回路設計は終盤に差し掛かり、ケースに収めて体裁を整えた。通常ならば、ここで最終試験を経て調整を繰り返し、完成というのが本来の流れ。そんなことはせず、いきなり実践投入し、そこで合否をチェックするという、サターンVロケット方式に出る。動作確認に使う部品はデスク上にあるので、そこで何度もチェックを繰り返しており、実践においても基本的には不具合は出ないと分かっていたからこその、ある種の暴挙。
さて、作製した回路を本番の試験装置に接続。スイッチを動かしながら様子を見ていると、指先にゾワゾワとした感覚がある。この不快感を伴う指先の違和感は、感電ではないか?と真っ先に疑った。
回路で使用している電源はアースが必須となっていて、しかも接続先の試験装置は水を扱っている。右手でスイッチを扱いつつ、左手で試験装置の給水バルブに触れていると、人体を通じてアースが成立してしまうらしい。これは重大な危険性があり、机上チェックでは見つけられなかったトラブル。
適当なケーブルを用意して、ケースとコンセント部分にあるアース端子を繋いでみると、指先のゾワゾワ感は完全に無くなった。流れにくい人体よりも流れやすいアース線に電気が流れるようになって、危険な状態を脱することができた。
活線状態で作業して、ちょっとした拍子でビリッと電撃を食らうことはあり、車の整備でも指先がプラス側ケーブル端子に触れている状態で、ボディアース側に触れてズキズキと感電したこともある。調子の悪くなった機械に触ったままドアノブに触れたらバチッと激痛が走ったとか、カメラのストロボ回路を分解していて、強烈な電撃を受けたことも。ストロボ回路の感電は本当に痛く、電撃を受けてしまった右腕は一日動かしにくかった。
ピーク時は0.89mAで最小感知電流を下回るが、過去の感電の経験から、今回の異変に気づくことになった。実践投入は一応合格判定、但しアース線を緊急追加するというオチも付く。