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アポロ11号が月面着陸に成功して、人類が月を歩き回ったのが1969年7月20日(日本時間21日)のこと。それからちょうど50年が経過した今日、スピードマスターのオーバーホールを依頼するために、蒸し暑い銀座を歩いていた。

時計のオーバーホールとなれば、メーカーの正規価格は高い、時計修理業なら安価に済むとか、そういった比較記事を必ず目にするが、読み進めていくうちに妙な気持ち悪さを感じるのは私だけではあるまい。

正規、非正規のオーバーホールについて軽く検索してみれば、上位に表示されるWebサイトの殆どが、何かしらのアフィリエイトリンクが絡んでいる。リンクを踏んだその先は、たいてい共通した時計修理業のWebサイトにたどり着く。数あるWebサイトが、揃いも揃って同じ時計修理業のWebサイトへのアフィリエイトリンクを張っていると、逆に胡散臭く感じてしまうもの。

オメガが属するスウォッチグループは、グループ外への補修用部品の供給を停止しているそうだ。オメガも部品供給を止めており、時計修理業でのオーバーホール対応が困難になって、メーカーへの取次ぎ扱いになっているところが多くなっている。このあたりの事情を伏せたまま、オメガのオーバーホール受け付け、正規より安価と表明されても違和感を覚える。さらには、数あるアフィリエイトサイトの記事もどんどん古くなるので、「機械式腕時計のオーバーホールの重要性を説く→正規料金はこんなに高い→○○時計店では正規に比べてこれだけ安い」という三段オチは、どうしても疑いの目で見てしまう。

これまでの流通では補修用部品が入手できなくなり、時計修理業がストックしている在庫もいつまであるかは不明。改めて部品を入手するとなれば、海外のいくつものブローカーを通じて手配しなければならず、そのコストは部品代に含まれてくる。すると、結局は正規オーバーホールとあまり大差ない価格に近づいてくるそう。社外製の互換(ジェネリック)部品もあるそうだが、それは本当に部品がないときの最終手段でしかない。

その腕時計はブランドや見栄で買ったもので、実は少々無理して入手したもの。だからメーカーの正規オーバーホールをはじめとする高い維持費までは払いたくないし、余計な費用はできる限り抑えたい。いざとなればリセールバリューが高いので、中古市場に手放せばいい。以上は完全に妄想…とはいえ、そんな実情があっても不思議ではなく、だから「正規より安い、早い」という価格競争状態になるのではないか。『サービス』への支払いを嫌がる日本人の特性も関係ありそうだが。

逆に分かっている人は、その正規料金が当たり前なので、わざわざ口にはしない。金持ちが、いいもの食ったといちいち写真撮ってネットにアップしないのと同じなのかもしれない。

さて、いまいち歩き慣れない銀座で、また道を間違えつつ、ニコラス・G・ハイエックセンターに到着。オメガは5階へと案内され、コンプリートメンテナンスサービス=オーバーホールを依頼。スピードマスター購入して3年目、一回目のオーバーホールだ。少々早いようだが、今までは慣らし運転期間として捉え、左腕に装着する以上、車の運転で衝撃を与えることがあり、そんな使い方で問題がないか診てほしいという会話も含めて。

オーバーホールの事前説明を受けて、現状診断で15分ほど待つ。そして、その場でカスタマー登録をして時計を預けることになり、合計30分ほど。何事も無ければ、四週間で仕上がるとのこと。