クロックにも着手

「時計のチェックをお願いしたいんです」と、時計のメンテナンス依頼がやってきた。続く言葉が「クロックなんですが、いけますか?」だった。なんと分かっていらっしゃる…。

日本語では時計と一言で済ませてしまうところだが、腕時計や懐中時計といった携帯する時計であればウォッチ、掛け時計や目覚まし時計といった置いておく時計をクロックと呼び、厳密には別物となる。よってサポートを申し込むとき、クロックとウォッチを使い分けることができれば、相手もすぐに分かる。

クロックと言われたので、置時計?とりあえず見ないと判断できないよ?と伝え、実際に持ち込まれたのがこちらのモデル。

三協精機製クロックNo.613Z

三協精機のドラム型時計No.613Zだ。見た目からして非常にレトロで、ある一定の年齢層からは「こんな時計があった」と反応しそうなデザイン。1970年代あたりの製造と思われ、それだけの年数が経過しているにも関わらず、外装に変色や痛みが殆どない。

製造した三協精機は、現在では日本電産サンキョーとしてNIDECの子会社となっており、モーターをはじめとする機器類の製造事業を行っている。

状況は「異音がする」とのことで、その場でチェックしてみると、時々内部からゴウンゴウンゴウン…と軸がブレている、もしくは油切れのような、スムーズな回転ができないような音が確かに鳴る。しかも水平(使う状態)にしていると鳴り、傾けたりすると音が消えるので、ギアの当たり不良も想定される。まずは24時間以上、連続して動作させてみて、時計としての精度や音の出方を探ることからスタート。

アラームスイッチと時間調整ダイヤル

写真左側、本体では背面にアラームのスイッチがあって、目覚まし時計として使うことができる。設定時刻になると、ビー…とブザー音が鳴り、これがかなりの音。朝っぱらから聞かされれば不愉快になる。

写真右側、側面には黒いダイヤルがあって、外周部がブザーが鳴る時刻を調整するダイヤル。内周部は時刻調整用のダイヤルとなる。

周波数選択スイッチ

底部には50Hzと60Hzを切り替えるスイッチがあって、居住地の電源周波数に合わせてセットする。ここ関東は50Hzなので、50HzモードでOK。駆動用モーターは電源周波数をベースにした同期モーターとなっている。

日本は50Hzと60Hzが独立して存在し、それらを周波数変換所で接続している唯一の国。蛍光灯を通じてみると、60Hzに比べて50Hzのほうがちらつきが見えて、同じワット数でも若干暗く感じるようなことが起きる。

時間が変わる様子その1

アナログなドラム式の時計ということで、時刻が変わっていく様子は、EK9シビックRで散々見てきたものと全く同じ。撮影時刻は午後7時10分50秒を過ぎたところ。右側に50と出ているのが秒用のドラム。これが上に向かって回転する。

時間が変わる様子その2

秒用ドラムが0に近づくと、分用ドラムが下に向かって回り始める。

時間が変わる様子その3

回転が終わって、11分に切り替わった直後の状態。1分毎にこの動作が行われ、60分毎に1時間用ドラムが一回転する。12時間時計なので、左側にあるドラムで午前と午後を表示する。

レトロな雰囲気が逆に良くて、私も一台欲しくなってしまった。買うにしても、まずはこの時計の処置を終えてからになるが。