アポロ11号が月面着陸に成功した1969年7月21日(日本時間)からちょうど50年後、スピードマスターのオーバーホールを依頼した。銀座のニコラスGハイエックセンター、オメガ カスタマーサービスへ持って行き、そのまま預けてきた。コンプリートメンテナンスサービス、いわゆる正規オーバーホールだ。
流れとしては、その場でカスタマー インフォーメーション システム(CIS)の登録を行い、店員に登録メールを見せてアカウントができたことを報告し、伝票を受け取って店舗手続きは終了。以後はWebサービス上でのやり取りに変わる。
■7月21日
銀座のオメガ カスタマーサービスへ行き、時計を預ける。CIS登録。
■7月22日
スウォッチグループジャパンから時計を預かったとメールが着信する。
■7月24日
分解され、見積もり作業完了とのメールが着信する。CISのマイページにも時計の状態が表示される。時計の状態によっては本国送り扱いとなり、そうなるとWeb上からの確認はできなくなって、郵送で見積書が届くという流れに変わるそうだ。

外装の傷が全てチェックされ、表示されている。ムーブメントについて記載がないのは、遅れや進み、帯磁といった不具合が特にないためだろう。オーバーホールにはライトポリッシュ作業が含まれているので、これらの傷がどう修正されるか。
最初からオーバーホールを依頼していたため、見積もり結果による作業の続行、キャンセルという判断待ちはなく、このままオーバーホール作業が進むことになる。この時点では、仕上がり予定日は8月22日。
■8月15日
オーバーホールが終わり、時計を渡せるようになったからオメガ カスタマーサービスへ来てくれというメールが着信。お盆休みを挟むため多少日数が延びることを覚悟していたが、実際は予定より一週間ほど早く終わり、少々驚かされることになった。
■8月18日(本日)
台風10号からの南風と熱気で、最高気温が34℃に達する危険な暑さの中、銀座まで時計を引き取ってきた。あまりの暑さと日光の強さで、歩行者天国になっている大通りも、殆ど人がいないという環境。
それでは、オーバーホールにおけるライトポリッシュで、スピードマスターはどのような変化をしたのか。作業前と作業後の比較写真だ。

作業前の竜頭、クロノグラフのプッシュボタン周辺。カップラーメンタイマーから経過時間の測定等でクロノグラフ機能を使う場面はけっこう多く、このように垢由来の汚れがたっぷり付着。

オーバーホールで洗浄され、キレイになった。正規オーバーホールによる最大の強みがココにあって、竜頭、クロノグラフ用のプッシュボタン二つは、純正新品に交換されている。防水性を確保するための措置だそうで、分解してOリングだけを交換するのではなく、一式で交換するとは初めて知った。問答無用で交換するほうが、品質確保と作業時間の短縮に繋がるメリットも存在する。
世間の時計修理業では、Oリングの交換に留めるのではないか。しかも、スウォッチグループは社外への純正部品の供給を止めているので、細かい部品が入手できないとジェネリックと呼ばれる互換品か、純正部品であっても非正規ルートによる高価格での仕入れになってしまう。こうした流れを受けて、将来的にはスウォッチグループの時計全てが、メーカー取次ぎ扱いに変わっていく可能性もありそうだ。

ケースの側面に入った縦傷。

研磨によって傷は消えており、表面のヘアラインもキレイに維持されている。

裏蓋には放射方向への傷が入っている。腕に砂埃が付着したまま、時計の装着と外しを繰り返して、このような傷になってしまったのかもしれない。数ある傷の中で、最も消したかったのがこの部分。

無事に消えて、本当に一安心。この部分は傷つけないよう、今後は丁寧に扱っていきたい。

ブレスのバックルは、机の上に置いたときなどに傷が入るようだ。傷の方向性はバラバラ。

研磨によって、ヘアライン地の整ったバックルが戻ってきた。
正規オーバーホールに付帯するライトポリッシュによって、ここまでキレイになるなら十分なサービスだ。肝心のムーブメントについても、分解と洗浄における異常は見当たらず、しっかりと注油して組み立てたことが報告された。

オーバーホール後の保証期間は2年間。正規オーバーホールなので、総費用は84,240円。この中には竜頭と二つのプッシュボタン代が含まれており、部品代だけでも30,000円近くに達するものと思われる。これら交換部品代や作業料等を考えると、メーカーの正規オーバーホールと世間の時計修理業でのオーバーホールでは、費用の差は縮んでくる。しかも保障期間が2年と長く、正規ならではの特長。
オメガの正規オーバーホールなら部品供給問題を無視できて、高価と思える総費用の中には交換した部品代が含まれ、保障期間が長い。オメガの時計に限れば、オーバーホールは世間の時計修理業よりも、オメガカスタマーサービスで受けたほうが有利と判断できる。「機械式腕時計のオーバーホールの重要性を説く→正規料金はこんなに高い→○○時計店では正規に比べてこれだけ安い」という三段オチのアフィリエイトサイトには記載されない、実際のリアルを目の当たりにすることになった。

店頭引取りでも、時計の輸送ケースがプレゼントされた。ちょうど会社用に一つ欲しかったので、これには大助かり。





