朝っぱらから「腕時計が止まってました」と持ち込まれたのが、swatchの腕時計だ。
swatchは、スイスThe Swatch Groupのブランドの一つで、このグループ内にブレゲやオメガ、ロンジン、ティソといった聞き覚えのあるブランドが属しており、このスウォッチもブランドの一角となっている。私もThe Swatch Groupの時計を使っているだけに、妙に親近感を覚えるもの。「こいつはいい時計だぞ!」とすかさず言ったほどだ。
電池交換を行う前に、問診を含めて状態チェックからスタート。所有者曰く、学生時代から使い続けているとのことで、ケースやブレスは経過年数に応じた傷み具合がある。風防にもクラックが入っていた。日付からして、止まったのは連休中らしい。

Swatchの腕時計は、プラスチックのケースで仕上げられたものが主体だ。このSwatch Ironyシリーズは、Swatch=プラスチックという常識を覆して、Iron…メタルでできている。クロノグラフモデルとなれば、決して安くはない。

ケースの裏面から電池交換することになるが、Swatchの裏蓋側は極めて特徴的。電池ボックス用の蓋があるだけで、それ以外のものはなし。『基本的にSwatchの腕時計は分解修理しない』という、割り切った性格がここにある。
普段の電池交換作業では、ムーブメントとケースを分離して、風防裏側の簡易清掃を同時に行うようにしているが、Swatchの性格に従うようにして、分離作業は行わない。電池交換だけを行う。

Swatchの時計といえば、RENATA製の電池とセットになっていて、電池切れを起こすとあっという間に液漏れし、ムーブメントをダメにするというイメージしかない。最悪の事態を考えつつ、事前診断で電池ボックス用の蓋を開いたところ、マクセル製(日本)のSR936SWがセットされており、この点では一安心。
電池に書かれた28 7.31という表記から、平成28年7月31日に電池交換を行ったことが予想される。それから2年半で電池切れを起こしているとすれば、ムーブメントもだいぶ疲れてきているのかもしれない。

ただ単に同じ型番の電池をセットする前に、蓋の溝に大量に付着している垢をクリーニングしていく。蓋のパッキンに垢が噛み込んでしまうと、防水性の低下や湿気が侵入しやすくなる等、ロクなことは全くない。電池交換してハイ終わり!ではない。

清掃完了。新しい電池をセットし、運針とクロノグラフの動作チェック…良好。電池ボックスの蓋の縁に専用グリスを忘れることなくしっかりと塗布し、防水性を確保しておく。

正常復帰したSwatch Ironyシリーズ。リューズによる時間調整機能とカレンダーディスクの動作チェックを行い、変な感触や異音はなく、全て異常なし。このまま一晩運針させて、返却となる。おまちどうさま。