天竜川橋梁を歩く

四回目の佐久間ダム周辺訪問だ。自宅から片道300kmほどなので日帰り圏内だが、そうなると散策するには時間が不足気味となってしまう。そこで今回は、佐久間ダム近くで泊まることにして、十分な時間を確保。行きたかった場所をじっくり歩き回ることにした。

佐久間ダムは、飯田線と密接に絡んでいる。佐久間ダムの建設に伴って飯田線の一部区間が水没することになり、補償として1955年(昭和30年)に新線に切り替えられた。旧飯田線の線路跡はダム湖の底に沈んでいるが、冬場でダムの水量が減るとトンネルが露出することがある。

佐久間湖に沈んでいる旧飯田線のトンネル

沈んでいた旧飯田線のトンネルが露出した様子。2013年2月撮影。ここ以外にも旧飯田線の線路跡はあるようで、中部天竜駅と佐久間駅間にも、今も僅かながら残っているそうだ。旧飯田線のトンネルを眺め、静岡県道288号大嵐佐久間線を踏破しても、佐久間ダム周辺の宿題はまだ残っており、それが天竜川橋梁の線路跡というわけ。

走り慣れたR152、右側に見え続ける天竜川はやけに濁っている。いつもと違う川の色の謎はすぐに解けて、秋葉ダムでは放流が行われていた。

秋葉ダムの放流

中央の二ヶ所のゲートが開いて、ダムの水を放流している。R152の浜松市街地側から秋葉ダムへ入るのはラクだが、秋葉ダムからR152の佐久間ダム方面へ戻るには、見通しの悪いトンネル内交差点を曲がらなければならないという、難易度の高い運転を強いられる。無灯火+高速走行で対向車がバンバン来る場所だけに、入るとなかなか戻れない罠みたいなもの。

それでも放流しているダムを間近で見たことが無かったため、あえて秋葉ダムを経由する。

ゲート上より放流を観察

轟音が心地よい。ゲートは少しだけ開いているようだが、放水量はかなりのもの。

塗り替えられた取水口

秋葉第一、秋葉第三発電所の取水口。2016年8月に訪れたときは、取水口のスクリーンは錆で茶色くなっていたが、 メンテナンスの一環で塗りなおされたらしく、鮮やかな水色でリフレッシュされていた。

そんな寄り道を経て、中部天竜駅に到着。近くにある駐車場に車を置いて、ここからは徒歩。線路沿いに歩いて、佐久間駅方面に歩いていく。

天竜川橋りょう入口

すると線路の盛土区間へ入れそうな細い道に出てくる。もしかしてこれか。

三信鉄道殉職碑

細い歩道を歩いてくと、まず出てくるのは三信鉄道の殉職碑。三河川合駅と天竜峡駅の間は三信鉄道によって開通しているが、中央構造線の脆い地盤で工事が進まず、そこに暴風雨の崩壊などがあって50人以上が亡くなっている。

飯田線沿を歩く

歩道はそのまま線路のすぐ横にまで近づく。

振り返ると引込み線

振り返ると中部天竜駅から伸びる引込み線があった。線路が設置されている場所柄のためか、旧飯田線の跡に見えてしまう。

まるで保線員の気分

線路の横を歩いていく。保線屋になった感じで、線路の脇に出た瞬間、人差し指が動いて左右を確認してしまい、すっかり毒されていることを感じた。

鉄橋部分に到着

目的地である天竜川橋梁に到着。住人からの要望と利便性向上のため、一般の人が歩けるように開放されたそうだ。

旧飯田線の橋脚の跡

天竜川橋梁から川を見下ろすと、旧飯田線の橋脚跡が二つ見えてくる。

土台部分は残っている

一つ目の橋脚跡は川の中にあって、ついでに囲いができている。

ダム設備に混じった土台部分

二つ目の橋脚跡は、佐久間発電所の放水路のコンクリートに混じっているが、特徴ある形状だけは残っている。

飯田線の電車が通過

飯田線の電車が通過。人が往来することが当たり前の場所なので、警笛を鳴らされたりすることもなく、あっという間に走り抜けていった。

橋脚の土台部分に降り立つ

天竜川に下りて、橋脚跡を間近に見る。鉄橋部分から見えた囲いは、古い線路だった。製造年数やメーカーの刻印があれば詳細なことが分かったが、いくら見回してもそれらしい表記は一切なし。

天竜川橋りょうを川から眺める

先ほどまでいた天竜川橋梁を見上げてみる。

旧飯田線の方向を見る

佐久間発電所の放水路に組み込まれた、二つ目の橋脚跡方面を見る。この方向に旧飯田線は伸びていたはずで、現在は発電所の建物がある。

旧飯田線の線路はこの下

川から戻り、R473側から佐久間発電所内の線路があったはずの場所を探してみる。方角的に、この写真の奥に進んでいくと中部天竜駅があり、この下が旧飯田線があったことになる。

何か怪しい建造物がある

その線路跡はこのあたりにありそうだな?と金網越しにチェックしていくと…。

旧飯田線のトンネル跡

あった。これこそが、旧飯田線のトンネル跡だ。ネット上ではこの鉄格子を目前にした写真がいくつも見つかり、発電所内部なので立ち入っていいものなのか。たまたま職員と会話することができて、「線路はあることはあるけど、作業用のトロッコ線路でしかないら」「今はいわば物置みたいなもの」「過去にどうしても撮影したい!という人が訪れてねぇ…」とのことだった。

こうして天竜川橋梁の橋脚跡をチェックする宿題を片付けて、日が沈む前にキャンプ地へ。本来ならテントを張る予定だったが、これから雨が降る予報になっており、コテージでの宿泊となった。