採血

健康診断の日。となれば、採血も併せて行われることになり、血が見れるという点では悪いものではない。順番待ち中、一緒に雑談していた看護師に対し、採血しない人の肩をぐいっと掴んで「こいつの血もたくさん採ってやって」なんて冗談を言ってみる。

さて、私の番だ。両腕を見せて「今回は左腕だわね」とは、戦闘力高そうなオバチャン看護師。「ちょいと手ぇ握ってみぃ?あ、ほらここに血管ある」「どこ?」「ここ」「…全然分からん。プロだ」と、余裕余裕といった感じだった。このときは。

採血針(注射針)を皮膚に突き刺し、あとは真空採血管を代わる代わるセット、勝手に血が抜かれていくのを待つのみ…のはず。しかし、いくら待っても採血管内に血のシャワーが出てくる様子はなく「あれ、おかしいわぁ」と、注射針を微妙に動かしながら血管を探す。地味に痛い。

ようやく血管を探し当てたらしいが、相変わらず吹き出る血の量は少なく、サンプルとしては不適当だったのか、採血管がもう一本追加された。四本目にして、満足のいく採血が可能になって、ズキズキと痛む採血も終わりかと思っていた。が。

先ほどから、採血場所の後方で「あれー?どこに片付けたんでしたっけ?」と助手の若い看護師が探し物をやっており、「プリンターのところにあるでしょ」「えー?あー?これですかー?」「そっちそっち」と一緒になって探し出すオバチャン看護師。このとき、私の腕には採血針が刺さったままで、完全に放置。

しばらくして「あ、ごめんごめん」と気づいて針を腕から抜いたが、妙な痛みが残ってしまう。ついでに左の腕や手に力が入らなくなり、しかも重さまで感じる変な状態に。この記事を書いている時点で、採血終了から7時間近く経過しているが、痛みと握力低下、違和感が残っている。

昔から、この健康管理センターの採血は、当たり外れが激しいことが伝説的に語り継がれている。ひとりの人間が、個々で異なる生体に対してやるものだから、絶対的なものはない。よって今回の一件で印象が変わることはないが、新たに採血に挑む人には脅しとしては使えるか。それこそ「当たり外れが激しいよ」と。