本日の記事における画像データ及び数値データ全ては、ISAS/JAXAとNASA-JPL(ジェット推進研究所)に著作権が帰属している。
毎日のWebサイト定期巡回のコースの中には、ISAS/JAXAが公開している『はや2NOW』がある。小惑星探査機はやぶさ2の電波通信の運用状況について、ほぼリアルタイムで眺めることができる。詳しい説明に関しては、はやぶさ2プロジェクトの公式Webサイトのトピックスにて掲載されている。
平日の日中であれば、日本の臼田宇宙空間観測所とはやぶさ2が通信している様子が表示されることが多い。海外のアンテナを使うこともあるようだが、日本から一旦海外のアンテナを経由し、それからはやぶさ2という遠回りになるためか、使っている様子を見る機会は少なかった。
昨日の22時前にはや2NOWを開いたところ、はやぶさ2に搭載されている高利得アンテナ(ハイゲインアンテナ=丸い円盤型のアンテナ)が点滅しており、何かしらの通信を行っていることを示していた。リュウグウ到着がいよいよ近づき、高い精度でのコントロール等を行っているのかもしれない。

はやぶさ2の背面に装備されている、二つの高利得アンテナのうち、向かって左側が動作中。右側にあるアンテナ表示欄においても、XHGAが点灯している。

今度はNASAのジェット推進研究所にて公開されている、Deep Space Network NOWへアクセスしてみる。すると、スペインのマドリード深宇宙通信施設にて、HYB2という略称と共に、アンテナからデコボコした波が出て、または向かってくる様子が描かれている。 HYB2はそのまま、はやぶさ2を意味する。
デコボコの波はデータ信号を表しており、滑らかな波であればキャリア信号となることが、Deep Space Network NOW内のインフォメーションページにも記載がある。

通信中のアンテナをクリックすると、アンテナのコードネームと共に、向きや角度が表示される。AZIMUTHはアンテナから見たはやぶさ2の方位角、そしてELEVATIONは角度(仰角)となる。はやぶさ2に限らず探査機の位置が、地球の自転の都合で俯角側…地平線より下側になってしまうと、当然ながら通信はできなくなる。世界中に張り巡らされたアンテナ群を使い、常に仰角側で探査機を追跡できるような仕組みが構築されている。
左側がDeep Space Network NOWでの表示、右側がはや2NOWでの表示。日本とスペインの距離…通信速度の差もあって、微妙に数値が異なっているが、方位角159度、仰角69度が一致している。はやぶさ2との通信はマドリード深宇宙通信施設のDSS-54を使っているためか、はや2NOW上でのDSS-63は未表示、通信状態には何も出ていない。
Deep Space Network NOWでの表示枠の中に、小さく+more detailの一文があり、クリックするとアンテナと探査機のリンク状態を表示する詳細画面が広がる。

アップシグナルが地球からはやぶさ2、ダウンシグナルがはやぶさ2から地球となる。このときの送信速度はなんと秒速15.00バイトという、ダイヤルアップもびっくりのチビチビとした通信だ。対する受信速度も、秒速4.10キロバイトとギガ級の速度に慣れた身からすれば、本当にゆっくりとした速度。ちなみに、この直後に送信速度が秒速999バイトまでアップした。
地球とはやぶさ2の電波が往復するのに、約30分は掛かる。「調子はどう?」と聞いて「万事OK!」と返事が来るまで、30分。地球と月での電波の往復が2.6秒だった点からしても、相当遠くの位置を飛んでいることまで分かる。
地球からは17.70kWで送信しているが、はやぶさ2からの返信は2.91×10のマイナス20kWとは、相当微弱な電波と何となく分かるし、それを識別できる解析能力も凄い。電波の送信と受信に絡む計算は、全く分からないのが残念。
Deep Space Network NOWでは、その他の探査機(…というより、NASAの管理下なので、こちらが本命)との通信が表示されている。例えば、こちら。

1977年8月20日に打ち上げられたボイジャー2号は現役で運用されており、数年以内に太陽系を脱出する見込みとのこと。ボイジャー2号は、オーストラリアのキャンベラ深宇宙通信施設にて追跡されており、秒速159.00バイトで観測データを受信していた。
アポロ計画だけでなく、宇宙の探査や各種観測計画の大ファンだったりするので、この手のリアルタイムなデータ表示のWebサイトはお気に入り。刻々と変わる数値を眺めているだけでも、宇宙の彼方とはいったいなんだろう?と夢が膨らむ。電波の通信時間で地球と探査機の距離計算、通信速度の換算はアタマの体操にはちょうどよく、今回は新たに電波の計算にもチャレンジできそう。
小惑星への到着前からトラブル続きだったはやぶさに対し、はやぶさ2は順調なフライトが続く。今日の時点でリュウグウまで700kmを切っており、東京から青森までの距離と同等になった。2020年末の地球帰還まで頑張れ!