電池で駆動するクォーツ時計は、電池切れ予告機能を持つものがある。デジタル時計であれば文字板の点滅、アナログ時計であれば、秒針が2秒毎の運針に切り替わり、電池切れが近いことを静かに訴えるようになる。
「2秒運針になった」と持ち込まれたのは、去年の4月に電池交換を依頼されたセイコークロノス クォーツ。ちょうど38クォーツのオーバーホールを行っている際、余裕があれば電池を交換してほしいと追加依頼されたものだ。シリアルナンバーから製造年は1984年で、今から33年前。クォーツ時計でもオーバーホールは必須だったりするが、この時計の過去のメンテナンスは一切不明で、最悪の状況で考えるならば、一度もオーバーホールをしていない。

裏蓋には、電池交換日を書き込んであった。使用電池の規格をすっかり忘れていたので、実機をチェックし後日電池を購入して交換するとして。
新品の電池でも8ヶ月程度しか持たない理由について、真っ先に思いつくのが消費電流の増大によるもの。各歯車は潤滑油切れでスムーズに回転できなくなり、モーターの駆動電流が増えてしまった。結果、正常ならスペック上は3年は使えるものの、現状では8ヶ月程度で電池切れを起こすようになった。
機能回復は、まずは分解して個々の部品を診るしかないが、このときの腕時計はクォーツが主流になり、ケースを含めて薄くデザインされ、針まで細くなっていることが多い。確かに針はヒゲと似たような太さしかなく、針を折らずに抜けるかが勝負になる。薄くて細い針は、いわば使い捨てで、オーバーホール上では交換前提とされるほどだ。
経過年数の都合上、歯車関係だけでなく、駆動回路の健康状態もチェックしておきたくなる。電気モノが含まれている関係で、寿命がある程度決められてしまうのが、古いクォーツ時計の悲しい部分。