蒸気機関、鋳造、鍛造

機械いじりを趣味にする者として、ものを作り出す技術の知識習得も欠かさない。机上で鋳造や鍛造を勉強するだけでなく、実際に見ておいたほうが、より効果的というもの。愛知県名古屋市にあるトヨタ産業技術記念館では、目の前で鋳造と鍛造の実演が行われているということを知り、ドライブがてらさっそく行くことになった。

凍結防止剤まみれの新東名

ここ数日の寒波で、新東名高速は凍結防止剤まみれになっていた。帰ったら(また)下回りを洗浄せねば。それにしても、わざわざゴトゴトと音と振動が発生する白線を踏んで、凍結防止剤を巻き上げながら走る大型トラックの存在が謎だ。わざと踏んで後続車に対する嫌がらせか、それとも白線を踏んでいることに気づいていないだけか。

スルザー製蒸気機関

記念館に到着してしばらくすると、蒸気機関の実働展示が行われるタイミングだった。このズルツァー製蒸気機関見物も目的の一つ。手前が低圧シリンダー、奥が高圧シリンダーとなっており、プッシュロッドの動作音と弁の切り替え音が心地いい。カムシャフトやクランクシャフトのゆったりとした動きは、まるで映画タイタニックの機関室のワンシーンを見ているかのようだった。

鋳造の実演その1

さて、鋳造の実演時間だ。実際に融かしたアルミを扱うので、職員もフェイスガード、ヘルメット、耐熱手袋を装備して「あ、これはガチだ」。サラサラになっているアルミを砂型に流し込んでいるところ。

鋳造の実演その2

流し込んだアルミが固まるまでは時間が掛かるので、ここからは3分クッキング方式となり、冷えて固まったものが用意される。目の前にあるのは恐らく前回の実演のときに流し込んだ砂型で、ここから鋳れ込んだ品を取り出す。

鋳造の実演その3

砂型をハンマーで破壊して、鋳造品を取り出しているところ。破片と粉塵が勢い良く飛び散るので、防塵マスクを当てているのが分かる。

鋳造の実演その4

そして取り出される鋳造品。目の前でミニチュアエンジンブロックが出てきて、これは欲しい!

鋳造に必要な道具類

こんな道具や手法で、鋳造するんですよーと見せてくれた現物たち。破壊した砂は再利用できるし、上部の型(木型)があれば、型から作り直すカタチにはなるが、次々と製造することができるそう。型を砂ではなく金属製にすれば、破壊プロセスを無くしてさらに量産スピードを上げることができるそう。

なるほど、一つの工程を減らせばコスト低減と生産性の向上に繋がるわけか。これ、自動車製造に限らず、当てはまるものは多いかもしれない。

記念品

鋳造の前にも、実際に熱した鉄を打ってミニチュアコンロッドを作り出す鍛造の実演展示が随時行われており、プレス機から打ち出されたミニチュアコンロッドが貰える。そして、鋳造。一つの砂型からはミニチュアエンジンブロックが二つ鋳造されるが、切り離しとバリ取りが行われただけのものを貰うことができた。ちなみに、同行者の旋盤主任となるS15オーナーも貰っており、こちらは切削実演で使用した、面研とシリンダーのボーリングがされたミニチュアエンジンブロックとなった。

自動車館

自動車館を見下ろす。写真手前にあるように、確かに車が展示されているが、車本体の展示は必要最低限で、製造ロボットの動態保存、自動車を構成するコンポーネントの展示がメインとなる。板金や製造、部品単体の進化に興味がある人ほど、展示物から動かなくなること請け合いだ。

溶接工程の実演

パネル単体からモノコックボディが製造される流れが、実際に動いて確かめられる。溶接は行われないので火花は飛ばないものの、スポット溶接機が次々とスポット溶接していく様子が再現されている。

組付工程の実演

組みあがったボディに、フロントメンバーにセットされたエンジンやフロントサス、プロペラシャフトからリアセクション一式を一まとめで組み付ける工程も展示。トヨタはライン化された自動プロセスで組み立てていたが、後にやっちまう某社はこの工程を人の手に頼っていたことが、動画として大量に残されている。会社と労組の絡みがあったとはいえ、同年代で大きく差があったことが窺い知れる。

名古屋高速を経由

開館時間をフルに使って、たっぷりと展示物を見て回った。日が傾き始めたので、ホテルへ向かって移動開始。懐かしの、首都高バトル01(ゲーム)で走った名古屋高速を実車で通過することは、15年の時を経てようやく実現。感動なんてものは一切無く、走り慣れない都市高速ゆえ、緊張したまま通過することになった。

前日は夜勤明けだったことや、今日の出発も夜明け前。そんな睡眠状況をベースに、記念館内では合計4時間近く休むことなく歩き回っていたおかげで、20時過ぎには猛烈な眠気と疲れが出る。翌日の帰宅走行に備えて、早めに寝ることになった。