S15シルビアのエキマニに取り付いている遮熱板を外そうとしたが、錆でガッチリと固着してボルトは回らなかった。しかも、なんとか緩めようと力を加えていったところ、ヌルッ…という嫌な感触が手に伝わり、ボルトの頭をなめてしまった。

これが遮熱板。写真上では4本のボルトが写っており、残り1本がコネクタのステーの下に隠れている。 頭をなめてしまったのが、一番左側のボルト。ちょうどオイルレベルゲージのすぐ横側に位置している。なめたボルトを外す戦いは、車だけでなく、あらゆる機械いじりをする人が挑む。というわけで、戦闘開始。

残念ながらグラインダーでボルトの頭を飛ばす、バーナーで炙るなどの直接破壊兵器は持っていない。そこで、和光ケミカル(WAKO’S)製の浸透潤滑剤、ラスペネという化学兵器を投入した。 強力な浸透力と潤滑性は、ホームセンターでおなじみ、KURE CRC 5-56とは比べ物にならない性能を誇る。ボルトに吹き付けて、しばらく放置…。再びボルトに吹き付けて、また放置…。これを午前中いっぱい繰り返し、ボルトに浸透させておく。

頭をなめたボルトを外すために、強力な支援兵器が用意された。ナットツイスターと呼ばれるソケットだ。ツイスト形状の切れ込みが、なめたボルトの頭を巻き込むようにして噛みこんで回す。ソケットが深くなるにつれて狭くなっていることから、ボルトの頭が差し込まれるだけ、強く噛み付くようになっている。
ラチェットに加える力を少しずつ強めていくと、ゴキッという感触と共に、ボルトが回り始めた。 錆で固着、頭がなめているという最悪の条件をラスペネとナットツイスターで克服し、ボルトとの戦いに見事勝利。(実際のところ、ボルトは折れてしまうだろうな…と半信半疑だった)

残る4本のボルトは順調に外れ、ヘッドカバーにつながる2本のブローバイホースを抜き、あとは知恵の輪感覚であれこれ…。ようやく、遮熱板を外すことができ、エキマニを見ることができた。メーカーは日立製で、この下にタービンが装着されている。なるほど、不等長エキマニのようだ。SRエンジンのゲロゲロドコドコサウンドは、この不等長エキマニが要因のよう…んっ…?

げ、エキマニがパックリと割れている。4番パイプの上部全体に渡ってヒビが入り、下部はかろうじてつながっている状態。社外品のステンレス製エキマニが割れることはよく聞くが、鋳造の純正エキマニが割れるとは。
割れた原因を探るために、現物を前にしてシミュレーションを行ってみた。
まずは前オーナーによる、パワーだけを優先したブーストアップが第一の原因で間違いなさそう。エンジンの回転による反動トルクは、パワーが増すだけ大きくなり、それが大きな振動というカタチで現れる。急激な操作を行うたびに、強烈に揺さぶられるエンジン。エキマニを介して吊り下げられたタービンや、フロントパイプも振動する。これらのパーツそれぞれが好き勝手に振動を繰り返し、そのストレスがエキマニの割れとなってしまった…。硬い金属に対する曲げや振動といったストレスは、最も弱いところに集中する。このS15シルビアのエキマニの場合、唯一独立している4番パイプにストレスが集中して割れてしまった…。こんなところだろうか。
エキマニの割れは表面的なものなのか、それとも完全に貫通してしまっているのか。答えは遮熱板の裏側を見れば、すぐに分かる。

黒いススを発見。貫通している割れだった。間違いなく重傷レベル。現オーナーはさっそく、交換を計画し始めた。タービンに接続する、オイルや冷却水のパイプも同時交換を視野に入れるようで、リフレッシュ修繕となるそうだ。どのように仕上がるのか、楽しみがまた一つ増えることになった。
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