シチズン ホーマーの外見上における不具合は、風防の割れ、カン穴(ラグ穴とも、以下ラグ穴)にバネ棒の先端が詰まっていること、そして文字板表面の損傷といったところ。文字板の修復、リダンは完全に専門外なので、除外するとして。
今回は、ラグ穴にバネ棒の先端が詰まっていて、ブレスやバンドのバネ棒が装着できない状態を修繕することになった。まずは作業前の状況から。

このとおり、穴の中に金色に輝くバネ棒の先端がハマっている。折れた破片が穴の内側に刺さることで、それが釣り針のかえしと同じ状態になってしまい、突いたりする程度では取ることができない。
仕事上では、折れてしまったネジやボルトを抜き取る作業が日常的にあり、穴の修正は慣れているが…。時計の穴になると、実測1.02mm程度で、応じてドリル刃も細いものになる。もしも刃を穴の中で折ってしまえば、ますます困難な事態に陥ることは目に見えているが、手を出した以上は覚悟を決めてやるしかない。

刃物を扱うことや切り粉が出てくるので、養生テープを貼っておき、余計な傷を入れないように防御しておく。ドリル刃を装着するピンバイスは、RCカー用の工具箱の中にある。車(四輪二輪)、自転車、RCカー、時計、それぞれが必要とする工具は、相互に使うことが多い気がする。

もう一度、穴に詰まったバネ棒の先端を確認する。以前のような金色の輝きがなくなっている背景として、ケースを水で洗浄しており、異種金属の接触と水分による、電食が考えられる。良くない状態に陥っていることは間違いないので、慎重にドリル刃を当てて、少しずつ穴をもんでいく。
金色の細かい切り粉がポロポロ出てきて、順調に進む。ある一定の深さまで達したところ、急に手応えがなくなった。詰まっていたバネ棒の先端は、全て切り粉として粉砕したようだ。

このとおり、無事にラグ穴から詰まっていたバネ棒の先端を除去することができた。穴の中をブロアで入念に清掃し、破片や切り粉をしっかりと除去する。写真をよく見ると、穴の中に残る円形の破片が撮影されており、これはバネ棒先端のメッキ部分。ブロアでクリーニング中に、ボロッと出てきた。

バネ棒をセットしてみて、大きなガタつきや抜けがないか何度も確認し、正常な状態、将来的にブレスやバンドをセットできるところまで修繕することができた。
時計修理における、数ある山場をまた一つクリアし、同時にリペアスキルもゲット。これが面白い。