受け部分をチェックする。シャーシに一体成型された穴に軸が刺さるようになっており、これも低コスト化の手段だろう。穴に極小の異物、恐らくは削れた樹脂の破片が入っていて、これが運針を妨げた原因だった。

今回の調査で手軽に購入可能な腕時計…シチズン、スウォッチ、そしてセイコーの各社のムーブメントを分解することができた。3社とも製造コストを下げるための方針や構造がまるでバラバラで、非常に興味深いものとなっている。

セイコーのムーブメントはアンティーク、高級品、普及品までは似たような構造だが、安価モデル向けでは大きく変わってくることが分かった。スナップフィット構造で組まれている部分が多く、ライン上で重ねて最後にパチンと押し付ければ完成するようになっている。使われていたネジは僅か1本。

不調箇所が判明したことで、次の作業工程へ進む。時間の経過と共に日付と曜日の切り替えがスムーズにいくか、精度がある程度保たれているか調査している段階。しばらくお待ちくださいな。>依頼者

番外!宝飾品の修理

時計店では宝飾品も併せて展示、販売されていることが多い。時計も宝飾品の一種としても扱えるので、販売するにも相性がいいのかもしれない。

さて、今日は「切れたから繋げて」と持ち込まれたのがネックレス。修理前の現物チェックをしていると、細かい部品で構成され、使用している金属は高額品かつ柔らかめ、小さな傷が大きく目立ってしまう…と、時計修理と全く同じであることに気付く。

状況としては溶接が千切れており、こうなると専門店に持ち込んでレーザー溶接から仕上げという流れ。本来ならそうするのがベストだが、今までどおり着用できればOKということで、応急修理という扱いで繋ぎ直すことになる。両手にピンセットを持って損傷部分を整え、せっせと直していく様子は、感覚としても時計修理にそっくり。

Pt850

Pt850と刻まれているあたり、純度85%のプラチナ。合金で強度を高めているとされるが、ピンセットで摘まんだ一発目の感覚で「これはヤバい」。ピンセットの先端をよく磨いておき、余計なストレスを与えないよう緊張感を持って作業を進め、修理は30分ほどは要しただろうか。金(Au)を使った時計も扱ったことがあり、こちらも摘まんだ瞬間にビクッとしたことを思い出す。

時計修理をやっている店舗では、宝飾品の修理も受け付けていることがあるが、なるほどこういうことか!と応急修理とはいえ実体験を通じて納得。

いつ銀座に?

毎朝のルーティンは手巻き式腕時計のゼンマイを巻くことからスタートする。その日装着しなくても、ゼンマイだけは巻いて動かし続けている。

今年はスピードマスターの定期オーバーホールの年度。このクソ暑い中、銀座に行きたくはないので、秋口にでも…と思っていた。スケジュールを見直すと、秋口は遊びのイベントが次から次に入る状況で、ストレス発散には実に好都合。さて、そんな合間でどう銀座へ行こうか?と嬉しい悩み。

Cal.1863

オメガは2021年にスピードマスタープロフェッショナルのフルモデルチェンジを発表。所有する7thスピマスプロは、最後のcal.861系ムーブメントとなった。およそ50年以上に渡って、フルモデルチェンジが行われなかったモデルの最終版だけに、今後も使い続けるにはなにかと好都合。

オーバーホールは運送でも受け付けてくれるが、ニコラス・G・ハイエックセンターのあの駐車場をナマで見たいというのもある。こういったお遊び要素も、正規ブティックへ出かける楽しみになってくる。なるべく人と車が少ないタイミングが都合いいが、そんな平日はあるのだろうか。

電波時計でも夏を実感

オフでは機械式腕時計を使っているが、業務では電波時計を使っている。秒刻みで仕事を行う場面が多々あり、そうなると機械式時計では精度が足りなくなってしまう。

電波時計とはいえ基本は32,768Hzのクォーツ時計で、平均月差±15秒となる。毎日標準電波を受信し続ければ、1秒のズレもなく日本標準時に沿った運針が続く。

何かとノイズが多い都心部で、しかも鉄筋コンクリートな居住環境だけに、標準電波を受信しにくい環境が揃っている。幸い、福島県の おおたかどや山標準電波送信所の方角と窓の方角が一致しているため、窓際に時計を置いておけば、翌朝には標準電波を受信して精度が保たれた状態で使うことができる。

