S15シルビア、シフトレバーを交換する

2015年7月にクラッチ周辺のオーバーホールを行った際、ミッション一式を車体から降ろしている。このときにシフトレバー内のカラーやブーツ類を同時に交換することをアドバイスし検討していたが、実際は忘れてしまい今日まで至りつつも、ようやく交換作業を行う流れになった。2017年度初の車いじりは、S15シルビアからスタートだ。

作業前のシフトレバーの様子

作業前のシフトレバーの様子。納車後に純正シフトノブからヤシオファクトリー製の2ピースシフトノブに変更している。シフトフィーリングについては、FR車特有のカコンッとしたタッチはなく、グニュッとゴムを押し分けるような感触があった。

劣化したゴムブーツは切除

まずはシフトノブとシフトブーツを外し、シフトレバーを覆っている大きなゴムブーツを切除して、作業スペースを確保する。今回はシフトレバー本体も交換するためブーツを切除したが、もし再利用するなら当然ながら切除してはならない。シフトロッドとミッションケースの間には、さらに二種類のゴムブーツでカバーされている。この二種類のゴムブーツをめくって、根元を見えるようにする。ついでに、ゴムブーツをめくるとミッションオイルのニオイが漂うようになる。

Cリングとスナップリングを外す

根元にあるCリングとスナップリングを取り外す。これらは弾性のある部品なので、弾き飛ばして顔面や目にヒットすると大ケガの恐れがあり、慎重に作業を進める。ちなみに、シフトレバーを抜き取るだけなら、スナップリングだけの取り外しでOKとのこと。

シフトレバー本体が外れる

Cリングとスナップリングを取り外せば、シフトレバーを抜くことができる。シフトレバーの先にカラーが装着されており、これが今回の作業における核心部分だ。経年劣化による消耗が予想されていたため、長い時間をかけて少しずつ摩耗していき、シフトフィーリングの悪化に繋がっていく。社外品として真鍮製があるようだが、純正以上に早い摩耗、そして再交換のときに抜けなくなるというトラブルがあるそうだ。

ソケットも交換する

シフトレバーを支えるソケットも交換する。ソケットの下にウェーブワッシャーが2枚入っていたが、パーツリスト上では1枚となっており、データ上と実態が異なっていた。そこで新品のウェーブワッシャー(32876-03G61- スプリング 184円)と重ねてみて、ぴったり重なる組み合わせにセットして装着することにした。

新品ソケット

新品ソケット(32870-V5003- ソケットアッセンブリー 1,458円)を装着したところ。次に新品のシフトレバー(32839-89F00- コントロールレバー 8,662円)をミッションケースにセットし、Cリングとスナップリングを装着する。今度はゴムブーツがしっかりしているので、作業性が悪くなる。新品のゴムブーツを傷めないように注意して作業を続ける。

シフトレバーのゴムブーツをミッションケースにセット

ミッションケースの開口部に収めるゴムブーツには、シリコンスプレーを塗布して滑りを良くしておく。そして再度シリコンスプレーをたっぷりと吹いておき、ゴム本体にさらなる柔軟性を与えておく。

結束バンドで固定する

結束バンド(24216-AA402- クランプ 184円)でゴムブーツを締める。長い結束バンドはホームセンターで似たようなものが多数売られているが、ここでも純正品を使うのがこだわりだ。

コンソールを戻す

外していたコンソール類を元に戻していく。シフトブーツに穴が開いており、今後の宿題となった。

新品シフトノブが映える

新品シフトノブ(32865-89F10- コントロールレバーノブ 8,543円)を装着すれば作業完了。手に触れる部分、目に入る部分がキレイになったことで、くたびれて傷んだ印象がなくなった。

