部屋には、EK9シビックR用のパワステフィードホースが保管され続けていた。
このフィードホースは、2017年2月1日に交換されたものだ。パワステポンプ、油圧パイプと各ゴムホースの接続部分からのパワステオイル漏れが発生するようになり、ついでにフィードホース表面に入った無数のヒビ入りも発見した。ヒビが入ったフィードホースを使い続けるにはリスクがあり、しかも新品は廃番。そこで廃車から外された中古のフィードホースを入手し、修理専門業者にゴムホース部分の交換を依頼。このリフレッシュされた中古フィードホースを装着することを含め、パワステ関連の集中整備を行った。
レポートにも記載したが、製造元ではパワステ用としては使えないことになっている。修理専門業者からは「メーカーやサプライヤーの正式な指定部品ではないため、パワステ用のホースとしては使えないことになっている。鉱物性作動油で最高使用圧力以下となることから、使用上には問題ない」という回答を得て、現在も使用中。
それでも万一のことを考えて、取り外したヒビ入りフィードホースは持ち帰ってきた。オイル漏れの不具合があれば、このフィードホースをベースに別の業者で修理してもらい、再交換用する。
そんなバックアップを備えて、二年が経過しようとしている。今のところ、リフレッシュしたフィードホースに異常は見られず、もう心配はないだろうということで、バックアップ体制は解除。持ち帰ってきたフィードホースを処分することにした。

ピットにまとめられたホース類。赤い矢印の長いホースが、パワステフィードホース。1mを超える長さがあり、金属パイプとゴムホースの組み合わせから、部屋の中では長いダンボール箱に収めてベッドの下に保管していた。
処分にあたっては、ゴムホースと金属パイプに分離しなければならない。ホースを切ってみると、中から出てきたのはフレキシブルな金属パイプだ。

パワステポンプ側のジョイントから、カシメ部、ゴムホース部分、そしてフレキシブルな金属パイプとなる。金属パイプの長さを知りたく、ゴムホースを次々に切り刻んでいくと、ようやく先端が出てきた。

このような先端がある。調べてみると、パワステポンプから送り出されるオイル(油圧)は、心臓から送り出される血液のように、高い圧力と低い圧力が組み合わさって送り出される。これではパワステギアボックス内の油圧シリンダーに都合が悪く、異音の発生やフィーリングの悪化を招くので、流量を絞って一定の圧力をするための構造…とのこと。
水道用のフレキシブルパイプのように、一度曲げるとそのカタチに留まろうとはせず、柔軟に動く。エンジンの振動の影響を受けることなく、オイルの圧力を一定に保つことができそうだ。

さらにゴムホースを切っていって、金属パイプと接続されるカシメ部分に到達。フレキシブルパイプは、金属パイプに圧入されている構造となっていた。
そしてゴムホース本体。編上式ホースという、ホース内部に糸(合成繊維)を補強層を設定しているタイプだ。よく見ると糸による補強層は二重になっていて、内部ホース→補強層→薄いゴムホース層→補強層→外部ホースとなっている。となると、ホース表面にヒビが入っていながら、すぐに油圧経路の破裂に至らなかった要因は、二重の補強層と薄いゴム層による防御が効いていたことが考えられる。
シビックRに限らず、高圧低圧各ホースの経年劣化によるパワステオイル漏れは少なくない事例なので、油圧式パワステ仕様車に共通する弱点といったところか。
分離された金属パイプは、手で簡単に曲げられるほどの硬さしかなく、細かくバラバラにする。細切れになったゴムホースと共に、全て廃棄。部屋に置かれ続けていた長モノパーツが減って、ずいぶんスッキリした。