1970年4月、アメリカで行われた三度目の有人月飛行となるアポロ13号は、酸素タンクの爆発により月面着陸ミッションを中止、数々の危機を乗り越えながら無事に帰還した。
船内環境を維持する電力、生きるための水といった物資が足りない一方で、二酸化炭素が増え続けて困るという問題が起きていた。
救命ボートとして避難していた月着陸船は、本来は船長と月着陸船パイロットの二人が過ごすように設計されていたが、そこに司令船パイロットが追加されたことで船内フィルターが二酸化炭素をろ過しきれず、次第に濃度が上昇して二酸化炭素中毒の恐れが出てきていた。予備のフィルターは用意されていたが、形状が異なりそのままでは装着できなった。

2014年の幕張で行われた宇宙博において、展示されていたアポロ宇宙船の二酸化炭素除去装置。右側の四角いフィルターを左側の円筒形のブラケットに装着しなければならないが、物理的に無理な話。
どうにかして接続しないと、二酸化炭素の濃度が上昇し続けていることから、このままでは三人の宇宙飛行士が窒息死してしまう。そこで接続方法を考えることになり、しかも使える材料は船内にあるものだけ…という条件だった。

NASAのミッションコントロールセンターで、完成した応急用フィルターを手にする管制官たち。地球上では出来上がったものの、宇宙に持っていけるはずがない。そこで、NASAから三人の宇宙飛行士に対して作成手順を声で一つひとつ指示し、船内で組み立ててもらうことになった。

船内の備品を流用して、応急用フィルターを組み立てているところ。材料は司令船用のフィルター本体、ビニール袋、粘着テープ、靴下、宇宙服用のホース、フライトマニュアルのボール紙など。写真の人物はジャック・スワイガート司令船操縦士で、危機的状況の中でも、どこか楽しそうなのが興味深い。実際、完成した際はドヤ顔で「わが日曜大工的、水酸化リチウムカートリッジ、完成」と報告を入れたそうだ。

月着陸船の壁に装着された、応急用フィルター。出来上がったフィルターを、宇宙飛行士たちは「メールボックス」と呼んだ。映画アポロ13内での再現では、帰還中に突如発生した問題の一つとして扱われていたが、実際はトラブルが起きて月着陸船に避難した時点で、ある程度予測されていたようで、慌てて準備する様子は映画上の演出とのこと。
2017年4月後半、あるEK9シビックRが、余命宣告を受けた。EK9関係のブログでは大手の一つ「EK9で快適生活(現、BRZで快適生活)」のシビックで、フロアパネルの錆でサスアームが外れる寸前にまで陥っていた。この一件はEK9乗りではかなりの反響があったようで、私も慌てて再チェックを行ったほど。錆びた部分はEK系シビックでは弱点の一つで、現車でも錆が発生していた。防錆剤を塗布しても安心できず、常にチェックし続けなければならない部分だ。
私はEK9で快適生活の読者だったし、そしてEK9で快適生活の管理者様も当サイトの読者だったわけで、この一件からメールのやり取りが始まる。その中で、EK9で希望するパーツがあれば譲りたく、有効利用してもらえないか?という流れが起きた。ネジ一本すら扱いが難しくなりつつあるEK9だけに、この提案を万々歳で受け入れた。

届いた巨大な箱には、大小様々なパーツがぎっしりと収められていた。ここのところのレカロシートネタを心配して、シートカバーまで送ってくれたのはありがたい。

二つ目の箱には、僅か5万キロで外されたという純正脚。既に現車のリアショックは防音ゴムが失われて異音が発生しているし、フロントショックに至ってはラインオフから19年25万キロに渡って使い続けているため、いい加減リフレッシュしたいと思っていた。部品の性格上、後々一旦バラして、抜けや損傷がないか再チェックだ。
月を目指している中で、部品問題を少しでも解決するための重要な『メールボックス』となった。アポロ13号のような帰還中のことではないが、月絡みで遠方からの解決策がやってくるなんて、似たような出来事が起きてびっくりしたし、本当に助けられた気分だ。ボックスに詰まった一つひとつのパーツをチェックして、有効活用していきたい。
ありがとうございました!>BRZで快適生活管理人様