特急から普通まで、それなりの距離と時間を走る電車や列車にはトイレが装備されていて、使うことは多々ある。あって助かったと安堵する場面があれば、中でスマホか何かに熱中し、なかなか出てこないことによる緊迫した場面にもなる列車便所。
そんなトイレに入ると、見た目は家庭用のトイレと大きく異なる。便器の中には水は殆ど溜まっておらず、しかも流れていく穴もやけに小さい。動作させればプシュー、ズゴッ、バシューと大きな音が次々と鳴り、中川家が得意とする新幹線のトイレのコントそのままだ。さらには、出てくる洗浄用の水もずいぶん少ない。

車両に搭載している水タンクは限られた量しかなく、床下の汚物タンクも限度がある。少ない水による洗浄、中川家のネタにされるほど大きな音を発するのも、これらの制約をクリアするための仕組みだ。
トイレでの用事を済ませて、洗浄スイッチを動作させると、洗浄プロセスがスタートする。一回の洗浄で使われる水量は1リットル未満。そんな少ない水で洗浄するために、便器の背後には真空圧に設定できる小型タンク(床下の汚物タンクとは別モノ)が備わっており、水が出てくるのと同時に真空圧を作り出すためにプシュー…と鳴る。
真空になった小型タンクの弁を開くと、大気圧との圧力差で洗浄用の水、小便やウンコ、トイレットペーパー、便座クリーナーがズゴッという大きな音と共に一気に吸い込まれる。中川家のコントでは礼二が「ゴッ!!」と喉を鳴らし、同時に剛が目を大きく見開いて驚く様子を演じながら「あれホンマ怖いわ、心臓が止まりそうになる」と言うところ。
これで排便後、人間の目に見える洗浄プロセスは終了。引き続き、便器マシンが行う後処理として、先ほどまで真空圧だった小型タンクを今度は大気圧以上に加圧して、床下の汚物タンクに向かって圧送するため、バシューとまた違う大きな音が鳴る。これで小型タンク内が空に戻り、次の利用に備えた待機状態に戻る。
家庭用トイレのように、一回の洗浄で10リットル前後を使うようでは、在来線では数百リットル程度しかない汚物タンクはあっという間に満タンになってオーバーフローしてしまう。そこで大気圧と真空圧の圧力差を利用し、1リットルにも満たない水で洗い流すことで、汚物タンクが満タンになりにくくなるようにしている。この仕組みを持ったトイレは、真空式汚物処理装置と名付けられている。
便器の底にある排出用の穴、小型タンクまでのパイプ内径は、40mm程度。ここを先述したウンコやトイレットペーパー類が通過するわけで、本当に一発で通過し切っているのか、いつも疑問に思う。
まず便座クリーナーを使って便器に投げ捨て、実際にウンコする。それからトイレットペーパーでケツを拭けば、そりゃもう便器ボウルの中はいろいろなモノでけっこうな量になっている。そこに洗浄プロセスが始まれば、水も出てきてウンコがかき回され、地獄絵図に近くなる。真空式の列車便所において、ウンコをしたことは記憶の限りでは片手で数えられる程度だが、いつもトイレットペーパーの切れ端やウンコのカケラが穴の奥からコンニチハをしたりして、吸い残しがあったような思い出があり、通過し切れていないのでは?という疑問に至る。結果、再洗浄するハメになり、せっかくの超節水システムを無駄にしている気がしてならない。
列車便所でのウンコとなれば、例外なく旅行中。旅行中のウンコは、それまでの食事事情と体調を振り返り、これから先の行動を決め直す指数の一つ。ウンコついでに列車便所の動きまで見てしまう、機械いじり趣味ゆえの悲しいサガというか、職業病。