夏以外は。

毎年、太陽が強く照り付ける夏シーズンでは標準電波を受信できない日が増えて、気が付くと数秒のズレが生じている。標準電波の受信状況を表示させると「NO」と出ていて、深夜帯に行われる受信が失敗したことを示す。

NICT 情報通信研究機構の日本標準時グループのWebサイトから、標準時・周波数標準のQ&Aに、季節により電波の状況が変わるか?という質問が掲載されている。

探し求めていた疑問はまさにコレ。長波、電離層(D層)と出てくるあたり、電波や無線関係がメインになる。夏以外なら空間波の強度が増すと書いてあるあたり、夏に受信が失敗しやすい傾向は、電波時計の一種の仕様みたいなものかもしれない。

夜間の修正タイミングで標準電波が受信できるよう、置き方や角度の微調整が続いていた。今日になってようやく標準電波が受信できたようで、Hマークで秒針が止まる。

標準電波受信よし

日本標準時とズレがなく、正確な時刻表示はなかなか気分がいいもの。時計を見ながら「あと10秒でチャイムが鳴る…5、4、3、2、いーち!」で、チャイムが鳴れば「ほれ鳴ったよ!定時でさっさと帰れ!」と職場から帰すのも重要な仕事の一つ。

純正部品集めは時計でも

社会人生活で、栄養ドリンクを口にした回数が最も多かった週かもしれない。朝に一本、寝る前に一本、錠剤タイプの栄養剤も投入とか。ここのところは1日休みばかりで、体力の回復が追いつかない。さすがにやってらんねぇということで、月末に有休を突っ込んでおく。

ちょっとした事情でセイコーのオールドクォーツ、ダイバーズウォッチ(7548-700B/ペプシ)の電池交換を急遽計画、同時にバンドやパッキンを交換することになった。この先、ノーメンテナンスかつ潮風環境で使われることになり、今のうちにリフレッシュしておかなければならない。

耐久性を優先するため電池やバンドはセイコー純正をチョイスし、これらは入手性に問題はなし。逆に配送タイミングを間違えると、なかなか到着しないのがパッキン。店舗に在庫があって、なるべく早く配送されるショップを見つけて発注し、すぐに送られてくる。

セイコー 0C3060B0A

オールドクォーツといえど、裏蓋の基本構造は現在まで受け継がれているようで、適合モデルとして扱われている。全ての部品は揃わなくなっているが、傷みやすいパッキンが手配できるならそれだけでも大助かり。

パッキンを個別部品として購入すると、チャック付きポリ袋で送られてくる。セイコー純正とされるが、この梱包状態からイヤでも社外品のように見えてしまう。しかし、セイコー純正であると信じておく。

充電しようそうしよう

今日の時計修理依頼は、カシオG-SHOCK。G-5600RB 2597というモデル。しかし、事前に貰った情報は「G-SHOCK」「液晶が消えたまま」の2点。現物をチェックしないとなんとも言えないので、まずは持参してもらう。

するとG-5600RBと判明し、ソーラー充電システム機能がある。まずは太陽光が当たる窓際に半日程度放置してみると、運針が再開。太陽電池による充電機能を知らない人が、時計店に電池店を依頼しにやってくる…とは聞いたことがあるが、なるほどこれのことか?と妙に納得。

異変に気付くのはここから。各ボタンの動作状況をチェックしていたところ、液晶を照らすELバックライトが点灯しない。点灯回路に不調があるとお手上げだが、ここが壊れることは相当なトラブルとなってしまう。ELバックライトを点灯させようとすると、液晶にはRECOVERの文字が点滅していることに気付く。

G-5600RB RECOVER表示

説明書によれば、電池に大きな負担が掛かったときにRECOVERマークが点滅し、ELバックライトや電子音が機能しなくなるとのこと。そういえば、ボタンを操作する度に鳴るはずの電子音も鳴らない。

フル充電表示のインジケーターは電池残量が減っている表示に切り替わっていき、すぐに要充電表示となる。となると、内蔵されている二次電池の寿命が疑われる。

続いて外装をチェックする。加水分解は無いが、裏蓋や尾錠に錆があって、全体的なコンディションは良くない。本来ならメーカーに送って修理するのがスジであり、取次として送り込んでしまうのもあり。今回は使えるまでには復旧し、メーカーへの修理依頼は所有者自ら行ってもらうことにする。