フェリー運賃の実態

超長距離ドライブに出かけて帰ってくると、人によってはどういうルートを使ったのか聞かれ、車だけの移動だけでなくフェリーも使ったことを言うと「船旅?リッチだねぇ」なんて出てくることは珍しいことではない。「フェリーは金が掛かるイメージしかない」とも言われることがあり、上層階級向けのクルーズ船的な見方すら抱いているそうで、フェリーは選択肢に含めにくいものらしい。

先日乗船した阪九フェリーの新門司→泉大津の便が、とても絶妙なダイヤ設定と運賃設定になっており、比較しやすいものとなっている。

まず、阪九フェリー。シーズンや燃料油価格変動調整金によって変動があるが、今年いっぱいの値段設定かつ通常期間(=年末年始のいわゆる繁忙期は値上がりする)は、車の長さが5m未満で22,830円、4m未満で18,510円。この自動車航送運賃には二等船室…雑魚寝部屋代が含まれている。

額だけ見ると、5桁、しかも総じて20,000円前後か…となるところだが。

対する車による自走の場合、阪九フェリーの港近くまで高速道路の出入り口があり、しかも同じ名前で新門司、阪神高速の泉大津となっている。通行料金は、ETCの休日割引を適用して9,520円、平日なら12,950円、通常料金ならば13,540円となる。

まだ車のほうに分があるように見えるが。

高速道路の通行料金における時間設定は、新門司インターを17時40分に入った時点での、ドラぷらによる算出だ。泉大津行きのフェリーが出港する17時30分に合わせて、新門司港から競争がスタートと仮定した。新門司港から新門司インターまでは10分足らずで行けるので、17時40分に設定。

すると、自走ではノンストップ、渋滞を一切考慮しない走りで、泉大津の出口に0時49分という。そこから泉大津港まではやはり10分足らずなので、1時になるあたりで到着だろうか。走行距離は高速道路だけで584.2km、7時間9分も走ることから、ボトラーさんでない限りノンストップは非現実的。食事休憩やトイレ休憩で、現実的にはもっと遅くなっていく。

そして、600km近くも走れば、応じて車の燃料も減る。燃料費はハイブリッド車からスポーツカーまで差が大きく出る部分だが、だいたい4,000円から7,000円あたりが目安になるだろうか。燃料費と先の高速道路の通行料金を計算すると、安くても13,000円少々、高ければ20,000円近くになってしまい、実はフェリーの運賃と殆ど差がなくなってくる。

深夜到着だけに、車中泊で夜明けを待つならともかく、宿泊施設を使えば宿代が掛かってきて、それまでの通行料金とガス代を合算すると、とうとうフェリーのほうが勝ってくる。宿や車中泊問わず夜明けを待つあいだに、フェリーが一気に追いついてきて、6時ジャストに入港してくる。

23.5ノット、42km/hで船としてはハイスピードな航行を武器に、17時30分に出港するというダイヤは、翌朝からの関西圏で活動できるように設定されたもの、高速道路と宿泊で翌日に備えるパターンと同等になっている。

もちろん、全て下道を使えば高速代は浮くので、応じて移動費用は下がるが、一つひとつの運賃設定や所要時間を計算していくと、フェリーは決して高いものではないことが見えてくる。特に長距離フェリー(300km以上)の航路になれば、自走の代替ルートとして強みが出る。

快適性向上及び、プライバシーやセキュリティ確保のため、一等個室を選んだとしても、自動車航送運賃(二等船室付)に一等船室との差額がプラスされるだけなので、シーズンや人数の都合が良ければ、2,000円程度の追加で上級船室を使うことができる。

船のきっぷ

EK9シビックRの場合、5m未満扱いなので22,830円で二等船室の雑魚寝部屋。ところが、書き入れ時ではないタイミングと同行者がいたおかげで、僅か1,200円のプラスで一等個室を使うことができた。

車なしの人だけの乗船も受け付けており、優雅な空間を演出してくれる船内のデザインもあってか、非日常的な時間を存分に過ごすことができる。旅行好きなら、一度は乗ってみてはいかがだろうか。