新旧シフトノブの比較

ちなみに、純正シフトノブを比較するとこんな具合。表皮は硬化し薄くなり、どういうわけ痩せてしまっている。頭頂部のイナズママークには、汚れがこびりついてボロボロだ。

作業が終わり、さっそくシフトフィーリングをチェックする。第一印象は硬い。グニャグニャした感触がなくなり、カコッカコッとギアが入る感じになった。シフトノブの握り具合も良くなって、FR車特有のシフトチェンジの楽しさを取り戻すことに成功。要因はゴムブーツがリフレッシュされ、カラーやソケットが新品になってシフトレバーが正しい位置に戻ることで、節度あるフィーリングに戻ったためだろう。時間をかけてゆっくりと劣化していく部分だけに変化に気づきにくく、リフレッシュした後の激変具合に驚かされることになった。

S15シルビア、サイドメンバーへの防錆剤注入

これまでEK9シビックRに施してきた防錆対策を今度はS15シルビアに水平展開することになった。FF車とFR車という駆動方式の違いから始まり、サッシュレスドア構造により、ボディモノコックは複数の鋼板が組み合わさっているパターンが多い。これらの差異を飲み込みつつ、出来る限りの防錆作業を行うことになった。

まずはフロント側。サイドメンバーアウトリガーという補強材の内側に、防錆剤を注入する。使用した防錆剤は、当サイトでは毎度お馴染みのノックスドール700。強力な浸透性により、パネルの合わせ目や中空状フレームに適している。

サイドメンバーアウトリガーの場所確認

場所はフロントタイヤとドアヒンジの間あたりに掛けて。フロントサイドメンバー後端部から、アウトリガーという補強材を介してフロントフロアパネルに繋がっている。ボディの剛性向上のためで、2000年代前半の日産車によく見られた構造だ。パネルの合わせ目がうっすらと茶色くなっており、普段お世話になっている整備工場の社長曰く「なるべく早いうちに防錆剤を注入しておくといい」というアドバイスに従う。

ノックスドール700注入中その1

ところどころに開けられた穴から、付属のロングノズルを用いてノックスドール700を注入する。他の穴から噴射したガスが漂うか、防錆剤本体が滴るようになったら、注入は完了となる。浸透性が強く、合わせ目の僅かな隙間から滴り落ちることが多い。

内部だけではなく、外部からも注入

強い浸透性を利用して、内側だけではなく、外側からもスプレーしていく。奥側にあるサイドメンバーの合わせ目にも、外側からスプレーした。

ノックスドール700注入中その2

今回のメインとなるサイドメンバーへ、ノックスドール700を注入。フロントからリアに掛けて、一本モノの中空梁状になっており、作業性は悪くない。穴という穴にロングノズルを差しこみ、満遍なくスプレーしていく。

ノックスドール700注入中その3

ついでに、両側ドアの水抜き穴からスプレーして、ドア内部を防錆剤で満たしておく。当面は、雨が降れば筋状の汚れ…定着しなかった防錆剤の流出に悩まされることになるが、水分によるサビのきっかけよりかはマシだ。

リアサイドメンバーの穴から

リアバンパーを外し、リアパネルやクリップ用の台座の具合をチェックしていく。経年相応の具合かと予想したが、思った以上にコンディションは良さそう。赤い矢印で示した、サイドメンバーの開口部から内部に向かってスプレーする。

ノックスドール700注入中その4

ノックスドール700注入中その5

開口部だけではなく、サイドメンバーに開いている穴も利用し、たっぷりと防錆剤を吹く。鋼板の隙間から滴り落ちてきたら、十分な量が入った証拠なので注入完了となる。

これで防錆作業の第一段階は完了。次は、今日の作業で発覚した細かいサビの修正等を予定。EK9シビックRのように各セクションに分けて数週間毎の施工となり、同時にパネルの状態チェックし、必要に応じて二次対策も講じることになるので、年単位の作業時間となりそうだ。サビの性質や鋼板についての勉強を兼ねることができることもあって、焦ることなくじっくりと取り組みたい。

S15シルビア、ECUの基板チェック

基板内の電解コンデンサ容量チェックと構成部品の調査のために、車体からECUを取り外してケースを開封、実際に見てみることになった。

S15シルビア 6MT ターボ ECU

集積回路の小型化と高性能化で機能や周辺回路を一つにパッケージングした結果、目に見える部品点数は激減し、基板はシンプルになっているが、もはや手を出せるシロモノではない。

