特例扱い

「大きい声では言えないのですが」

そんな一言から始まる商談。対面販売かつセミオーダーな商品なので、いろいろとプランがあるようだが、いきなり他の店員の動向を気にしつつ「大きい声では…」とは意外なスタートだった。

今回購入を決めた商品は、後のセール対象となっており、それが今月下旬。今、支払ってしまうと受け取りのときに割り引き価格との大きな差になってしまうのは、お客様に損をさせてしまうことになり、それは申し訳ないという。そんな事情から、支払いは後日のセール設定にしておき、工場へのオーダーとセッティングだけ先に行うが、日数は大丈夫か?と。

そんな裏事情を口にしつつ、通常とは異なるであろう商談プロセスが生じた理由はなぜか。この店での購入歴は既にあって顧客情報も登録されており、基本的には店員に勧められるまま。お得意様というわけではないが、必ず訪れては金を払っていくことが記録されている。これがもしかしたら、特例セール扱いになった可能性がある。

当然、購入を迅速に決意させるための演技とも考えられる。が、その場合は「限りがある」「次の入荷が分からない」といった後がないようなイメージを抱かせる言葉が続くことが多く、店員の態度からも演技ではないと直感。そもそも、支払い手続きが行われていないのに、商品を取り寄せ、しかもセッティングまで施す。もしこのまま逃げてしまえば、純粋な損失になってしまうと危険性があり、通常なら避けるべき手続きだろう。

店員が尽くしてくれるなら、客となるこちら側も店員に失礼のないよう紳士的な態度を心掛けることになる。相手は人を見るプロなので、こちらの行動や言動がいい結果を呼んでいるのかもしれない。この店に限らず、車のディーラーや銀座の時計店でも同じだが、「お客なんだからエラい」という態度を一瞬でも見せれば、粗略な対応をされる。売り手の態度は顧客の鏡とは、よく言ったもの。