首の内部に腫瘍ができてしまい、摘出手術を受けたのが2014年9月のこと。この手術以外にも体にメスは入れてきたが、どの手術においても面白そうだからという理由で部分麻酔に留めており、切開したその日から患部の観察が続くことになる。
規模はどうあれ、メスで皮膚を切り開いているので、傷跡は避けられないと思っていた。子供のころに心臓の手術を受けた友達は、胸に縦方向の派手な傷跡ができており、その見た目に衝撃を受けたもの。私自身の、人生一発目の手術は左胸で、服を着れば見えない部分だけに傷跡は今も残っていて、手術とは傷跡が残るものというイメージが出来上がっていた。
首の手術となれば、服を着ても見える部分。しかも頭を動かせば皮膚は伸び縮みするので、傷跡で皮膚が引っ張られる感じになってしまうことは避けたく、執刀医もそれを分かっていて、メスを入れる方向や範囲を入念に決めていた。「手術はなー、終わってからがスタートなんだよ」と、手術跡のケア方法については、かなりの時間に渡って説明が続いていた。
抜糸してから最初の一年は、切開した痕跡、赤みやデコボコが残っていた。以後、年数が経過するに連れて、皮膚内部からの再生が進んだのかデコボコが平らになって、周囲の健全な皮膚との連続性が回復し、均一な状態にまで戻った。現在、五年が経過したところで、切った部分が僅かに確認できる程度。
手術するたびに「タバコ吸ってないの?そりゃいいね」と喜ばれる。喫煙で血管が縮み、さらに酸素不足となることから、皮膚の再生に時間が掛かってしまうそうだ。首の手術跡が殆ど目立たなくなっている要因のひとつに、タバコを吸っていないことがあってもおかしくはない。老化したときには、喫煙歴の有無で回復にかなりの差が出るとか。