集積回路は多機能で、各センサーとのやりとりが複雑かつ高速になっていることから、通信系ソフトウェアに対する深い知識とアクセスできる環境がないと手を出せなくなっている。電子回路を少し齧った素人ができることは、電解コンデンサの目視点検くらい。今のところ異常は見られないので、年一回ほどの周期で内部点検を継続することになった。

S15シルビア、燃料蒸発ガス排出抑止装置のホースを交換する

S15シルビアの日常点検を行っていたところ、ホースの劣化を発見した。何のホースか経路を辿っていくと、左側(助手席側)ヘッドライト裏側にあるチャコールキャニスターから接続されている、ガソリン蒸気を回収するホースだった。

劣化したホース

表皮がボロボロになり、クリップもサビが浮いている。さらにリサキュレーションバルブ(ブローオフバルブ)とインテークチューブを繋ぐホースも柔軟性を失っており、ネジ式バンドの隙間からゴムがはみ出ている状態だった。思った以上に広範囲のホースが劣化いることが分かり、さっそく交換作業の準備を開始した。S15シルビアの部品供給状況はあまり芳しくなく、注文してから入手するまでに半月以上の時間を要することが多く、準備には一ヶ月以上になった。今後も乗り続けるつもりなら、早い決断と行動が大切になってくる。

インマニサージタンクを外す

いよいよ作業開始。燃料系統をいじるのだから、燃圧除去作業を予め行っておくことが大前提となる。次にスロットルバルブ周辺の吸気系統部品をどんどん外し、インマニサージタンクを取り外せば下ごしらえはOK。ちなみにスロットルバルブは、冷却水の抜き取りが関係してくるのでホースは接続したまま、エンジンルーム内に置いていた。

スロットルバルブの裏側

本格的な作業前に、エンジン本体の簡易的なコンディションチェックとして、スロットルバルブの裏側を見ておく。総走行距離相応に汚れているが、バルブ本体は金色の輝きがまだ残っており、サージタンク内もアルミの地がハッキリ見えたので、調子は悪くはないと判断できる。同時に、街乗り特有の低回転運転とチョイ乗りが多いことも見えてくる。

最も劣化したホース

サージタンクの裏側にある、この2本のホースが最も劣化していた。今回の作業のメインが実はコレで、2本のホースのためにインマニサージタンクの脱着を主体とした、吸気系統の分解作業が行われてきた。ホースはパイプに固着しているので、下手に力を入れるとパイプを曲げてダメにする恐れがあり、慎重を要する作業となった。

ヒビだらけのホース

外したホースは全て点検する。最も酷かったホースはヒビ割れどころではなく、内周部で首の皮一枚で維持されている状況で、あと少しで自然に裂けてしまう寸前となっていた。何も手をつけていなければ突然の破損も考えられ、交換して正解だった。ホースクリップそれぞれにサビが発生していたのも気になるところで、日産の部品は防錆能力が弱いのだろうか。

手の届く範囲のホースは全て交換

ここまで分解しているのだから、手の届く範囲のホースは一斉に交換しておく。チャコールキャニスターとの接続ホース(ソレノイドバルブも含む)、燃料フィルターとフューエルインジェクションレールを繋ぐホース、そしてフューエルレギュレーターからのリターンホース、リサキュレーションバルブ(ブローオフバルブ)に繋がるホース、ブーストセンサーのホース。劣化してつや消しのグレーだった各ホースが、新品で弾力と柔軟性のある黒いホースに交換されてリフレッシュだけでなく、見た目も良くなった。交換予定のホースを全て装着したら、折り返し。外した部品を元通りに取り付けていく。

作業終了後のS15シルビア

全ての部品が装着され、見慣れたエンジンルームに戻った。主に燃料系統のホース交換となるので、エンジンを掛ける前にガソリン漏れがないか入念なチェックを怠らないようにする。エンジンを始動して、走行前にももう一度点検。アイドリングは安定しているか、ガソリン臭を感じないか、異音や二次エア吸気音がないか、吹け上がりは良好か。全てに問題が無ければ、作業は完了。


