「落としたら動かなくなっちゃったから、直せないか」と組織の副社長から時計修理依頼。落としたとなれば、いろいろな可能性を考えて準備を整え、到着を待つ。

やってきたモデルは、セイコー ルーセント 5E21-6E90。昔から腕に付けていたなと思い出しながら、さっそく調査開始。
受け取った時点では確かに動いていない。歯車の軸折れや曲がりを覚悟しつつ、まずはリューズを動かしてみると回転に変な感触はなく、少なくとも時刻調整は可能。
やはりムーブメントを直接確認しないとダメなので、裏蓋を開けるためにリューズを元に戻すと、ちょい古セイコームーブメント特有の「ジャッ…ジャッ…」という運針の音が響き始めた。あれ?
ムーブメントとケースを分離してチェックすると、なんとなく不動になっていた原因が掴めてきた。

リューズパイプに積もった汚れ。恐らく、落とした瞬間にリューズが飛び出してしまったが、パイプに積もった汚れに引っかかって、中途半端な位置にズレてしまう。それでもモーターの動力が伝わる歯車からは外れているので、運針が止まったまま…と。

裏蓋の隙間にも汚れがある。ケースの汚れを含めて、キッチリとクリーニングを行う。パッキンそのものは正常に機能している。
落としているという事前申告から、ムーブメントのダメージがないか引き続き調査を続けることになった。返却までしばらくお待ちください。>副社長