シャウカステン

病院の診察室に入ると、医者用のデスクと椅子があって、その横には診察用のベッドがあり、患者は丸椅子に座ることになる。デスクの上にはステンレスのいろいろな医療器具が銀色に輝いており、子供にとっては恐怖の一つかもしれない。脳や心臓の模型が置かれている場合もあり、それらによって雑然としながらも、病院の先生のデスクというイメージになってくる。

大小さまざまなものが置かれているデスクにおいて、最も大きなスペースを占めているのが、シャウカステンという名前の器具。シャウエッセンではない。明るい灰色で、なんとなく電源が切れているような雰囲気だが、使うシーンはレントゲン撮影を行って診断するときだ。

撮影したレントゲン写真のフィルムをセットして、シャウカステンの電源を入れる。すると白く点灯し、白黒なレントゲン写真を透過光によって画像診断ができるようになる。

シャウカステン

救急医療24時等の特番で、救急患者のレントゲン写真をシャウカステンにセットし、大勢の医者が「あーこりゃ酷いな」と口にしながら、治療方針を組み立てるといったシーンはお馴染みだろう。

ここ数年、腰痛や肋骨の骨折といったトラブルで、レントゲン撮影による画像診断を受けることが増えた。撮影は一瞬で終わって、診察室では大きな液晶モニターに先ほど撮影した写真が表示されており、マウスの操作によって患部のサイズを表示し、位置を動かして表示することも自在。

しかし、お馴染みの黒いフィルムをシャウカステンにセットして、背後から照らしてペンで示しながら説明するという光景はなく、「フィルムをセットするあれはないんすか?」と聞いたところ、「今はデジカメみてぇなもんだよ」と笑いながら教えられたことがある。撮影から表示もデジタル化が進み、シャウカステンは使わなくなったという。よって、シャウカステンに代わって、大きな液晶モニターが設置されるようになったとのこと。

レントゲン写真をシャウカステンに下からカシャッとセットする、あのキレのいい一連の流れは、いつしか過去のものになるのだろうか。