石川県にあるコスモアイル羽咋は、アポロ月着陸船や探査機を展示している博物館とのことだ。アポロ計画ファンとしては行っておかなければならず、ついでに片道500km程度なら日帰り圏内なので、さっそく行くことにする。
まずは公式Webサイトを読んでおき、展示品等をしっかり調べておく。なぜ羽咋市に宇宙関連の博物館ができたのかといったことも併せて。「香港もイギリスに100年借りられてたのだから、月面・火星探査機や月の石を100年貸してよ」という逸話がある。

能登半島の付け根に当たる部分に、コスモアイル羽咋がある。公式Webサイトのアクセス情報では、東京から7時間となっている。目安タイムとして参考にしておき、では実走するとどうなったか。

本当に7時間を要した。トイレ休憩を含むが、できる限り走っているよう心掛けてこの結果。正直なところ、東京から青森へ行くより精神的疲労は激しい。

コスモアイル羽咋に到着すると、真っ先に視界に入るのがマーキュリーレッドストーンロケット。弾道飛行用ロケットとはいえ、元を辿れば弾道ミサイルであり、妙な迫力がある。胴体がマグネシウム合金なので錆知らず、野外展示に耐え続けている。

マーキュリーレッドストーンロケットの先端に装着され、宇宙へ飛んだのがこのマーキュリー宇宙船。

中を覗く。「マーキュリーは宇宙船に『乗る』のではなく『着る』」という表現があったそうだが、中を見て納得。多数のスイッチ類に囲まれ、身動きできる空間は殆ど無し。無重量状態なら上下の区別は無くなるが、それでも狭いだろう。
宇宙飛行士がいて、自らの手で操縦してこそ!というアメリカに対し、宇宙開発競争の相手だった旧ソ連はどうだったか。

こちらは旧ソ連が打ち上げたボストーク宇宙船。実際に打ち上げられ宇宙を飛び、大気圏再突入を経た実機とされる。裏話的なものとしては、共通設計だった無人偵察衛星を転用し、有人宇宙船として仕上げているそうだ。

ボストーク宇宙船の内部。マーキュリー宇宙船に対し、ボストーク宇宙船は計器盤らしいものは極僅か。人間である以上、宇宙空間で操縦ミスをさせるわけにはいかぬ!と、コントロールは地上側から行われていたことが背景にある。アメリカの宇宙飛行士がソ連の宇宙船を見て「何もないではないか」と驚いたとか。

アポロ司令船。長野県原村に展示されているものとは異なり、船内には入れない。モックアップだが、船体表面に張られている銀色のフィルムは本物だとか。手垢でベトベトだったが。
背後には巨大なオメガスピードマスターが展示されている。

そのスピードマスター、月へ持って行ったことを展示していた。文字板を詳細に見れば、製造世代がある程度掴める。ガラスケースと照明のバランスが悪く、うまく撮影できなかった。

今回のドライブ目的は、このアポロ月着陸船。サイズ感が知りたく、ここまで走ってきたようなもの。当然モックアップだが、金色や銀色に光る断熱シートは本物らしい。猫背でちょいと疲れた様子の宇宙飛行士のおかげで、月着陸船の大きさが掴みやすい。
鳥山明氏がデザインしたような宇宙船で、見た目は完全に虫。完全に空気が無いところを飛ぶため、このような形状になった。船体の殆どが燃料タンクで占められており、軽量化のために宇宙と船内の隔壁はアルミホイル一枚に満たない部分もあったとか。後期型の船体では、発電用原子炉や月面車が装着され、さらに賑やかになる。

月面から月着陸船を見上げると、こういう感じで見えるのかもしれない。

月面用の宇宙服。常に飛び交っている微小隕石、強力な宇宙放射線、直撃する太陽熱や光から身を守るため、これだけ分厚くなってしまう。ここでもオメガスピードマスターが展示されていて、左腕に巻かれている。

アポロ船内で着るツナギ。薄い服であることが一目で分かる。事故を起こしたアポロ13号では、節電のために暖房機能が停止させられた。水滴が凍り付くほど寒くなった船内で、この薄手の服で過ごすことになった。これは寒いぞ。

天井にはアメリカのボイジャー惑星探査機(モックアップ)と旧ソ連のモルニア通信衛星(実機)がぶら下げられていた。
ボイジャー惑星探査機は1977年の打ち上げで、現役で稼働して観測を続けている。現在も通信が確立して日々の観測データ等を送受信しているが、その通信速度は160bps(=20バイト/秒)。ボイジャーへ信号を送って、その返答が来るまで一日半掛かる。
決して大きくはない館内だが、展示物はけっこう濃い。ただ、宇宙をイメージしたのか照明は殆どなく、写真撮影は基本的に不向き。眺めて記憶していくという、本来の博物館見学スタイルが強いられる。

野外のマーキュリーレッドストーンロケット前はロータリーになっていて、係員に尋ねてみると「車、入れますよ」とのことだ。というわけで、シビックRとロケットを並べて撮ってみる。
往路に7時間を要していた。復路では渋滞を考慮してより時間が掛かることになるので、早くも出発時間となる。片道500kmならまた訪れることができる場所だ。十分に日帰り圏内なので、また訪れればいい。

復路では、糸魚川市から下道で南下するコースを採った。R148は何度も経由した道で、走り慣れたコースのほうが精神的にラク。総走行距離は1,000km。
コスモアイルは「宇宙の出島」という意味があるそうな。