サンプルがこのS15シルビアだけなのでハッキリとした判断はできないが、他のS15シルビアも同じように経年による劣化が始まっているとすれば、早めの修繕を行った者勝ち。もはや気軽に乗り回せる、イマ車ではないレベルに入りつつある。先述したが、日産の純正部品供給状況は極めて悪く、製廃部品もチラホラ出始めていることから、万一の故障で修理を希望しても、すぐに手をつけられない可能性が出てきている。この恐ろしい事態をどう思うかは、各オーナー次第かもしれない。

S15シルビア、コンディション調査

過走行運用中のS15シルビアも、そろそろ鋼板のサビ対策やゴム部品の経年劣化対応が必要になってくる時期だ。現役で走り続けていることから、古い車と認識しにくい部分があったりするが、それは間違い。自動車は車齢15年程度に達してしまえばメーカー、サプライヤー問わず「ど旧車」という認識になってしまう。つまり、公道を走行するのに必要な部品の供給が止まっていくことを意味する。なるべく長く車体を持たせるためには、部品が問題なく供給されている間に交換するか、事前確保しておくしかない。

ニスモサスペンションリンク

サスペンションの各ブッシュの経年劣化により、ニスモサスペンションリンクを使いリフレッシュ。強化ブッシュ圧入済みで、色もシルバーになる。同時にダンパーのアッパーマウントも交換したので、尻下がり気味だった車高が元に戻り、クーペ特有のスタイリッシュな印象が増した。新品ブッシュ特有のキレのある挙動になり、これが新車状態の挙動に近かったのだろうか。EK9シビックRでは、無限の強化ブッシュを取り付けたところ路面の細かい凹凸をよく拾うようになり、ポンポン跳ね回るような乗り心地だった。このシルビアについては、四輪のサスがバラバラに動いていることがよく分かるようになり、腰砕け感のない乗り心地になった。今は硬いブッシュも、一年もすれば馴染んでまた印象が変わるはずだ。

リアトリムを外す

リアトリムを外し、ボディモノコックの調査。シルビアはサッシュレスドアを使っているので、ボディの強度確保や側面衝突に対応するため、鋼板の組み方が独特になっていることを知る。事故時の強い衝撃は多方向に分散し、できるだけ生存空間を確保する仕組みになっていた。普段の走行では、しっかりとした剛性を得るようになっていることも分かった。モノコックボディは、ボディ全体で剛性を得るようになっているので、部分的な強化を行うと入力がうまく逃げなくなって、ストレスを溜め込みやすくなってその後の寿命が大きく変わるなんてことも。トータルバランスが大事。

サイドシル部分のサビ

見つかるサビ。水抜き用サービスホールを通じて外と繋がっており、水分や湿気が出入りしやすくなっていた。どうやらここはS15シルビアの定番サビ部分らしく、手の届く範囲はケレンで手入れ、手が届かなければスプレータイプの防錆材の注入だろうか。今夏の車いじりは、シビックよりもこのシルビアがメインになりそう。

過走行かつ経年劣化が始まった車は、まずは不具合や不調を抱えてマイナスになった部分をケアし、ゼロの状態に戻すことから始まるのではないか。それはとても金の掛かることで、目に見える変化は少なく、正直なところ全く面白くはない。ただ、この行程を踏まえた車こそが、とても長い寿命を得ているのも事実だと思う。本来はやるべきことがたくさんあるのに、それを全く考慮せずやりたいことだけを続けた結果、短時間で崩壊した車を私は何度も見てきた。同じ道を歩むワケにはいかない。

S15シルビア、燃料系統の集中整備

先月あたりから、満タンの状態から走り始めて、燃料計の針が半分以下になったところで急激に減り始め、燃料が突然ゼロ判定になって貧乏ランプ(燃料残量警告灯)が点灯し、少し走行するとに針が元の位置に戻り、また減るという症状が発生した。

調べてみると2000年代初頭の日産車でしばし発生する症状で、共通して燃料センサーの不良が原因だったことから、このS15シルビアも燃料センサーがダメになっていると考えるのが自然。ひとまず燃料センサーを交換し、様子を見ることになった。

