鉄道の勉強をしていると、必ずブレーキの知識を覚えることになる。走っているものを確実に止められてこそ、安全な乗り物になるので、ブレーキに関しては覚えるネタが豊富。ブレーキの進化の歴史、フェイルセーフに関する関連知識も一緒に覚えなければならず、ついでにATCも関わってくると吐き気を覚えるほど。それほどまでに、重要なシステムと言える。
鉄道における『自動空気ブレーキ』は、空気が減るとブレーキが掛かる仕組みとなっている。ブレーキシリンダーに圧縮空気を込めてピストンを動かし、制輪子やブレーキライニングを車輪、ディスクローターに当てて制動するわけで、そのくせ空気を減圧することでブレーキを掛けるとは、どういうことか?何やら禅問答のようだが、こんな疑問は解決しておきたい会社の同僚。さっそく助け舟ということで、私が使っていた学生時代の教科書を読んでもらい、事前学習。そして実地学習ということで、群馬県にある碓氷峠鉄道文化むらまでひとっ走り。車は高崎駅近くの駐車場に置いて、信越線で横川駅に向かい、碓氷峠鉄道文化むらに行く。
信越線は都心部ではまず見られなくなった、抵抗制御+電磁直通ブレーキの電車が走り回っており、勉強と復習には好都合。惰行から電制による減速、空制で停止するまで、複数ある空気圧力計の動きを確認しておく。

中央の窪みに時計を置き、ここを中心とすると左側に速度計が備わる。電車はブレーキ以外にも、各種機器を動かす動力源として圧縮空気が使われており、その空気タンクの圧力計、そしてブレーキパイプの圧力も示すのが右側の計器。速度計のさらに左側には、ブレーキシリンダーの圧力計と、編成全体で貫通しているブレーキパイプ(先述したものとは別)の圧力計。最も左側にあるのが、いわばバックアップ用のブレーキ圧力計となる。グラスコックピットに見慣れていると、アナログ計器にはぎょっとする。しかし、冷静になって見てみるとうまく配置されていることに気づくはず。最も視界に入りやすく、重要な計器が中央寄りに来ていることが分かる。始発駅と終着駅で非常ブレーキを扱うと、ブレーキパイプから空気が抜ける代わりに、ブレーキシリンダーの圧力が高まる。空気を減圧するとブレーキが掛かる動作が、目の前で起きているから、先の事前学習の意味が何となく見えてくる。
碓氷峠鉄道文化むらに入場し、ある意味では見慣れた現場の検修庫に直行して、EF63形電気機関車の1,000円シミュレータに向かう。運転室には実際に圧縮空気が込められており、ブレーキ弁を扱うと圧力計の針が動き、圧縮空気の排気音が鳴り響く。ブレーキハンドルを扱って空気を抜けば、ブレーキシリンダーに圧力が掛かり、制動効果が強まることを確認する。もちろん、1,000円を支払ってシミュレータで遊んでみることも忘れずに。

ブレーキハンドルの位置(角度)に応じて所定の制動力が掛かる、セルフラップ方式に慣れきっている同僚は、軽井沢駅停車に関して制動力をうまく高めることをできず、停止位置を豪快にオーバーラン。では私はどうか。軽井沢駅進入中に思った以上に減速してしまい、再加速で微調整しながら停止位置に止めることになった。
圧縮空気を抜けばブレーキが掛かる『自動空気ブレーキ』は、現在の鉄道車両全てに関係してくるメカニズムだ。疑問点の解決のきっかけになればいいし、私としても見事な復習ネタとなった。
総走行距離は300kmにも満たない近距離だったこともあって、燃費計算等も行わなかった。それにしても、群馬というか高崎の運転マナーのクソ具合には参った。交差点では、ブレーキを踏んでからウインカー出すだけでなく、曲がり始めてから出すバカも少なくない。譲り合いが最もスムーズな走行が成り立つのに、我先に前に出ようとするから渋滞を引き起こす。ミラクル・ワールドブッシュマンの映画ではないが、文明の利器はグンマーには早すぎる。