ヘッドライトの解体調査

ヘッドライトユニットを交換してからというもの、「車の印象がまるで違う」「夜の運転がしやすくなった」と評判は上々。

8月上旬にヘッドライトユニットを交換して一ヶ月が経過。大雨や洗車による浸水トラブルはなく公道使用に問題がないことが分かったため、役目を終えて取り外したヘッドライトユニットを解体して処分することになった。ただ単純にバラすのではなく、構造を調査していくことも兼ねている。

ヘッドライトのレンズと本体部が分離

いわゆる『殻割り』後のヘッドライトユニット。捨てる前提なので、レンズと本体部分の隙間にマイナスドライバーを突っ込み、グイグイとこじ開ける方法で分離した。レンズ部分だけの交換や内部清掃のために行う「普通の」殻割りにおいては、ダメージを抑えて開くことばかり意識が集中してしまい、ブチルゴムの復元や再シールといった元に戻す方法が分からなくなることが少なからずあるそうな。

EK系シビックのヘッドライトユニットは、リフレクターの大半がレンズ側に装着されており、光軸調整が可能なメインヘッドライト部分が本体側にある構造をしている。

HIDによるリフレクターの焼け

社外品のHIDランプを装着していたため、ライトリフレクター部分には変質が生じていた。汚れや水分がバーナーで温められ、メッキ表面に付着したものと思われる。焼けているように見えるが、指で拭うとある程度は落ちる。ハロゲンランプ前提のリフレクター(メッキ)にHIDランプを装着すると、何かしらのストレスを与えることになるようだ。

上下方向の調整用アジャストポイント

光軸調整用のアジャストポイントは二つ。ヘッドライトマークと1.3%とモールドされた部分にあるのが、上下方向の調整用。

左右方向の調整用アジャストポイント

もう一つ、左右調整用のアジャストポイントは本体下部にある。「なかなか面倒な場所にあるなぁ」と予備車検場担当員は呟いていたが、一発でアジャストポイントの場所を見抜いて、さっさと調整していく様子はあらゆる車種を調整してきた職人ならでは。

アジャストポイントの正体は長いネジ

それらアジャストポイントは長いネジで、回すことでリフレクターが少しずつ動き、角度が変わっていく様子が観察できた。構造はなんとなくイメージできていたが、現物を見ることでよりハッキリと理解できる。

二つのアジャストポイントは独立しているようでお互いにリンクしており、上下方向を調整すると左右方向も微妙にズレてしまう。ライトリフレクターは、本体に三ヶ所のアジャストポイントで装着されているためだ。

基準調整用アジャストポイント

三ヶ所目のアジャストポイントは赤丸のボルト。このボルトを左右に回すことで、ライトリフレクターが大きく上下左右に動き、残りの微調整は上下左右のアジャストポイントで行うようになっているようだ。

基準調整用アジャストポイントの0点は不明

ライトリフレクターの基準点の一種という性格なのか、ネジ部分も短め。ただ、この基準調整用アジャストポイントの扱いについては、サービスマニュアルでも未記載であり、基本的には触らない部分なのかもしれない。

黒メッキ化されたインナー

EKシビック(E-/前期型)のヘッドライトは、グレードによって製造メーカーや内部メッキの配色に違いがあり、タイプRでは黒メッキ化されている。非常に硬いインナーで、プラスチック特有の柔軟性が全くない。手でバキバキと割ることができる。

ヒビだらけのレンズは一旦保管

レンズ部分については、研磨の練習用、傷のつきやすさと劣化調査用のサンプルとしてもうしばらく保管。レンズを通した向こう側は黄色く、ヒビだらけでくすんだ視界が広がっていた。まるでカラーレンズのメガネ状態で、これでは光量も落ちるか。

汗だくになりながら解体していたら、時間の経過と共に太陽が動いて日光が直撃するようになった。直射日光に照らされる肌もピリピリと痛いので、作業中断。残った左用ヘッドライトの解体は、また後日。

手術跡

首の内部に腫瘍ができてしまい、摘出手術を受けたのが2014年9月のこと。この手術以外にも体にメスは入れてきたが、どの手術においても面白そうだからという理由で部分麻酔に留めており、切開したその日から患部の観察が続くことになる。

規模はどうあれ、メスで皮膚を切り開いているので、傷跡は避けられないと思っていた。子供のころに心臓の手術を受けた友達は、胸に縦方向の派手な傷跡ができており、その見た目に衝撃を受けたもの。私自身の、人生一発目の手術は左胸で、服を着れば見えない部分だけに傷跡は今も残っていて、手術とは傷跡が残るものというイメージが出来上がっていた。