燃料センサーを脱着するには燃料ポンプも取り外すことになり、今後のメンテナンスの手間を減らすために燃料ポンプも同時に交換する。

点灯したままの貧乏ランプ

常に貧乏ランプ(燃料残量警告灯)が点灯した状態。S15シルビアの燃料タンク容量は65Lで、撮影時点で前回の給油から495km走行し、想定燃費を10km/Lとすると、15.5Lは残っていると思われる。貧乏ランプ(燃料残量警告灯)が点灯するには、少々早すぎる。

下準備はフューエルラインの残圧除去、燃料タンク内の圧力開放、バッテリーからマイナス端子を取り外し、静電気対策を講じる。

メンテナンスリッドから

後部座席を倒し、トランク部の内装を取り外すと、灰色の蓋が出てくる。ここを空けると、燃料センサーと燃料ポンプを装着しているリッドが露出する。この片腕しか入らない穴から燃料センサーと燃料ポンプを取り外す必要があり、特に燃料センサーの取り外しには相当の苦労を強いられた。

燃料センサーと燃料ポンプ

ああでもないこうでもないと格闘すること一時間。ようやく燃料センサーと燃料ポンプを取り外すことができた。燃料ポンプは何も考えずに引っ張っただけでスポッと抜けたが、燃料センサーは脱落しないように爪でブラケットに装着されており、細いマイナスドライバーを手探りで操りながら、なんとか取り外した。このときに挫創を負い、肉片が引き剥がされた部分は目に見えるほど陥没した。

燃料ポンプASSY組み立て

燃料ポンプについては、アッセンブリーの状態では入手できない。写真のように個別の部品で設定されており、分解と組み立てを行わなければならない。経年劣化対策と一括リフレッシュのため、燃料ポンプ関係の部品は全て一新することになった。

※1の『17013-5L300- ブラケット フューエルポンプ』、※2の『17065-AA500- バルブアッセンブリー フューエル(SR20DET用リリーフバルブ)』については製廃となっているので再利用。

チューブも一本モノとして販売されるので、必要な長さを自分で切り出す。新しい燃料センサーと燃料ポンプを燃料タンクに装着し、ガソリン漏れや忘れ物がないか確認、エンジンが正常に始動すれば作業は終了となる。

イグニッションキーをONにすると、貧乏ランプ(燃料残量警告灯)が消灯、燃料計の針が上に動いた。

接触不良

燃料計の針が正しく示さないのは燃料センサーの不良と疑って取り外したのだから、分解調査は必須。結果としては、フロート内の接点とスライド抵抗の接触不良で、疑いは的中となった。

テスターを当てたままフロートを動かしたところ、ところどころで∞Ωになっていた。これが突然の燃料ゼロ判定となって、貧乏ランプ(燃料残量警告灯)が点灯する原因だ。

そして車体の振動で燃料が波打ち、つられてフロートも多少動くので、接点が正常な部分に移動すれば応じて燃料計の針も正しい位置に戻る。フロートが再び接触不良の部分に達すれば、貧乏ランプ(燃料残量警告灯)が再点灯する。

試しに消毒用アルコールで接点を拭いたところ、全ての領域で接点が正常に戻り、フロートの位置でテスターの数値もリニアに変わるようになった。普段はガソリンに浸かっている部分で長い間ガソリンを介した接触を続けることから、微細な汚れが積み重なって接触不良に陥るのかもしれない。

給油を行って51.7L補給し、残りは13.3Lだった。先ほど計算した、10km/Lと想定した燃費で残りは15.5Lと仮定していたので、誤差は2.2L。

燃料計がダメになっても、満タン時に0kmにリセットしたトリップメーターがあれば、燃料タンク全容量と車に応じた想定燃費を設定することで、燃料の残量がある程度分かる。バイクなら当たり前に行われている手法が、車でも使えることが分かった。

