エアコンを使うと悪臭を伴った風が吹き出てくるS15シルビアに対し、ヒーターASSY、ブロアASSY、エバポレーターASSYの三部分全てを分解し、洗浄したのが前回まで。今回は、洗浄を終えたASSYたちを車体に装着し、元の状態に戻すことになった。
ヒーターASSYを切り離すことから冷却水を全て排出し、バッテリーのマイナス端子を切り離すといった下準備を行ってから、ダッシュボードを取り外す。

ダッシュボードの取り外しをスタートしてから、外す場所を覚える事前訓練のおかげで、30分でこの姿になった。ここでタイミングよく、寝不足と体調不良で顔色が悪いサボリーマンが登場。運転席側から助手席側に向かって横断する鉄パイプは、二人では降ろすのに非常に苦労することから、S15オーナー、サボリーマン、私の共同作業となった。
鉄パイプが外れたら、次は汚れて悪臭源の一つであるヒーターASSYの取り外し準備。ラジエターのドレンコックから冷却水が出なくなれば、ホースの切り離し準備はOK。

ヒーターのパイプから二本のホースを切り離す。実はこのS15シルビアはトヨタ純正の冷却水を使用しており、赤い色がパイプに付着している。新しい冷却水は日産純正品を使用し、色は緑。二つの色を混合すると、どす黒い色に変色してしまうので、エンジン内に残っているトヨタ純正の冷却水は水道水を使って洗浄、排出しておく。

ヒーターASSYが外れる瞬間。この外れたヒーターASSYはもう使用しないので、廃却する。

エアコン関係の部品が全て外された車内の様子。ヒーターASSYの裏側には、ヤニまみれの粉塵が大量に付着していたことから、洗浄済みのヒーターASSYを装着する前に徹底的に拭き掃除をしておく。

ちなみに、ダッシュボードの裏面に装着されている各ダクトも、9月の事前訓練の時点で洗浄済み。ここまできたら、一旦昼食休憩。ここから折り返し作業が始まり、バラすよりも組み立てるほうが時間が掛かってくる。

最初にヒーターASSYを装着する。ヤニで黄色く染まり、ついでに粉塵まみれだった古いケースと比較すると、清潔感のある真っ白なケースになっている。禁煙車ならば、こうでなければ。

ヒーターのパイプに、冷却水用のホースを接続しているところ。ABSアクチュエーターとブレーキ用の配管がとても邪魔で、高温高圧に耐えるためのホースバンドが非常に硬く、装着するまでにはかなりの時間を要することになった。

無事に二本のパイプがヒーターに繋がったら、冷却水を注入しておく。ペットボトルを流用した漏斗では、冷却水が熱せられることで縮んでしまい、保持できなくなって水浸しになってしまった経験から、アストロプロダクツ製のクーラントチャージャーを使うことになった。専用品だけに、一滴も冷却水をこぼすことなく注入することができた。

次にブロアASSYを装着する。

そしてエバポレーターASSYを装着する。エバポレーターASSYは左側にあるブロアASSY、右側のヒーターASSYによって支持されるかたちになるので、最後に装着することになる。この後、エンジンルーム側で冷媒(エアコンガス)用のパイプを連結する。このとき、連結ナット内のOリングを新品に交換しておく。

エアコン関係の部品全てを装着することができた。見慣れた姿に戻りつつあり、鉄パイプを装着してハーネスをどんどん接続、エアバッグやダッシュボードを順次戻していく。「ここのビスって何使うですか?」「ミリネジじゃないやつ」「あーもう!この瞬間が、日産車だねぇ」という会話が続く。

ダッシュボードが車体に装着されれば、ナビ/オーディオ関係のメンテナンス時に近い環境になるので、もう自然と手が動くようになってくる。

センターコンソール等を装着し、全てのハーネスが接続できたらバッテリーのマイナス端子を接続、エンジンを始動。吹き出しの切り替え動作及び、室内循環と外気導入の切り替えが確実に動作しているかチェック…OK。後片付けを行いながら、冷却水の漏れがないか確認しつつ、エア抜きと追加補充を続ける。シルビアのエア抜きは時間が掛かるらしく、特にヒーターに冷却水が循環し切るまではだいぶ待たされた。車内側の仕上げ、エア抜き担当、車外側の仕上げと三人で分担して作業を続け、日が暮れたあたりで全てが終了、実に9時間もの作業時間となった。冷媒(エアコンガス)の再充填は、後日施工とのこと。
そもそもの問題だったタバコ臭、カビ臭、運動部の部室臭(汗臭いニオイ)が混じった送風については、ヒーターASSY、ブロアASSY、エバポレーターASSYの三部分全てを分解洗浄したことで、無事に解決した。今現在はヒーターコアとエバポレーターの周囲に貼り付けている、新しいスポンジゴムのニオイ(クエン酸に近いニオイ)が若干混じっているところだが、時間の経過と共に落ち着くはずで、先の悪臭に比べればはるかにマシ。
室内循環モードにしたまま喫煙すると、送風部分全てにタバコ臭が付着。エアコンフィルターを使わなかったことで、粉塵や大小いろいろな植物の破片を吸い込み、エバポレーター由来の水分により腐敗臭が発生。これらを消臭するために、洗浄スプレーなどのケミカル剤を使ったところで、実際は悪臭を目立たなくする程度にしかならず、時間稼ぎにしかならないことが分かった。抜本的に消臭するには、非常に手間は掛かるが分解洗浄しかない。
ダッシュボードからエアコン関係まで、外す部品がとにかく大量、冷却水の排出と注入、そして冷媒(エアコンガス)の抜き取りと再充填と付帯作業だらけだが、作業前と後では車内環境がまるで違うことから、手をつける価値は絶対にある。カーエアコンの洗浄業者も探せばけっこうあるので、依頼するのもありかもしれない。
車内で喫煙すると、エアコン関係へ悪影響を及ぼし、洗浄には大変な苦労を強いられる。生まれてから今に至るまで、タバコを口にしないで正解、これからも吸うことはないだろう。
洗浄スプレーによる効果もでなくなり、悪臭に耐え切れなくなったのが今年の四月。その後の下調べから本作業まで、合計七ヶ月もの準備期間となり、ようやく区切りを迎えることができた。ミスすることなく無事に作業が終わり、あっという間の楽しい一日だった。総員、お疲れ様でした。