長くても短くても、フライトの締めとなる着陸。次第に高度が低くなってきて、眼下に広がっていた街並みが大きく見えるようになり、応じて速度感も増してくる。軽いショックを伴って主脚が滑走路に接地し、すぐに前輪も接地。ほぼ同時に急激な減速Gを感じながら、スピードが一気に落ちていく。
このとき、主翼にぶら下がっているエンジンは逆推力装置が動作して、減速・制動を行っている。エンジンの外枠の一部が大きく開くので、動作中はすぐに分かる。

「逆噴射」とも言われるが、実際は前方のファンから吸い込んだ空気だけを斜め前方に吹き出しており、燃焼したガスについては後方に噴射している。昔のジェットエンジンならば、空気や燃焼ガス共々斜め前方に吹き出していたが、今は殆どが空気だけとなった。
着陸する機内、各空港の展望デッキでの見物共々、着陸したときの逆推力装置の動作によるエンジン音の高まりは、独特の高揚感と迫力があった。大量の空気を斜め前方へ偏向し、より強い制動力を得るために、それなりにエンジンを吹かしていたもの。
それが時代の流れで、燃費を抑えてコストを削減、また空港周辺への騒音を減らすべく、逆推力装置の使用はずいぶんあっさりしたものに変わっていった。燃料を使ってまでエンジンを吹かすことはせず、アイドリング状態で逆推力装置を使う場面が当たり前になった。気象条件や機体のコンディションによっては、エンジンを吹かせながら逆推力装置を使うこともあるが、パターンとしては少なくなるだろう。
もう一つ、羽田空港のデータ集を読んでいたところ、興味深い記述を見つける。

アイドルリバースを指定、これは知らなかった。From 1400UTC to 2100UTCと書いてあるので、協定世界時から9時間を足して日本標準時に換算する必要がある。換算して日本標準時で23時から翌日6時までは、アイドリング状態で逆推力装置を使わなければならないことになる。夜中から朝にかけては騒音を考慮して、エンジンを吹かすなということ。
確かに夜間は音が通りやすく、気温や風の条件が揃うとかなり離れたところの鉄道路線のジョイント音…ガタンゴトンと聞こえることもある。それに比べるとジェットエンジンの音は桁違いであり、夜では尚更。加齢の影響なのか夜間の騒音が気になるようになってきており、騒音規制を設定してくれるのは正直ありがたいところ。