S15シルビア、エアダクトを交換する

剥き出し式のエアクリーナーを装備していた当時から、エアダクト(通称シュノーケル)だけは装着されたままだった。おかげでその後の純正戻し作業のときも、特に触ることなく引き続き使用することになり、現在に至る。使用年数が重なるにつれて、ダクト開口部のスポンジパッキンが崩壊していき、エアクリーナーエレメントに捕捉されることが増えていった。見た目もボロボロで、ダクト本体もすっかり汚れていることから、新品部品を取り寄せて交換することになった。

シュノーケル装着

純正戻し作業中でのワンシーン。ダクトがわずかに写っており、このときはスポンジパッキンはまだ健在。

新旧エアダクト

そして現在。スポンジパッキンの破片は、そのほとんどが吸引されて失われていった。そして新品のシュノーケルを重ねてみる。しっかりしたスポンジパッキンが健在で、艶が輝く本体。開口部に装着されているプッシュリベットを外し、シュノーケルを交換。難しい作業ではないが、ゴミや部品がダクトを通じてエアクリーナー本体に落ちないよう、注意することは忘れずに。

S15シルビア、純正吸気系

完成、リフレッシュ完了。吸気系を純正維持したシルビアは、あまり見ない気がする。シュノーケル一つでさえ、新品になるととても気分がいい。総走行距離は133,679km。

S15シルビア、ABCペダルとスロットルワイヤーを交換する

交換前

交換前の状況。純正のペダルの上に、カーメイト製RAZOアルミペダルを装着している。純正のアルミペダルと比較すると、この後付け感がみすぼらしくなったようで、それならばと純正アルミペダルへの交換へ至った。ついでに、アクセルペダルはヒールアンドトゥを行いやすくするためなのか幅広で、ブレーキペダルを踏んだときにアクセルペダルも一緒に踏んでしまうミスが少なからずあったようだ。

アダプタ取り外し

RAZOアルミペダルを取り外すと、通常のゴムペダルが出てくる。RAZOアルミペダルはいろいろな金具で装着されており、だいたい1cmほど嵩上げされていた。RAZOアルミペダルは、既存の純正ペダルに合わせて金属バンドを曲げてネジ止めする構造になっているので、再利用しないほうがいいと判断し、このまま金属リサイクルへ送ることになった。

覆いかぶさっているだけ

ゴムペダルは、本体に巻きつくようにして装着されているので、剥がすようにして外す。思ったより柔らかく、テープを剥がすかのように簡単に外すことができた。

エンジン余熱で柔らかくする

新たに装着する純正アルミペダルは、エンジンの余熱を利用してゴム部分を予め柔らかくしておく。B16Bの『火加減』に関係なく、アルミ部分がとても熱くなって「あちぃ!!」と。当たり前だけど…。

ペダルカバー装着、アクセルペダルASSY取り外し

エンジンの熱でゴムを柔らかくしても装着はとてもキツめで、かなり苦労を強いられた。ただ単に装着するだけでなく、接着剤も塗布して、ズレや外れることを防いでおく。同時にアクセルペダルASSYを外しておき、スロットルワイヤーとアクセルペダルの交換準備。ブレーキペダルとクラッチペダルがアルミ地で輝くようになり、早くも雰囲気が変わる。

スロットルワイヤー交換

交換途中のスロットルワイヤー。アウターとケーブルの滑りが全く違い、明らかに軽い力で引けるようになっている。古いケーブルには損傷はなかったものの、後から注油されたと思われるグリスが大量に付着。さらに前オーナーが喫煙者だったために、タバコのヤニを含んだホコリまみれで汚かった。

アクセルペダルASSY比較その1

新旧のアクセルペダルASSYを並べてみる。当初は、右足と接するペダル部分だけの交換を想定していたようだが、経年と前オーナーの荒い扱いにより関節部分の摩耗、ブラケットのクラック、溶接部分の疲労ダメージが考えられることをアドバイスし、ASSYでの交換に変更した。部品を比較したところ、このASSYでの交換が正解だったことを知る。

アクセルペダルASSY比較その2

こんな具合。旧ペダルの裏側には、足からの踏力を伝達し、撓みや割損を防ぎ、ついでに錘を兼用する厚い鉄板が溶接されており、このまま純正アルミペダルを装着することは、物理的に不可能となっていた。旧ペダルのブラケットにはダメージは無かったが、グリス切れとタバコのヤニで関節が固渋気味。新ペダルは新品だけあって、関節の動きがとても軽やか。