首の手術となれば、服を着ても見える部分。しかも頭を動かせば皮膚は伸び縮みするので、傷跡で皮膚が引っ張られる感じになってしまうことは避けたく、執刀医もそれを分かっていて、メスを入れる方向や範囲を入念に決めていた。「手術はなー、終わってからがスタートなんだよ」と、手術跡のケア方法については、かなりの時間に渡って説明が続いていた。

抜糸してから最初の一年は、切開した痕跡、赤みやデコボコが残っていた。以後、年数が経過するに連れて、皮膚内部からの再生が進んだのかデコボコが平らになって、周囲の健全な皮膚との連続性が回復し、均一な状態にまで戻った。現在、五年が経過したところで、切った部分が僅かに確認できる程度。

手術するたびに「タバコ吸ってないの?そりゃいいね」と喜ばれる。喫煙で血管が縮み、さらに酸素不足となることから、皮膚の再生に時間が掛かってしまうそうだ。首の手術跡が殆ど目立たなくなっている要因のひとつに、タバコを吸っていないことがあってもおかしくはない。老化したときには、喫煙歴の有無で回復にかなりの差が出るとか。

俺がやるよ

「代打ワシ」で有名な、初代ミスタータイガースこと藤村富美男氏。「代打、オレ」で打席に立ったのが古田敦也氏。両者とも監督兼選手という立場だったので、そういったプレーを見ることができた。

そんな監督業が「オレ、やる」と言って、得物を握って出てくる様子は野球だけの光景かと思っていたら、今の職場でも以前は普通に見られた光景だった。

入社したときにお世話になった最初のボスは、「暇つぶし」と口にしながらドライバーを手に、片っ端から不良箇所を直していた。異動に次ぐ異動でやってきた現場においても、ボスの補佐担当が「人がいない?いいよオレがやる」と、機器のメンテに汗を流していた。曰く「机に座ってるの、つまらんだよ」と一仕事を終えたらタバコをスパーッと吸っていた。

共に簡単かつ手数が少ない作業に留め、ささっと終わらせて事務所に戻っている。そんな様子に「もっとやっていけ」なんて笑いながら注文を出す人もいたが、ボスの立場としては連絡対応や他部署との調整が本来の仕事で、現場に留まり続けることできない。合間を縫って現場に出ていたわけで、そこを分かっていたからこそ「もっとやっていけ」という発言は、感謝の意味があったようだ。

今は「責任の明確化」として上層部は手を出すことはなくなり、現場監督という立場の私も手出しすることは難しくなった。そんな中、たまたま人員の都合が悪く、不具合箇所の修繕に対応できる人がいないことに気づいた。動けるメンツは既に他の作業に追われており、体力回復を優先させるべく、追加で作業をやらせるわけにはいかない。となれば「俺がやるよ」と、チェックリストを用意させて、しばらくぶりの現場作業に没頭することになった。

作業のコツや流れは全く忘れることなく、すいすい進めてあっという間に終了。「もう終わったから休んでていいよ」「え?やってくれたんです?」と少なからず驚きを与えていたらしい。

作業のまとめをやっていた管理者側から「ところでこれ、誰がやったの?」と聞かれたので、「代打は俺っす」と申告。人員が厳しい状況に陥っていただけに「ま、そうだよね」と納得。現場監督として歩き回る以上は、定例作業全てをこなせないとダメで、いざと言うときはどの現場でも対応できるように心がけている。

ハイプレッシャーラジエターキャップのこと

現在使用中のラジエターキャップは、PIAAのラジエターキャップSV56(1.1kg/cm2、108kPa)だ。純正品、HKS製、水温計付きの変り種だったりと、以前は一定の周期で交換してきた。そしてPIAA製になったのが2016年2月で、それから現在に至るまで交換していない。

SPAC/PIAA SV56

年数的に、そろそろ交換してもいいタイミングか。今月末のオイル交換に併せて、ホンダ純正品を発注しておいた。

地球上には既に大気圧が掛かっているので、ラジエターキャップによって更に1.1kg/cm2が加圧される。よってエンジンの冷却経路には、合計2.1kg/cm2もの圧力が掛かり、沸点は122℃となる。圧力が掛かると沸点が上昇する理由は、『水の状態図』『蒸気圧曲線』で調べると、大量に出てくる。

蒸気圧曲線

図として分かりやすかったのが上の画像で、引用元は私立・国公立大学医学部に入ろう!ドットコムより。

ここでは、大気圧とラジエターキャップのバネの力が合わさった圧力が飽和水蒸気圧と仮定する。この圧力によって、加熱によって生じる冷却水内部からの気泡…液体が蒸発してできた蒸気の塊を押し潰すことができるので、沸点が上昇する。100℃になっても泡立たない。エンジンの熱を奪って、さらに冷却水の温度が上昇。気泡が押し潰されることなく次々と発生し、大気圧とラジエターキャップのバネの力を上回ったときが沸点で、液体だったものは蒸気と化して吹き出してしまう。それが122℃という数値だ。

