電力の使いすぎやコンセントに金属モノを突っ込んでショートさせる等、家庭内に原因があってブレーカーが落ちてしまうことは何度もあるが、電力会社側に何かしらの原因があって、電力供給が止まってしまう完全な意味での『停電』は、今の居住地で一度だけ起きた。生まれてから現在まで、停電はこれ一回だけ。
ある秋の日の夜中、2時を回ったところ。ふとトイレに行きたくなって目覚めて、半分寝たままトイレの照明を点けようとした。トイレの扉の横のスイッチは、照明と換気扇となっている。換気扇用スイッチはLEDが内蔵されたタイプで、ONにするとLEDが光るタイプだ。24時間換気の都合から基本はONのままとなっているが、今は赤いLEDが消えており、照明を消すのと同時にOFFにしたのかもしれない。
そこで照明と換気扇のスイッチをON側に動かしてみるが、照明は点灯せず、換気扇のスイッチはON側になったまま。そういえば、換気扇の動作音が聞こえず、よく見ると全ての部屋の常夜灯も消えている。半分寝ている脳でも、停電?と察して、まずはベッドの横に常に置いてある懐中電灯を片手に、トイレの用事を済ます。マンションやビルといった高層建築物では、停電になると給水が止まることがあるそうだが、こちらは特に影響なし。
外に出てみると、近隣の家だけでなく、道路やビルの照明が全て消えており、やはり停電らしい。都会にいながら、本物の暗い夜をいきなり実感することになった。異変に気づいて、外に出てきた人と「停電ですねこれ」と確認しあう。中には警察署に行ってみると言い残して懐中電灯片手に出かけた人もいたが、警察官も困っているだろうに。
なぜかスマホは圏外になっておらず、すぐに状況確認がスタートする。東京電力パワーグリッドのWebサイトから情報収集を行うと、居住地の住所を中心として停電していることをが表示されていた。
これで東京電力側に異常が認識されていることになり、あとは復旧を待つだけ。電力供給はあちこちの変電所がお互いにバックアップする仕組みになっていて、停電時は複数の変電所を使うことで、停電原因エリアの特定、異常個所の発見、復旧が順次行われるからだ。
眠かったこともあって、停電していることが分かっただけで安心してしまい、再び布団にもぐる。スマホの画面で目がギラギラして寝にくいが、意識が飛ぶ直前になってトイレの換気扇が回り始める音が響き始め、常夜灯が点灯。外の街灯も点灯して、停電状態から復旧したことを感じ取っていた。
翌朝、再び東京電力パワーグリッドのWebサイトを閲覧し、停電ログを調べる。一時間程度の停電で、停電理由として「弊社設備のトラブル」とだけ記載されていた。なにが異常になって、停電に至ったまでは分からず。
日本の電気料金は高いと言われることがあるが、裏を返せば停電しにくい電力供給や停電復旧までの時間が短い事実があり、先進国の中でもトップクラスの成績を誇るようだ。他国では、年に数回は停電が発生し、復旧まで長いというから、そんな突然の不自由に見舞われるくらいなら、少々高いほうがマシだと思う。
2011年3月11日の東日本大震災直後の、輪番停電(計画停電)地域には該当しなかった。このために、初めての停電を食らった先の状況が、今なおハッキリと覚えている。
夜中に大きな地震が発生し、同時に停電も起きて周囲の状況が分からなくなったときに備え、ベッドの横には懐中電灯を置いており、週に一度は点灯をして、異常がないことを確認している。地震の備えは停電の備えと殆ど共通で、今回の突然のトラブルにも慌てることは全くなかった。
真っ暗の中で動き回ることは危険を伴い、パニックに陥ってより危険な状態へ陥ってしまうことがある。小さなペンライトでさえ十分な備えになり、その明かりがあれば冷静になって、落ち着いた行動に繋がっていく。厄介ごとは、いつも忘れたころに突如やってくるのだから。