アルミABCペダル化

スロットルワイヤーとアクセルペダルASSYを装着し、保護用のビニールを剥がせば完成。RAZOアルミペダルの後付け感が無くなり、純正品ならではの整った雰囲気に大きく変わった。アクセルペダルASSYとスロットルワイヤーが新品になったおかげでペダルタッチがとても軽くなり、アイドル状態からスロットル全開までとてもスムーズな動きとなった。

リフレッシュしたスロットルワイヤー

最後にスロットルワイヤーの調整。整備書に従いつつ、オーナー好みのペダルタッチに仕上げる。職業柄、ワイヤーの扱いは慣れたもので、あっという間にポイントが決まる。しばらく走ってもらって、エンジンが完全に温まってサーモバルブの位置が動ききったらもう一度ワイヤーを微調整し、今回の作業は終了となった。

運手席の足元が精悍になり、しかも強調せずともスッキリとした独特の印象を与えるアルミペダルは、純正品を使ったほうがいいと思う。ドアを開けたとき、視界に飛び込んでくる運転席のお洒落な追加トッピングは、ぜひお勧めしたい。

試着

過去、グラベルゾーンに落ち首都高湾岸線でタイヤがバーストしたりして、その度にテンパータイヤを履く機会があった。原因はそれぞれ異なるが、個人的にはこうもテンパータイヤのお世話になるなんて、ある意味では運のいいことだと思っている。

いざというときには、自分の手でタイヤを入れ替えて、ダメになったタイヤを復旧させられるところまで走行を継続するシーンがあるかもしれない。そこで今回は、S15シルビアにテンパータイヤを試着してみて、どんな具合か確かめてみることになった。

S15シルビアのテンパータイヤ

タイヤの脱着は、普段からローテーションを自分でやっているだけに、手馴れたもの。あっという間に正規タイヤが外され、代わりにテンパータイヤが装着された。FR車なので、テンパータイヤは非駆動輪に装着、つまりフロント側に装着しなければならない。ぱっと見た印象では、ディッシュホイールみたいな感じ。しかも細いタイヤなので、低い走行抵抗を要する最高速チャレンジ車のフロントにも見えなくはない。

溝は深くはないし車重もあり、タイヤに余計な負担を与えないため、試走まではしなかった。十分な空気圧があることと、ヒビ割れ等のダメージがないことを確認して、正規タイヤに戻す。装着具合を確かめておけば、万一の際は手間取ることはないと思う。その万一とは、適正な空気圧維持とタイヤの状態確認、路面への注意を続けて、できるだけ避けておきたいところ。

S15シルビア、クラッチ周辺をリフレッシュ

130,000kmを超え、まだまだ頑張れそうな気配の中、クラッチペダルの踏み込みに違和感を覚えるようになった。クラッチペダルを動かしながらフロア下から覗いてみると、ギシギシと大きな異音まで発している。もともと前オーナーの使い方が荒く、そして現オーナーにとってしてみれば初の所有車となって、蓄積し続けてきたダメージがここにきて限界を迎えたらしい。このまま様子見状態を継続することもできなくなり、フライホイールを含めた、クラッチ周辺のオーバーホールを行うことになった。

S15シルビア純正クラッチ一式

車体から取り外され、検証のために一旦引き取ってきたクラッチ周辺の部品たち。クラッチディスクカバーはともかく、クラッチディスク本体及びフライホイールの形状が、普段イメージする形状と全く異なっている。

EK9シビックR純正クラッチ一式
▲EK9シビックRの例。クラッチ周辺をイメージする形状といえばこれ。

なぜ、形状がここまで異なるのか。調べてみると理由はしっかりあった。それについては後述するとして、まずは部品の損傷状態からチェックを開始。

S15シルビアR用純正クラッチディスク

まずはクラッチディスクから。ミートしたときの衝撃を吸収するトーションスプリングの無いソリッドタイプで、衝撃吸収役はフライホイールが担っているため、クラッチディスクについてはこのようなシンプルな形状になった。フェーシングに刻まれているスリットは外周部分ではなくなっており、ミートする際は外周から接触し、内周に向かって圧力が広がっていったようだ。

