地球の上空400kmを飛行する国際宇宙ステーションは28,000km/h、秒速にして7.8km/sという速度で動いている。船体が機能し、人間が船内で活動するには、燃料や酸素、水や食料、衣料といった消耗品を随時補給せねばならず、日本からは宇宙ステーション補給機HTV=こうのとりが運用されている。
宇宙を7.8km/sで飛び続ける宇宙船同士が接近して、相対速度をゼロに調整し、衝撃のストレス無くドッキングして一つの宇宙船として成り立つまでの過程は、極めて熟練した技術を要し、また危険なプロセスの一つ。旧ソ連、ロシアが運用していたミール(宇宙ステーション)は、1997年に行われた手動ドッキングテスト中に衝突事故を起こし、空気漏れと電力不足を起こしている。
二つの船を連結するドッキングは、月への一番乗りを目指す宇宙開発競争でも行われていた。月へ実際に降り立つ月着陸船と、地球と月を往復し、月上空で待機しながら母船となる司令船においても、ドッキングが行われていた。

円錐形のアポロ司令船の先端には、月着陸船とドッキングするメカが装着されている。細いアーム状のパーツで構成されており、これがどういう仕組みで月着陸船とドッキングして、しかも船内の気密を保つことができるのか。これが意外とナゾだったりする。アーム状のパーツを片付けないと、飛行士は月着陸船と司令船を行き来できず、月に降り立つこともできない。
莫大な税金で月飛行を実現している背景から、レポートや技術解説は全て保存、公開されており、情報提供や学習目的で使用するには自由となっている。そんなアポロ宇宙船のオペレーションハンドブックを読み、少しずつナゾを解決しているのが、ここ数日間の、夜の定例パターンとなっている。

ドッキングに要するメカは、上のブロック図。DROGUE ASSEMBLYが月着陸船側、PROBE ASSEMBLYから右側全てが司令船側となる。

PROBE ASSEMBLYについては、2014年に幕張メッセで開催された『宇宙博2014』での実物展示品を撮影している。これまで調べたところによれば、月着陸船と司令船が正しい位置になって、いきなりドッキングするのではない。
まず、PROBE ASSEMBLYの先端にある円錐形の部品、キャプチャーラッチASSYが月着陸船側の漏斗状部品、DROGUE ASSEMBLYを掴む。次にキャプチャーラッチASSYの中心にあるシャフトを中心軸に、二つの宇宙船を近づけていく…という流れ。

左側にあるキャプチャーラッチASSYの図に描かれたラインを辿っていくと、行き着いた先に四本のPRESSURE SYSTEM NITROGENボトルが備わっている。
DROGUE ASSEMBLYを掴んだままキャプチャーラッチASSYが引き込まれ(押し込まれ?)、月着陸船と司令船が接近、接触することになりドッキングへ至る。しかも空気漏れを起こさないよう完全に密着させておき、まるで傘を折り畳むかのようにしてPROBE ASSEMBLYを外した後も二つの宇宙船が絶対に離れないよう繋ぎ続けておかなければならないが、ここでまたもやワケの分からない部品が出てきた。

それがこのラッチと呼ばれる部品(図の左側)。先のドッキング用メカのブロック図において、DOCKING RING(CM)の内側に1から12の番号が割り振られ、LATCH ASSEMBLIESと名付けられている計12個の部品が、次のナゾ。
LATCH HANDLEを動かすことによって、月着陸船のトンネルリングと司令船のトンネルリングがどういう仕組みで密着するのか。ナゾがナゾを呼ぶ。今のところ、キャプチャーラッチASSYを使って細い棒でのドッキングとなり、そこからLATCH ASSEMBLIESを使っての本格的なドッキングが実現することまでは分かった。
小学生か中学生の義務教育時代、図書室で読んだ月絡みの図鑑において、このLATCH ASSEMBLIESの解説があった記憶がある。それがどういう図鑑だったかまでは覚えていない。青い図鑑で、でかでかと『月』という表題だったような気がする。