フルモデルチェンジで生産継続

今年に入って早々に、オメガはスピードマスター ムーンウォッチの新バージョンを発表。さっそく「いかがですかー?」とアナウンスも入ったため、どのようなモデルなのか。チェックすることになった。

OMEGA SPEEDMASTER MOONWATCH PROFESSIONAL Master Chronometer

現状で抱いている不満点が、ほぼ全て解消されている。究極のスピードマスターかもしれないというのが、率直な感想。見た目は殆ど変更がなく、1957年の登場以来の基本デザインが現代まで生き残っている。

アポロ13号でのエンジン噴射時間(14秒)を正確に測ったとされながら、実使用上での精度はあまり良くない。購入から初回オーバーホールまでの間、「この精度で、本当に噴射時間が出せたのか?」と思ったほどの精度しかなかった。

事実、所有しているスピードマスターについての精度は、クロノメーター規格ではないため『日差-1~+11秒の平均誤差』とされるが、使い方を考えても、プラス側(進み側)が強めに出ている。現状でこの精度で、クロノメーター規格を上回るマスタークロノメーター規格に準拠したならば、精度の面では不満はなくなるかもしれない。

もう一つ、マスタークロノメーターに準拠したことで、耐磁性能が大幅に向上した。15,000ガウスという数値は、日本工業規格の耐磁性能である4,800A/mを大幅に上回る、1,193,700A/mもの数値だ。MRIに突っ込んでも異常が出ないほどの耐久性となる。

スマホやパソコンといった情報機器は、必ず磁石が存在する。機械式時計にとって、この磁石は弱点そのもの。時計に磁気が帯びてしまうと動作に支障が出て、早い話が故障する。その修理は非常に面倒かつ厄介で、完全分解して部品一つひとつを脱磁することもある。

そんな磁気を一切無視できるようになったメリットは大きい。現状、パソコンを扱う際は必ず腕時計は外し、スマホについても左手では絶対に持たないようにしているほど。それだけ磁気と機械式時計は、相性が悪い。特にノートパソコンは、キーボードをタイプするとなれば手首はパームレスト部分に置かれることになり、ここで磁気のダメージを食らう。

ブレスについても装着感が向上したとされるが、こちらについては現状でも不満がなく、手首に合わせたコマの調整次第ではないか。バックル部分のデザインが大幅に変更され、Ωマークがでかでかと配置された。

Ωマーク入りのバックル

比べてみると、その変わり具合がよく分かる。

旧スピードマスターのバックル

好みが完全に分かれるところ。飾り気のないステンレスベースに文字を掘り、計時機器らしく仕上げたのが旧モデルとすれば、新モデルはラグジュアリー方面に振ったような印象。どちらも悪くはない。

以前からスピードマスターそのものが生産終了との噂があったが、こうしてモデルチェンジを経て現行製品として販売が継続されるとは、心配が杞憂に終わって安心した。

耐磁性能のメリットで、所有モデルを売却して買い直すことも一瞬考えたが、cal.1861/1863を搭載した旧モデルでもメリットがあることを思い出た。cal.1861/1863のマイナーチェンジ前となるcal.861/863時代から見ればその総数は多く、それだけノウハウが積み重なっており、維持のしやすさに繋がってくる。新型が出て、旧型の愛着がより増してくることは、車だけでなく時計でも当てはまるようだ。

※当ページの一枚目、二枚目の写真はオメガ公式Webサイトより引用。