ようやく出てきた写真

新幹線用高速台車の勉強をしていると、現在主流のボルスタレス台車の成り立ちについても同時に知ることになる。その歴史は旧国鉄時代にまで遡り、1980年(昭和55年)からボルスタレス台車の基礎研究がスタートしている。

1980年代後半に、DT9023A/B、DT9024、DT9025という三種類の試作台車が用意され、それらを100系X編成に搭載、走行試験を繰り返している。

国鉄分割民営化を受けて、JR総研とJR東海がボルスタレス台車の開発を継続。DT9023系の改良版台車を100系に組み込んで、30万キロの耐久試験、275km/hの走行試験を経て、営業走行に使えると判定される。そして300系のデビューと、以降の新幹線車両は全てボルスタレス台車を搭載するようになった。

といった内容がさまざまな本やWikipedia(またか)等に当たり前のように書いてあって、ではDT9023系、DT9024、DT9025という三種類の試作台車はどういう形状なの?と疑問が浮かぶ。モノがモノだけに、なかなか世の中には出ないだろうし、300系の開発担当者に話を伺いに出向くことも考えていたら、JR総研のWebサイトにて新幹線用高速台車の試作写真が掲載され、開発経緯も記載されるようになった。

まずは旧国鉄時代に開発されていた、DT9023A/B、DT9024、DT9025の三種類の試作台車。

DT9023A/B、DT9024、DT9025試作台車

写真はJR総研のニュースレター、[クローズアップ]新幹線電車用ボルスタレス台車開発経緯(前編)より引用。

試作台車だけに、全てが無骨。それまでに使っていた台車に比べて、全体高が低くなるためか、中央部分の空気ばねにスペーサーらしき金属の筒が装着されている。

この時点で、後にデビューする300系以降の新世代新幹線車両の台車がイメージできる。コーナリング重視のDT9023ならJR東海、直進安定性重視のDT9024はJR西日本、やはり直進性重視でコンパクト化もできるDT9025ではJR東日本といったように、台車の基本特性が各企業の方針に沿って採用されていくことが極めて興味深い。

乗り心地の改良、振動制御、軽量化、高速走行での性能向上といった要素を磨き上げていくため、DT9023系台車をベースに手を加え、C型にマイナーチェンジ。100系に組み込んで30万キロの耐久試験がスタートする。ボルスタレス台車を履いた100系とは、なんかかっこいい。

DT9023C台車

DT9023C台車がこれ。だいぶ見慣れた形状になってくる。台車枠の端部に梁があり、ブレーキキャリパーは台車の外周側に装着されて、分割式ブレーキディスクを使うといった、従来の設計を引き継いでいる部分が残っている。

DT9023F台車

最終バージョンとなるDT9023F台車になると、300系のTDT203台車と見間違うような印象。このDT9023F台車をプロトタイプとして、300系のTDT203台車が誕生する。端部の梁をなくし、ブレーキキャリパーは台車の内側に装着、軸箱にコイルばね円筒積層ゴム併用方式を採用して直進性と曲線通過特性を両立、構成部品の小型化による軽量化…となっていく。

本を読んでいて、試作台車があったことは分かっても、その形状や構成が分からなくて内容がイメージし難かった。今回、JR総研のWebサイトに写真が掲載されたことで、より深く理解することができた。文章内における写真は適切に使うことで、内容を理解させやすくするメリットに改めて気づかされた。

DT9023C、DT9023Fの写真ははJR総研のニュースレター、[クローズアップ]新幹線電車用ボルスタレス台車開発経緯(後編)より引用。