古い本の怖さとか

職場のメンツが「時間があるので、ロッカーの整理します」と口にしながら、いるものいらないものを分別していた。次から次にモノが出てくるので、こちらも面白がってゴミ漁り状態。「この地図使えねぇ。道がないもん」「8年前のモーターショーかよ!」と、一読もされないまま長らく保管され続けたパンフレットや観光地の地図類は、全て処分された。

分別しているときに、応急手当の本で手が止まる。「なんかあったらイヤなんで、保管しておいた方がいいですかね?」と相談され、待ったを掛ける。まずチェックしたのが初版発行日。背表紙には2004年1月と記載があって、20年前。これは嫌な予感がする。

というのも、応急手当の手法はどんどん変わっており、当時は良かった手法が今では禁忌とされている場合があるからだ。パラパラとページをめくり、必ず項目に含まれている止血関連を探す。

止血帯を用いた止血手法の項目を読んでいくと、30分に一回は緩める旨の記述があり、これで「この本は捨てろ」と判断を下した。疑問を抱いた表情をしていたが、現在は止血帯で出血を止めたら、以後は緩めずに医者に任せることを説明。「そうなるとこの本はダメですね、そもそも20年前では古過ぎです」と納得していた。

そもそも止血帯を用いる出血のコントロールは、切断や挫滅(挟んで潰した)といった極めて緊急を要する事態に適用される手法で、いわば最終手段。本の記述にも、止血帯の先は血液循環が止まるので細胞が壊死する、気軽に行わないことといった付帯説明をしているが、コレで危険性が分かる人はどれだけいるのだろう。止血帯一本で、逆に患者の命を危険に晒す可能性も出てくるほど、扱いは本当に難しい。

応急手当系の本や知識は、古いものを覚え続けるのではなく、常に最新情報を探し回ってアップデートし続けるように心掛けている。

前にも書いたが、180mlの缶コーヒーを一本ぶちまけただけで、けっこうな範囲に飛び散る。それが例えば出血によるものだった場合、救命者たるこちら側が冷静に対処できるだろうか。180mlであの量、命に係わるリッタークラスの出血では、文字通り血の海と化すわけで。