122℃になって蒸気になってしまえば、エンジンの熱を奪い、また放出することができなくなる。水温が122℃を上回る状態になっても沸騰させずにエンジンをガンガンに回したいならば、ハイプレッシャーラジエターキャップなんてものをチョイスする。よくあるのが1.3kg/cm2(127kPa)のタイプで、これを装着したときの沸点は125℃。17%の圧力アップで得られる沸点は純正品から僅か3℃の上昇に留まり、水温を下げる作用には一切関与しない。

ハイプレッシャーラジエターキャップは冷却効果のアップではなく、沸点を上昇させるパーツ。現状のラジエターキャップで冷却水が吹いていなければ沸点は超えていないわけで、ハイプレッシャーラジエターキャップに換えても得られるものはない。つまり、ハイプレッシャーラジエターキャップに交換する必要は無いということ。純正品に比べ、社外のハイプレッシャーラジエターキャップはデザイン的にも優れているものが多く、見た目で選んでいるパターンもありそうだが。

1.1kg/cm2の圧力が分からない?ラジエターキャップの裏側にある主圧弁を指で押してみると、硬いバネの手応えがある。この硬さが圧力になり、エンジンの冷却経路全体に追加で掛けられることになる。大気圧に硬いバネの圧力が加われば、経年で脆くなったホースから漏れ出してくる理由も納得できると思われる。ちなみに、人間そのものにも大気圧でかなりの圧力が掛かっている。

と、ブログやレポートで水温ネタを続けてきたが、そろそろ飽きもくるころなので、一旦締め。

SCSショートカプラ 07PAZ-0010100

SCSショートカプラ 07PAZ-0010100

SCSショートカプラ 07PAZ-0010100とは、ホンダの純正ツールとして設定されている、ショート(短絡)カプラだ。エンジンとECUを接続するハーネスに設けられた、2ピンのサービスチェック用カプラに接続する。

ECUのダイアグノーシス(自己診断機能)によってエラーが記録されていた場合、メーターパネル内のエンジンチェックランプが点滅し、この点滅回数と点滅パターンによって、エラーコード=トラブルが発生している推定部分を表示させることができる。また、エンジンの点火時期調整時、及びSRSエアバッグのエラーログ消去でも使うことができる。

サービスチェック用カプラの位置

サービスチェックカプラは助手席側の足元、ECUのハーネスにある緑色の保護カバーの中にある。2ピンのカプラと3ピンのカプラがあるが、使用するのは2ピンのカプラ。2ピンカプラを保護カバーから引っ張り出し、SCSショートカプラを接続してからエンジンを始動する。

SCSショートカプラの接続状態

この状態で、メーターパネル内のエンジンチェックランプの点滅回数をカウントし、PGM-FI故障診断表と照らし合わせる。PGM-FI故障診断表は前期型と後期型で微妙に異なり、サービスマニュアル上の診断表をスキャンしてアップすると『引用』の範疇を超えるので、当サイトでは掲載不可能。このあたりは『調査力』がモノをいう部分。

SCSショートカプラは、SRSエアバッグのエラーログ消去にも使えると先述した。サーキットを走る際は余計なリスクを低減するために、エアバッグのハーネスを切り離していたが、エアバッグコンピュータは通電されて接続しているのに、エアバッグ本体は通電していないことを検出して、エラーログが記録される。命に関わる部分なので、バッテリーを取り外しても、エラーログは消去されないようになっている。結果、サーキットで遊び終えて撤収準備をしていると、タコメーター内のSRSエアバッグ警告灯が点灯したままとなる。

SRSエアバッグコンピュータのMES(メモリイレースシグナル)2Pカプラは、運転席側のヒューズボックス内に固定されている。

SRSエアバッグのMES2Pカプラの位置

こんな奥。非常に狭い場所にあり、本当にメモリ消去を行う際は、何度もカプラを脱着することになるので、作業する際はカバーパネルそのものを外したほうがいいかもしれない。

MES2Pカプラの接続状態

無理やり引っ張り出してSCSショートカプラと接続してみたが、簡単に切れそうなくらいプラプラしている。以下、メモリ消去方法について…。

1.イグニッションスイッチをOFF、サービスチェック用カプラにはSCSショートカプラを接続していないものとする。もし、サービスチェック用カプラにSCSショートカプラを接続していた場合、イグニッションスイッチをOFFにして10秒以上経過してから、SCSショートカプラを取り外す。

