当初は勉強用に借りながら、途中からオーバーホールで時計としての本来の姿に戻すことになり、無事に復帰したセイコー38クォーツQR。現在は所有者に返却し、安定した運針を続けているようだ。4月から5月に掛けて行われたオーバーホールにおいて、ミスで破損してしまったり、損傷が見つかった場合に備えて、部品取り用の38クォーツQRを入手していた。名目上は「正常動作品」だったが、実際はアウト。この時点では部品取りなので、動かなくても問題はない…と捉えていた。

左が部品取りとして4月に入手した38クォーツ、右がオーバーホールで預かっていた38クォーツ(返却済み)。衝撃や振動に対する耐久性の調査目的で持ち歩いていたところ、小ぶりなサイズが意外と使いやすく、そして見やすかったことから、部品取りの38クォーツをオーバーホールし、普段使い用の時計として復帰させることにした。
髪が目に掛かるようになり、ルーペを装着するにも邪魔になったので、事前準備として髪をばっさり切る。それから分解を開始し、昼食前には殆ど組み立て完了。慣れたわけではないが、感覚を掴んでいたおかげで前回とは比べ物にならないほどのスピードアップを体感することになった。

前回は文字板の裏を眺める余裕がなく、今回初めて見ることができた。別パーツとなるバーインデックスやSEIKOの文字を一つひとつ文字板に植え込んでおり、現在では高級時計だけに見られる装飾。1970年当時はクォーツ時計が高級時計で、この38クォーツも含まれてくる。預かっていた38クォーツが見やすいと感じた理由は、バーインデックスがとてもシャープに仕上がっており、秒針と分針がビシッと決まっていたためだろう。

昼食休憩後は、針を打ち込んで最初のテストとなる。いい子だ、ガンバレ…ホレホレ、そうそう、いい子だよ、モーターちゃん(紅の豚より)…という具合に、当初はフラフラとした挙動を示したが、油が馴染んできたのか石を弾く独特の音を発しつつ、運針開始。ここから第二幕だ。

この38クォーツはオリジナルの回路ブロックを搭載していたので、別パーツ扱いのコンデンサが入手できないことから精度調整は不可能。再び、秒躍制レバーの微調整に苦しみ続けることになった。本来は顕微鏡等で位置決めをする作業だが、目に装着したルーペだけで行うわけで、ばっちり決まった瞬間の達成感はとても大きい。日没に達して暗くなったところで、本日の作業は終了となった。調整作業はまた後日。