第二次帰宅大作戦

台風15号が都心に直撃した。運悪く帰りのラッシュ時間帯であり、JR、私鉄各線の公共交通機関は全滅した。交通手段が失われたことで、あの忌まわしい3月11日の震災発生時を思い出させる。まさか一年で二回も帰宅困難な状況になるとは思わなかった。

17時に会社を出て、この時点でJR線は全滅。京急等の一部の私鉄線が、まだ動いているとの情報だった。ところが、品川駅に到着する直前に「京急が止まった」という声が聞こえて、調べてみると確かに止まっている。不安を抱えたまま、品川駅に向かう。同駅の港南口と高輪口を結ぶ自由通路は早くも人で溢れていて、動くことすら困難。何とか改札口に到着し、まず京急の状況を見てみようと、京急とJRの乗り換え改札口のほうに向かう。すると、改札口そのものをシャッターで物理的に遮断していた。ここまでやるのか…。

少々のことでは止まらない京急が止まっているのだから、事態はかなり深刻と判断できる。この時点で、帰宅手段は徒歩しかなくなった。しかし風雨共に強くて、とてもではないが歩ける状況ではない。既に野戦病院さながらの光景になっていた品川駅で、ひとまずパンとお茶を買い込んで、長期戦を覚悟する。コンコースはどこも人で溢れていて、落ち着いて待機できそうもない。東海道線ホームに降り立ってみると、コンコースに比べて人は少なめで、ここで待機。

18時を回ったころから次第に暴風雨が強さを増し、完全にピークを迎えたようだ。どうすることも出来ないし、パンを食べつつWeb小説を読みながら、落ち着くのを待つ。一時間経過して、19時。いつの間にか雨は止んでいて、風のみが吹き荒れている状況となっていた。それでも強風による規制で、運転再開の見込みは立たない。さらに時間が経過して、山手線、京浜東北線の運転再開の情報が流れ始めた。つられて東海道線も運転再開するかなと期待したが、全くダメ。しかも、運転再開したはずの京浜東北線は再び止まったようで、悪い状況は全く変らなかった。

運行情報をチェックし続けていると、東京モノレールが通常運行中との情報が入った。しかも、山手線内回りも動いている。一旦浜松町駅に向かい、そこから東京モノレールで天空橋駅に出て、徒歩で帰る…これしかない。超混雑のコンコースを横断して、山手線ホームに出る。幸い、山手線内回りの1番線はガラガラだった。待つことなく電車が滑り込み、ようやく帰宅に向けて動き出した感じ。空いた車内で一休みしつつ、徐行運転で浜松町駅に到着。東京モノレールは定時運行を行っており、やはり待つことなく浜松町駅を出発することができた。通行止めとなった湾岸線を追い出され、交通集中による渋滞となった横羽線。空港西入り口付近で、トラックがガードレールに刺さっているのも目撃。カオスな状況となっている横羽線を眼下にしつつ、スムーズ天空橋駅に到着。ここからは徒歩だ。

3月11日の震災の日は、品川から地元まで9kmの徒歩となったが、天空橋駅からならば、大したことはない。強風が吹き荒れる中、やはりショートカットを繰り返しながらテクテクと歩いていった。先日から足首を痛めていて、今日も痛みが残っていた。日中はロキソニン(鎮痛剤)で痛みを散らしていたが、さすがに効果が切れるはず。予想通り、歩いていると次第に痛み出す足首。普通に歩くのも困難で、足を引きずるようにして歩き続ける。

多摩川の橋に到達すると、運転再開しない理由が体感できた。油断すると、本当に吹き飛ばされそうなくらいの横風が吹き続けていた。痛みを堪えつつ、ようやく家に到着したのは21時ジャスト。会社を出てから4時間後のことだった。

震災時と違って、停電は起きておらず道路は明るかったし、コンビニパニックも無かったので、危機感や精神的な焦りといったものは一切無かった。帰宅後の調査では、家に到着する直前に、東海道線、京浜東北線、京急線それぞれが運転再開したとのことだった。昨日に引き続き足首の激痛に悩まされることになったが、東京モノレール経由での大回りコースでの帰宅が、大正解となった。あのまま東海道線の運転再開を期待して品川駅で待っていたら、帰宅は0時近かったかもしれない。さすがに疲れた。