新宮駅に降り立ったら、次の目的はJR東海の新型車両『HC85系』に乗ること。先代となるキハ85系は、6月に断念した八木新宮特急バスの代わりに乗っており、新旧の車両を短期間のうちに乗ることができた。

夜明け前出発につき、まともな撮影は無理。このHC85系を使った特急南紀は、2023年7月1日よりスタート。
非電化区間を走るためにディーゼル車となっているが、エンジンで発電してモーターを回し走行するという、シリーズハイブリッド方式を採用している。車なら、日産e-POWERが当てはまる。

ディーゼルカーながらモーターで走るために、形式は電車と同様のクモハ(運転台及びモーター付きの普通車)と記されている。

出発する前に、車内設備を見ておく。まず見たのはトイレで、主流の真空式ではなく噴射式。あえてシンプルな噴射式を採用したのは、床下の配管や便所システムで使う空気量を減らし、少しでもコストを抑えるためだろうか。

相変わらずJR東海らしさ抜群の洗面所。

沿線の工芸品を展示する「ナノミュージアム」が設置されており、この編成では『飛騨一位一刀彫 俵にねずみ』。

列車案内表示器にはハイブリッドシステムの動作状況が表示され、加速中はエンジンで発電機を回し、そこにバッテリーからのアシストも併せてモーターを回転させている。逆に減速する場面では、モーターからバッテリーに充電されている様子が表示される。駅に停車すれば、エンジンは止まって静かになる。
非常に凝った車両で、技術と設計側のやりたいことを詰め込んだような印象。走行はディーゼル車のソレで、加速ではエンジンとタービンが唸りを上げる。ただ、先代のキハ85系と違って、速度に応じたギアチェンジの振動やエンジン回転数の変化はなく、このあたりはハイブリッド車ならでは。ハイブリッドシステムを搭載した気動車が増えていくとなれば、音や振動でギアチェンジを体感できるというのも、遠い将来はなくなっていくのかもしれない。
JR東海区間の路線を走ることになり、線路に金を掛けられることが、乗り心地の良さ繋がることを再認識させられる。同じ紀勢本線ながら、JR西日本区間とは雲泥の差だ。