それでは、出雲空港から羽田空港に向けて飛ぶ。

搭乗機は空飛ぶカローラ、ボーイング767-300ER。JA656Jは日本博仕様の特別塗装機だった。

出雲空港は誘導路がなく、ターミナルから出てすぐに滑走路に入り端まで移動、先端でUターンして滑走後に離陸するターニングパット式。

風向きの都合から、RWY25からの離陸になる。離陸してすぐに右旋回し、進行方向を西方面から東方面に変えていく。以後、雲の状況が少し悪くなり、地上の様子が分からなくなる。

再び地上が見えるようになった時には、既に伊勢湾上空を飛んでいた。特徴ある五角形のポートアイランドのおかげで、すぐに現在地を掴むことができた。

航空自衛隊静浜基地の滑走路が見える。既に静岡県牧之原市まで達しており、羽田空港までさほど時間が掛からない距離に近づいていた。

駿河湾上空でスポイラーが開いて、速度と高度を落とし始める。羽田空港の南風運用における、空中散歩タイムの始まりを告げる瞬間そのもの。

富士山を眺めながら、伊豆半島に差し掛かる。このまま伊豆半島を西から東へ横断するように飛行。

眼下には伊豆大島、そして大島空港が見えてくる。ここから大きく左にカーブを描くような旋回を繰り返しつつ、羽田空港に向かうのが通常。しかし、今回は右に左に旋回を繰り返しながら、千葉県上空へ入っていくコースを取っていた。着陸順の都合か、雲を避けるための回避ルートか。

再びスポイラーを開き、高度と速度を調整。一度房総半島から太平洋側に抜けて南東方面に飛び、旋回しながら北上を開始する。

少しずつ日が傾き始め、海が金色に輝き始める。太陽に照らされて、くっきりと浮かび上がる城ヶ島、三浦半島。海上の航路がどこにあるかよく分かる。

再び房総半島上空を飛び、高滝湖が見えてくる。緑地に見えながらそれはゴルフ場で、レジャー施設の多い千葉県。

いよいよ空中散歩のピーク。首都高川口線やC2が見えてきて、見慣れた東京の姿。

手前に東京タワー、雲に隠れながら先端が見えるのが東京スカイツリー。高度は1,000mを切っており、着陸まであと少し。

新幹線大井基地から出庫して、回送線から本線へ合流する新幹線が見えた。

レインボーブリッジからお台場付近。写真左下を占めるのが品川火力発電所。三機のボイラーから伸びる排ガスダクトが、一本の大きな煙突に接続している様子がよく分かる。

C滑走路16Lに着陸。出発した時と同じスポットにインすることになり、またもや長い距離を歩かされることになる。
春先からの羽田空港では、南寄りの風となり、到着時間が15時以降なれば、こうした東京上空の空中散歩コースが狙える。着陸経路の都合から、左回りに旋回することが多く、必ず左側にロールする。よって座席指定も、進行方向左側がメインとなってくる。

GPSロガーには、房総半島での右旋回と左旋回を続けた航跡が記録されていた。
今回のフライトの場合、座席と窓配置のバランスが悪く、首を左に大きく曲げた状態で外を眺めていた。長時間に渡って左を向いていたおかげで強烈な筋肉痛になってしまい、翌日は一日中首の凝りに苦しむことになった。