二日間の休養を経てセイコーダイバーズウォッチのメンテナンス作業、再スタート。

キズのないガラスをケースに組み込む。各部のOリングにシリコングリスを塗布して、しっかり締め込んだら、簡易的な防水検査を行う。
日本におけるダイバーズウォッチは、JIS B 7023:1993で規定されている、ただ、このダイバーズウォッチは日本産業規格(JIS)として制定された1993年以前のモデルなので、規定に沿える要求事項に該当しない部分ばかり。例えば、逆回転防止ベゼルは無い、第1種耐磁時計に設定されていない等。
ただし、要求事項には簡易的な防水検査に使えるテスト項目があり、これをベースに『雨、洗顔、手洗いといった日常生活で水が時計に付着する場面で、最低限の防水性能を維持』できるか、自己責任でチェックしてみる。
JIS B 7023:1993の要求事項、6.4.5に耐熱衝撃試験が制定されており、潜水時計を次の順序で水深30cm±2cmの水中に浸す試験がある。
a)40±2℃の水中に10分間
b)5±2℃の水中に10分間
c)40±2℃の水中に10分間
時計を湯から水へ移す際は、1分以内に行う。また、このテスト後に6.4.9結露試験を行うことが要求されている。
a)時計を40℃〜45℃の間に設定した加熱板に載せ,時計のガラスが加熱板とほぼ同温度に達するまで置く。加熱時間は、個々の時計によって異なる。その間、ガラス内面への水滴又は曇りの発生の有無を目視によって観察する。
b)加熱板上の防水時計のガラスの上に 18℃〜25℃の水滴、ぬれ布又はぬれパッドを置く。
c)約1分後乾いた布でガラスを拭く。ガラス内部の表面に結露ができた時計は、防水不良とする。
注記1 時計が湿気で飽和状態にある環境に置かれた場合、結露試験では、防水性の欠陥を検出できない可能性がある。
注記2 厚さが2mm以上のガラスでは、水滴による結露試験は信頼性が低い。したがって、ぬれ布又はぬれパッドを用いるのが望ましい。
注記3 曇りが1分以内に消える場合には、防水不良ではないとみなす。
このような事項。つまり、水や湯に漬けて低温と高温のストレスを与えたあと、時計全体を加熱。もし浸水があれば、ガラス面を冷やせば曇りが発生し、防水不良と判断することができる。このダイバーズウォッチはガラスが厚いので、水滴の代わりにぬれたタオルを使う。加熱板なんて持っていないので、ドライヤーで温めることにする。
バケツに湯を溜めて、洗面所を水の槽にして、それぞれに時計を沈めて10分放置。そしてドライヤーで時計全体を温め、ぬれタオルでガラスを冷やしてみて、ガラス内側に曇りがないか。
…検査良好!ケースを開けて、内部に水滴や曇った痕跡がないか入念にチェックし、乾燥した状態を保っていることを確認。39年前の時計が、素人のガラス交換に耐えて、普段の生活における最低限の防水性は確保されていることが分かった。現実的にはメーカーや時計修理業者からは「防水性はないので、水中では絶対に使うな」と言われているところなので、引き続き非防水時計として使うことになるが。

リフレッシュした回転ベゼルをケースに装着する。

ムーブメントと固定リングをケースに収め、セイコー純正電池をセットする。今日から3年後の2023年4月が規定寿命、これまでの動作状況から4年目あたりまでは使えるだろうが、再び妙に遅れるような挙動になるかもしれない。次回はオーバーホールを視野に入れておきたい。

新しいバンドを取り付けて、腕に装着できる状態に戻った。続いて、竜頭を動かしてみて、日付や時刻がこれまで同様に調整できることを確認。
セイコーの時計は午前10時8分42秒(月曜日6日)が最も美しく見える時間、表情に設定されている。その瞬間を撮影し終えて、メンテナンス作業は完了となった。
外装がボロボロだった時計が元に戻った。子供のころの記憶を振り返ってみても、ここまでキレイなイメージはない。さて、印象が良くなった状態で返却されることになる親父、どういう反応を示すことになるだろうか。