S15シルビアR用純正クラッチディスクの残量

整備書によれば、クラッチディスクの残量はフェーシングとリベットの段差で計測し、限度は0.3mm。残量は0.5mmほどで、ちょうどいいタイミングでの交換となった。これでもまだ滑りといった症状は出ておらず、限度を迎えてから異変が出るのかもしれない。

S15シルビアR用純正クラッチカバー

クラッチカバーのディスク接触面はそれなりに傷ついているが、バランスよく分散していることから、偏ることなく均一に接触していたようだ。凹みが感じられる大きな傷はなく、局所的な高熱で歪んでしまう熱変形も見当たらなかった。

S15シルビアR用純正クラッチカバーダイヤフラムスプリング

ダイヤフラムスプリングの先端、レリーズベアリングと接する部分の摩耗はしっかり進んでいた。高さには不揃いはなく、正常に動作していたようだ。

S15シルビアR用純正フライホイール

そしていよいよ、見た目からしてゴツいフライホイールをチェック。これはデュアルマスフライホイールと呼ばれるもので、重量は12kgに達し、今回交換した部品の中では最も高価で10万円。クラッチディスクにトーションスプリングがない代わりに、クラッチミート時の衝撃をここで吸収できるよう、円周方向に僅かばかり動くようになっている。

重く高価なデュアルマスフライホイールを採用するに至った理由として、アイシン・エーアイ製6速ミッションが大きく関わっている。ミッションは、シルビアに比べれば軽量コンパクトなマツダ・ロードスター用に開発されたものをベースとしていることは有名で、キャパシティが小さくガラスのミッションとも言われている。しかも6速ともなれば内部のギヤが薄く共振しやすくなり、「ガラガラ…」といった歯打ち音や「ンガァアア…」といううなり音が出やすくなる。

わざわざ高価で重たいデュアルマスフライホイールを搭載した理由は、アイシン・エーアイ製6速ミッションの弱点を露呈させず、そして守るためだった。エンジンのフィーリングをあえて悪化させることで、ラフなクラッチ操作でもミッションへ伝わる力を緩衝させて壊さないように、そして薄く歯打ち音が出やすいギヤを黙らせている。同じミッションを使っているトヨタ・アルテッツァでも、やはりデュアルマスフライホイールを採用している。

パルサーGTI-R用SR20DET
▲12kgものデュアルマスフライホイールは、弱いミッションを守るだけでなく、SR20エンジン特有の、3,000rpm付近で起きるあのブルブルと揺するような振動を抑えることも関係している。このあたりはまた別の機会に。写真はパルサーGTI-R用SR20DETで、同じSR20DETを搭載するシルビアとはかなり異なる。

ファッション目的で軽量フライホイールを入れた結果、異音や振動を口にする人がいるが、もともとフライホイールは制振装置としての役割があり、エンジンやミッションにとって、最適な重量が設定されている。メーカーが熟慮して仕上げた回転部品を変えてしまえば、絶妙なバランスが成り立たなくなり、ドライバーは異音や振動を体感することになる。もっと言うと、異音や振動は車から異常を訴える悲鳴で、それを無視し続けるとどうなるかは、想像に難くないだろう。

→デュアルマスフライホイールの内部構造については、(シルビア用ではないが)製造メーカーの解説動画へ。


クラッチ周辺一式だけでなく、クラッチマスターシリンダーとスレーブシリンダー、レリーズベアリング、レリーズフォーク、クランクシャフトシールを交換。入院期間は一週間に及び、出庫日前日の夜まで作業を行っていた。ここまで変えればさすがに費用は高額になるものの、不安要素はなくなり、当面は安心して走行できる。クラッチペダルの踏み込みに違和感が無くなり、当然異音も収まった。しかも作業前とは比べ物にならないほどの軽さで、脚への負担も少ない。かなり無理な状態で走り回っていたことに、改めて気付いたのだった。