中古車かつ喫煙車だったS15シルビアは、エアコンがとにかく臭かった。初夏から秋口にかけてエアコンを使うと、冷えた風と共に、タバコ臭、カビ臭、運動部の部室臭(汗臭いニオイ)が吹き出し、快適な状態とは程遠かった。毎年の春にエバポレーターに向かって洗浄スプレーを吹き付けているものの、付け焼刃程度の効果でしかなく、毎年のように「くせぇ…異臭騒ぎだ」と口にしていた。非喫煙者にとって、タバコをはじめとする悪臭は耐え難いものがあることから、抜本的な消臭作業…分解洗浄を、いつもどおりのDIY(Dore Ittyo Yattemikka byサボリーマン)で行うことになった。
■前提条件■
1.エバポレーターを車体から切り離すことから、冷媒(エアコンガス)を予め所定の方法で抜き取っておき、作業後に再チャージしなければならない。エアコンガスを大気放出するわけにはいかないので、回収と再チャージはディーラーにて施工。
2.ヒーターの脱着に伴い、冷却水を排出しておき、作業後に注入する必要がある。
■消臭/洗浄作業■
作業当日に分解して洗浄、再組み立てという流れは非常に時間がかかるので、事前に車体から外せる部分は外して洗浄しておき、解体品を流用することも行った。
ヒーター編
ヒーター部分は冷却水を利用して熱風を作り出すだけでなく、デフロスターや足元吹き出しといった送風方向を切り替える機能も併せ持っている。送風方向は、プラスチックの板にスポンジが貼られた切替ダンパで行われているが、これがカビの温床や悪臭原にもなり、洗浄の手間や新しいスポンジの入手が難しかったことから、禁煙車だった解体品と入れ替えることになった。

解体品として入手したヒーターASSY。内部にヤニ汚れはなく、嫌なニオイもないことから程度は極上。


分解して内部を洗浄する。切替ダンパがスライドする部分は古いグリスが残っているので、洗浄後にグリスアップを行っている。

ヒーターコアの汚損も少なめながら、業務用洗剤を用いて徹底洗浄する。長年に渡って熱せられていたため、ヒーターのガタつきを抑える周囲のスポンジは自然と崩壊していた。

新しいスポンジを貼り付け、パイプ部分のOリングも新品に交換し、準備OK。この後、ヒーターASSYを組み立てて、このセクションは作業完了となる。
ブロア編
ブロアASSYは送風機能だけでなく、外気導入と室内循環を切り替える。先のヒーターASSY同様、切替ダンパにはスポンジが使われており、形状がシンプルだったことから洗浄して再利用している。ダッシュボードを外すことなく、車体から取り外すことができるそうだ。

外気を取り込む部分だけに、ダクト内部は雨水由来の汚れが大量に付着している。

ファンも同様に汚れている。大気の汚損状況がよく分かる。

ケースは分解、切替ダンパも含めてしっかりと洗浄していく。

モーターからファンを取り外し、単体にして入念に洗浄。

洗浄後のケース、ダクト内部。

きれいになったファンをモーターに装着して、組み立て待ち。

雨漏りを防ぐスポンジパッキンを貼り付けて、ブロアASSYは完成。
エバポレーター編
いよいよ悪臭源となるエバポレーターASSYの分解洗浄だ。先述した前提条件にあるように、予めエアコンガスを抜き取っており、取り外しできるようにスタンバイしておいた。やはりダッシュボードを外すことなく、取り外すことができる。

エバポレーターに繋がる、低圧用と高圧用の配管を切り離す。

配管が外れたら、車内側で取り外し作業を行う。早くもケース内部にある茶色い汚れが見えている。

ブロアASSYとエバポレーターASSYが取り外され、グローブボックス背面はずいぶんとスッキリした。この状態で走ると、かなりの騒音が侵入してくるそうだ。

フィン表面には、黒いカビ汚れがあちこちに見つかる。車を運転するたびに、カビの胞子を吸っていたようだ。

ケース内部には小さい枝や粉塵が積もって固着しており、水分を含めば悪臭を放つようになる。白いカビの集合体があちこちにある。あまりにインパクトのある状態で「うえぇ…」と声が自然と出る。

エバポレーターのフィンは黄色くなっており、タバコのヤニ由来の変色だろうか。ケースの底部では、茶色く変色した汚れが広がっている。

分解すると汚れ具合がよく分かる。植物の破片、カビ、粉塵のそれぞれをどんどん洗浄していく。

洗浄後。同一品とは思えない美しさ。

悪臭源だったエバポレーターは、業務用洗剤をケチることなく使用し、しっかりと洗浄しておく。配管のスポンジシールにまで付着していたカビが消えている。

業務用洗剤の威力は凄まじく、フィンの黄色い変色も落ちて元の銀色に戻っていた。ここから折り返し、エバポレーターASSYの組み立てを行うが…。

ケースを組み立て、フィルターを装着してみたところ、風の上流側…ブロアASSY側から見ると僅かばかりの隙間が生じており、フィンが剥き出しになっていた。フィルター部分よりも隙間部分のほうが風の通りが良く、粉塵が積もりやすくなってしまう。「フィルターの意味ないよこれ」ということで、隙間を埋める小加工を施すことになった。

ケースを分解して、再度状況把握。2cmほどの隙間を埋めつつ、配管への干渉をせず、除湿機能(排水機能)を維持、普段のフィルター交換にも悪影響を与えない手段を採る。

L字アングルとカット加工したウレタンで、隙間塞ぎ。さらにプラ板を重ねることで、ウレタンが崩れにくくなるように配慮しておいた。ネジ部は緩み止めと防錆を兼ねて、シリコンシーラントを盛っておく。

隙間を塞ぎ、エバポレーターASSYを組み立ててみるとフィンが見えなくなり、汚損に対する耐久性が向上する。


エバポレーターASSYの上流側と下流側に新しいスポンジパッキンを貼り付けて、分解洗浄、組み立て作業は完了。
車体編
車体側のショートパーツも同時に交換しておく。

ドレンホースを固定するフックを交換。

エバポレーターの配管部分にある、グロメットも交換しておく。
これでヒーターASSY、ブロアASSY、エバポレーターASSYの三部分全ての分解洗浄が完了、残るは車体への組み込みとなる。組み込みに関し、現車のヒーターASSYを取り外して交換することになるので、ダッシュボードの取り外しが必要になる。作業当日に向けて何度も事前打ち合わせ、シミュレーションを行って、作業の流れを頭に叩き込んでおく。