高くも低くもない気温と、十分に長くなった昼の時間で、車いじりにはちょうどいい季節の春。毎年4月はエアコンのメンテナンスとして、エアコンフィルターの交換とエバポレーターの洗浄をDIYで行っている。しかもこの作業、難易度もそこまで高くはない。定期的なメンテナンスにより悪臭の低減と防止の効果がある。
エアコンフィルターを外すまで
まずはグローブボックス下部のヒンジ部分のボルトを外し、グローブボックス本体を外す。モノが入ったグローブボックスは意外と重いので、突然の落下でケガをしないよう注意。
グローブボックスの左側、赤丸のネジを外してカバーASSYを取り外す。カバーASSYは上下の白丸部分内部で、金属クリップでフレームに装着されており、少し強めに引くと外れる。経年劣化によりカバーASSYの爪が弱っていることから、強引に外して割れや折れといったダメージを与えないよう、注意が必要。
赤丸のボルト4本を外して、グローブボックスの金属フレームを外す。右側のボルトは、1本がダッシュボードパネルの陰に隠れているので、ラチェットレンチやスパナで外す。
ハーネスを保護し、作業範囲を拡大するため、赤丸のボルト2本を外して外気導入と室内循環を切り替えるアクチュエーターを外す。アクチュエーターのハーネスは接続したまま、宙に浮いた状態になる。そして赤矢印で固定されている、エアコン用サブハーネスを外せば、いよいよエアコンフィルターへアクセスできる。
黒いダクトの中央に位置する、フィルターカバーを外せばフィルターが見える。ハーネスを上側にズラし、ゆっくりとフィルターを動かせば引き抜くことができる。フィルターから細かな粉塵が飛び散らないように、丁寧に取り外す。
フィルターを引き出している。
フィルターを装着したまま長年放置する等メンテナンスを全く行っていなかったり、フィルターを装着していないと、ダクト内部に枯葉や異物、虫の死骸、大小さまざまなゴミが詰まっていることがある。
クーラーを使うと中は凝縮水による湿気に包まれ、枯葉や虫の死骸は腐敗して異臭の原因にもなる。ゴミや虫の死骸を通り抜けた風を吹き付けられたら、不快極まりない。快適な車内を実現するには、この場所を常に清潔に保つことが重要になる。
エバポレーターの簡易洗浄
フィルターを外したタイミングで、異臭やカビを防止するためにエバポレーターを洗浄する。
洗浄剤としてアース製薬の『エアコン洗浄スプレー』を使っている。本来は家庭用エアコン向けで、スプレー缶には「カーエアコンには使用できません」と記載されている。つまり基本的に使用不可能だが、かれこれ毎年作業しており、問題は起きていない。
このままスプレーすると洗浄液は真っ直ぐに飛んでしまい、エバポレーターに付着しにくい。そこで洗浄用の道具を作る。
ブレーキクリーナー用のノズルを半分に切り、2本にする。押しボタン部分を含めて1本はスプレー本体にセット、残ったもう1本はノズル単体で、先端をライターで軽くあぶって柔らかくして、90度近くに曲げる。
押しボタン部分と先端ノズルは、自在に動かせるようシリコンホース(ここでは、エンジンRCカー用燃料ホースを使用)で繋げる。適当な棒の先に、結束バンドで先端ノズルを固定することで、エバポレーターの手前から奥まで洗浄することができる。
洗浄スプレーに本来装着されているトリガーノズルを外し、先ほど作った延長ノズルセットを装着する。これで洗浄準備は完了。
洗浄作業中のワンシーン。右手でスプレーを持ち、左手で延長ノズルを操作する。エバポレーターに奥から手前まで満遍なく洗浄液を吹きかけていく。洗浄スプレーの説明どおりに、一缶全てを使い切って洗浄していく。
20年目のエバポレーターの様子
エバポレーターのケースは上下に分割された部品で組み立てられているので、下側を外してみた。初度登録から9年間はエアコンフィルターは未装着、以後はフィルターを装着し、そして毎年の洗浄を欠かさず行うというメンテナンスパターンで、エバポレーターはどのようなコンディションになっているだろうか。
エアコンフィルターを装着していても、フィルターに引っかかることなく落ちた異物や細かな粉塵が蓄積し、砕け散った枯葉に至っては長年の湿気で腐葉土と化していた。白いカビのようなものも認められたが、これらは歯ブラシによるブラッシングと高圧洗浄機で除去することができた。
毎年の洗浄でエバポレーター本体はキレイな状態を保っているが、スプレーノズルが届かない奥側の配管周辺に枯葉、粉塵、そしてなぜか髪の毛が絡み付いていた。対し、スプレーノズルが届きやすい手前部分には異常が無いことから、毎年の洗浄効果はあると判断できる。
新品フィルターについて
洗浄スプレーを使い切ったら、新しいフィルターをセットすることになるが。
2024年3月現在、長年に渡って使い続けてきたDENSO製クリーンエアフィルターDCC3002(014535-1010)は生産が終了してしまい、入手できなくなっている。
幸いにも、他のカーエアコンフィルターメーカーからEKシビックに適合するエアコンフィルターは販売されており、フィルターが無いまま使用する事態は避けることができている。
実態を知るべく、他のエアコンフィルターを入手して調査したレポートはこちら。
新しいフィルターをセットして
エバポレーターの洗浄を終えたら、作業は折り返し。新しいフィルターをセットして、分解手順の逆で組み立てていく。
グローブボックスの装着前に、エンジンを始動。送風モードでエバポレーターを乾かしつつ、フィルターカバーからの風の漏れや異音、外気循環と室内循環が正しく切り替わるか確認する。異常が無ければグローブボックスを装着して、全ての作業は終了となる。
古いフィルターの折り目には、細かい砂がびっしりと詰まっている。他に枯葉の破片、タンポポの種、ハエの死骸が見つかった。フィルターがなければ、これら全てが室内に吹き出していることになる。
異物がエバポレーターの奥に入り込むと、分解しなければ除去できず、素人の整備作業では難しすぎる。フィルターを定期交換しておいてよかった…としみじみ思う瞬間だったりする。
〆
エアコン周りのメンテナンスは、夏に向けての下準備だ。本格的にエアコンを使う前に、フィルターを新品に交換しておくことで、キレイで冷たい空気を車内に供給できる。小さな風導ダクトで大量の風を流すことから、フィルターの状態で冷房の具合が大きく変わることがある。
冷房だけでなく暖房でも大量の風が通るので、実は年間を通じて酷使されている部分だ。目詰まりしたフィルターは風を妨げ、快適な車内環境を維持しにくくしてしまうことからも、定期交換のペースは守っておきたい。