松阪駅の近くで、松阪牛の昼食休憩。ここから紀勢本線の特急列車、南紀で新宮に向かう。
本来の予定であれば、近鉄大和八木駅から新宮駅を結ぶ路線バス(169.8km、停留所数168、下道オンリーであれば日本一の走行距離を誇る)に乗るつもりでいた。しかし先日の台風2号と梅雨前線の大雨により、経路となる国道168号に問題が発生したようで、通しで乗れなくなった。
乗るバスがウヤ(運休)になってしまい、それでも新宮に行くとなれば、鉄路しかない。特急列車の南紀で使われているキハ85系気動車の引退が近いらしく、それなら乗っておくか!と計画変更。キハ85系は、最初で最後の乗車となる。

快調に紀勢本線を進む。世間は平日で、さらに昼過ぎという閑散時間帯なので、空席が目立つ。ちょうどカーブ内に進入したところで撮影し、線路のカントで左側に傾いている。削除しようかと思ったが、ピントがしっかり合っていたため保存したもの。車体傾斜装置が付いているわけではない。

車いす対応の洗面所設備。1990年代の古い設計とはいえ、JR東海らしいデザインは現代まで受け継がれていることに驚きがあった。

「まだあるのか!」と思わず撮影した殺菌灯。新幹線では700系まで使われており、以後の形式では姿を消した。殺菌灯による殺菌の仕組みとしては、253.7nm波長の紫外線を放ち、細菌やウイルスのDNAを破壊、細胞分裂を不能にすることで死滅させるそうだ。
点灯中は紫外線が照射され続けているので、直視すれば短時間でも目がピリピリし、光を肌に長時間当ててしまうと日焼けと同じ状態になってしまう。「見続けるな、光を肌に当てるな」とは、よく言ったもの。

車いす対応の洋式トイレ。数を減らしつつある循環式。その構造から、今では考えられないような手間と逸話がいつも出てくる。

普通車の座席。昔ながらのフカフカな座り心地。座席位置がエンジンの真上だったこともあって、直6特有の軽やかな振動が眠気を誘い、途中で意識が完全に飛んでいた。

外が霞んでいるように見えるが、実際は汚れた窓による影響。

定刻で新宮駅に到着。乗務員はこの駅でJR東海からJR西日本に交代する。路線バスは乗れなかったものの、本日の終点である新宮駅そのものには到達することはできた。

新宮駅前のバス停を探してみると、八木新宮線の運休の通知看板が掲げられていた。上側は令和4年7月の経路変更(継続中)、下側が令和5年6月、つまり台風2号と梅雨前線による障害で、新たに掲げられたもの。復旧されてから、改めて再訪することに決めて、今日はここで終了となる。
もし、八木新宮線が通常運行していたならばキハ85系に乗ることはできず、実車を乗らないまま、知らないまま引退の日を迎えることになった。バスが運休という残念な出来事だったが、一方で引退間近のキハ85に乗ることができて、決して悪くはない行程となった。