デスクトップ上には「新しいテキスト ドキュメント.txt」として、一つのファイルが置かれている。テキストドキュメントのかつての名前は「メモ帳」。
遡ることはるか昔、Windows3.1の時点でtxtファイルをいじるエディタは「メモ帳」と名付けられていた。レジストリをいじってチューンなんてものはなく、設定ファイルであるiniファイルを直接いじる。こいつの編集もメモ帳上で行っていたこともあって、非常に馴染み深かった。そんなこともあり、現在でも「メモ帳」と呼んでいる。
私は極度のパソコン人間なので、漢字は書けないし、計算は苦手。ペンを走らせて文字を書くことが基本的に苦手だったりする。会社で出す書類は基本的にWord上で編集して出し、指定書式があればわざわざ上層部に書式フォーマットを貰いに行くほど。
例えば、会社で電話を受けて、メモを取らざるを得ない状況にあるとする。電話越しに会話しつつペンを走らせ、後で見直すとミミズがのたくったような判別不能な字が記されていて、解読できないことが何度もあった。自分で書いたのに、このイトミミズ文字は何を意味したのだろう?と首をかしげて、今まで会話していた内容を思い出して、ようやく意味を理解する。
今度は家に環境を移す。どうでもいい勧誘から、輸送屋の在宅確認、自動車保険絡みの連絡まで内容が多い。最近は固定電話よりも、本人が確実に出るであろう携帯電話に掛かることが増えた。知らない電話番号が表示され、少々用心しながら出ると保険屋だった…とか。家の場合、私宛の連絡事項があるとすると、必然的にメモを取らなければならない。
そんなときは、デスクトップ上の「新しいテキスト ドキュメント.txt」をクリックする。そうすると、テキストが表示される。キーボードのブラインドタッチ(今はタッチタイピングって言うの?)を意識して早くすれば、相手の会話をそのまま画面上に記録することが可能だ。
キーボードはノートパソコンと同じパンタグラフ式を使っていて、タイピング力が強いこともあってタイピングの際はガチガチガチ…と派手な音が鳴る。この音は確実に電話に拾われているので、相手にも猛烈な勢いで打鍵していることが伝わる。
調子のいいときは、相手の声とほぼリンクして打鍵する。すると、一種のプレッシャーとして伝わるらしく、声の調子が変わる。
中には
相手:「作業中でしたか?」
私:「いえいえ、この会話を全て打鍵して文章にしていますが?」
相手:「えぇぇ」
私:「いやぁ、重要な連絡ですしねぇこれ」
なんて会話が出ることも。