2.MES2PカプラにSCSショートカプラを接続する。

3.イグニッションスイッチをON(II)にする(エンジンは始動しない)。

4.SRS警告灯が6秒間点灯した後、消灯する。消灯後4秒以内にMES2PカプラからSCSショートカプラを取り外す。

5.SRS警告灯が再度点灯する。点灯後4秒以内にMES2PカプラにSCSショートカプラを接続する。

6.SRS警告灯が消灯する。消灯後4秒以内にMES2PカプラからSCSショートカプラを取り外す。

7.SRS警告灯が2回点滅し、メモリ消去完了を通知する。

8.イグニッションスイッチをOFFにして、3秒ほど待つ。

9.再度イグニッションスイッチをON(II)にしてSRS警告灯が点灯、6秒後に消灯。さらに30秒経過するうちに再点灯しないことを確認。

10.正常消去を確認できれば、イグニッションスイッチをOFFにして作業完了となる。

SCSショートカプラを接続したらすぐに取り外すことを繰り返すので、まぁ面倒なこと。一発でメモリ消去ができたことよりも、接続タイミングが遅れて失敗、接続回数を忘れてしまい、最初からやり直すこともしばしあり、全くスムーズにいかない作業だったりする。

単純にピン同士を繋ぐだけなので、適当な細いケーブルをカプラの端子に突っ込む、書類用クリップを伸ばして接続するといった代用手段が効くが、ちょっとした振動で接触不良を起こす恐れがある。接続したままメーター内の警告ランプを見ることや、エンジンの点火時期チェックでは長時間に渡って接続したままにすることから、使い勝手はSCSショートカプラのほうが勝る。2014年7月の時点で561円、部品購入ついでに一緒に注文していた。

ラジエターファンモーターの強制起動回路とか

純正水温計に関するレポートを書いていて、ラジエターのファンモーターをスイッチで強制的に動かす回路を組み込むネタがあったことを思い出す。かつて乗っていたEK4シビックSiRIIのときに施していたが、実際に使った場面の記憶はなく、今となっては装着目的がよく分からなかったりする。

回路といっても、ファンスイッチ用のハーネスを分岐して、適当なスイッチをつないでグランドに接続するだけ。エンジンのファンスイッチよりも先に動作させることで、水温に関わらず好きなタイミングでファンモーターを回し、冷却することができる。

その回路。

ファンスイッチの分岐部分

エンジンに装着されているファンスイッチの緑線を分岐し、スイッチを経由してグランドに落とす。EK4シビックSiRIIで施していたのがこのパターン。

エンジンルーム内に余計なハーネスを追加する方法はスマートではない…ということで、ECUのコネクタ部分から分岐するパターンも存在する。

前期型ECUの分岐部分

前期型(E-)では、32Pカプラの27番端子より分岐する。ここならハーネスの追加は車内で終わることになり、既存のハーネスに沿わせるカタチになるので、スッキリと仕上げることができると思われる。三段重ねのピンラインの中で、AMPとモールドされた下段(写真では上段)側に位置しているため、分岐加工が施しやすい。

後期型ECUの分岐部分

後期型(GF-)ではECUが変更され、32Pカプラは変わらず、20番端子になっている。写真では右側に別のハーネスがあり左側は空いているが、現車は20番端子の左右を囲まれており、分岐加工は若干面倒になっている。

水温が下がって冷却の必要性がなくなれば、ファンスイッチによってファンモーターは自動的に止まるようになっているのが本来のシステム。少なくとも公道用途では不要な回路で、後付した社外水温計の数値を落として「下がった下がった」と喜ぶための用途にしかならない気がする。

では強制的にファンモーターを回したいときは、どんなシチュエーションか。思いついたのはジムカーナ等、走行風をうまく取り入れることができず、それでいて積極的に冷やしたいとき。そういったスポーツ用途であれば、冷却系のチューンは考えられて行われているはずなので、強制起動回路は補助的なものにしかならないのではないか。

EK4での失敗談だが、人を待っているときのアイドリング中、強制起動スイッチを入れっぱなしでファンモーターを回し続けていた。一旦エンジンを止めて、しばらくしてからエンジンを始動しようとしても全く掛からず、バッテリー上がりに陥った。原因はこの強制起動回路にあって、ファンモーターの消費電力は凄まじいものがあるらしく、アイドリング状態では発電が追いつかず、バッテリーからの持ち出し分で回転し続けていたらしい。バッテリーにセルモーターを動かすだけの電力は残っていなかった。

このアホな経験があって、DC2インテR、今のEK9シビックRでは強制起動回路を組み込んでいない。線一本の追加でも、面倒ごとを引き起こすリスクがあるわけで、サービスマニュアル上には存在しないV-AFCIIやCMX-100も視界から離れた位置に設置して、常時監視の測定機器としては扱わないようにしている。