立秋が過ぎて、ようやく秋の気配を感じる涼しい朝となった。空を見上げると高い雲があって、草むらの中ではコオロギが鳴いており、こういったところでも秋が近づいている様子が分かる。最高気温は31℃だったようで、現場の温度も過ごしやすい環境になっていた。
最高気温が3℃程度落ちただけでも、涼しく感じてラクとまで感じていることから、暑さに慣れて、暑熱順化ができていたようだ。世間的には31℃オーバーなら、熱中症に注意を要する場面らしいが、変に暑さに慣れた状態なので汗は滲む程度にしか出ない。エアコンが壊れて変に蒸し暑い部屋にいても、送風機の風で間に合っていた。
問題はここから。今日のような気温になると、極短期間で低い気温側に体が馴染む。この時期は残暑が続くので、気まぐれで気温が落ちたと思ったら再び猛暑に戻ることが多々ある。台風が上陸、もしくは付近を通過した後に、南風が吹き込んで気温が急上昇する時期はこれから。低い気温に慣れてしまった身に対し、高温に晒されれば大ダメージは確定だ。夏場のピークと違って、時間帯によって気温が大きく変わるようになっているので、もう一度暑さに慣れさせることは難しくなってくる。高温に身を置く時間をできるだけ少なくすることが鍵か。
7月の下旬あたりだったか。防火服や空気マスクといった重たい装備を着用して、火の近くで消火活動をしなければならない消防士達が、対熱中症対策のひとつに暑熱順化のトレーニングを行っている様子が報道された。防火服を着て階段を上り下りし、あえて体を熱くさせることで、発汗しやすくして暑さへの備えをしていた。季節や時間関係なく災害が起きるか分からず、最終的には人力に全てが掛かってくるわけで、救助側が救助される事態に陥らないよう準備していく姿には頭が下がる。
この報道に対して「空冷服やペルチェ素子の冷却装置など科学的装備を積極的に導入しようとならない所が残念思考」と口にする者がいたが、本質を全く知らないからこそ表現できる、一種の知ったかぶり。
空冷服(空調服のことか?)は火を扱うところでは、吸気ファンから火を吸い込んでしまえば、一瞬で火達磨になるので使えない。火種に対して、吸気ファンが常に空気を供給してしまうからだ。もう一つ、ペルチエ素子は冷房ではなく、熱の移動でしかない。しかも効率は極めて悪く、吸熱とペルチエ素子自身の発熱で発生する数百Wレベルの熱を発散させなければならなず、極めて大規模な装置になってしまう。消防士が装備するペルチエ素子のために、大電流大電圧用のケーブルを接続するのも無理なハナシだ。環境的に冷やすことが難しいから消防士は抵抗力をつけているわけで、そんな背景や「科学的装備」に対する知識がないまま、暑いなら冷やせばいいじゃないと、反射的に口にしてしまうところが残念思考。