とお!

鉄道業界の慣例なのか、「10」は「じゅう」と発音せずに「とお」と発音する場面がある。「11」の場合は「とおいち」と発音し、「12」なら「とおに」。だから「12番線発車」と連絡する場合は「とおにばんせん、はっしゃ」となる。

「じゅう」ではなく「とお」となった理由は聞いていたのだが、見事に忘れた。完全に度忘れしたが「じゅう」となると、濁音を用いていることになるし、特に無線を通した会話だと不鮮明になりやすい。そんなことから「とお」と言ったほうが確実に通じる…そんな理由だったと思う。このあたりはフォネティックコードに通ずるものがある。

「11番線」ならば普段と同じように「じゅういちばんせん」と発音しているとする。ところが無線を使っていて、高圧電線や他の電波が飛び交うような、ノイズだらけかつアホみたいな広さを誇り、しかも騒音の激しい現場。電波がかき消されて無線通信が途切れてしまうことがあり、お互いに「ぇあ!?今なんて!?再送願いますっ!」ってことになる。そういう時は、あえて「とおいちばんせん」と言い直す。そうするとよく通じたりする。

ある駅にて、混雑した通勤電車が発車しない場面に遭遇する。次第に駅員の様子がおかしくなり、様子を窺っているとドア故障が発生したようだ。対応に追われる駅員。時間はどんどん進み、後続の電車が到着する時間。到着案内の自動放送と共に「業務連絡!後続の571M『とおにばん』に到着!」との放送が入る。この放送を聞いた乗客は、一斉に12番線へ移動した。何も知らなくて「とおにばん」と言われたとしても、意外と通じるなぁ…と思っていた。