それはJDMにつき

4月6日の記事で書いたように、超長期運用を見据えた予防保全でエンジンのオーバーホールを計画したが、現状では部品が無いために作業不可となっている。

その後、疑問点や予想した点を含めて再度の問い合わせを行い、ある程度掴めた内容は下記のとおり。

B16B用純正ピストン

作業できない直接的な原因が、ピストンがないこと。

エンジンを分解したならばシリンダーのボーリング・ホーニング加工を行って、性能を取り戻すことになる。これら加工はシリンダー内壁をミクロン単位で削るため、純正ピストンに組み合わされるピストンリングでは隙間が大きくなってしまい、致命的なトラブルの原因になってしまう。

そこで、純正(スタンダードサイズ)ピストンよりも若干サイズアップした、オーバーサイズピストンが存在していた。オーバーサイズピストンに合わせたピストンリングを使うことで加工したシリンダー内壁でも正しく密着し、最高のパフォーマンスと耐久性を実現するようになっていた。

B16B用ピストン

B16B用の純正(スタンダードサイズ)ピストンは13010-PCT-000が設定され、純正に対して0.25mmのオーバーサイズでは13020-PCT-000となっている。この13020-PCT-000を入手できないために、作業が不可能となっている。

もちろん、ピストンリングも同様。むしろ密着性と摩耗のことを考えれば、ピストン以上に重要なパーツとなってくるが。

B16B用ピストンリングセット

スタンダートサイズピストン向けは13011-PR3-004で、オーバーサイズピストン用に13021-PR3-004となっている。ピストンとピストンリングがセットになって、はじめて意味が出てくる。

社外ピストンの供給元として有名なのが、戸田レーシング。もちろんB16Bエンジン用のピストンは販売されている。

戸田レーシングB16B用ハイコンプ鍛造ピストンKIT

▲画像は戸田レーシングB16A/B16B/B18C ハイコンプ鍛造ピストンKITより引用。

純正同等の81mmを含め、0.25mm違いで計4種類が販売されている。今度は圧縮比が問題になって、81.25mmでも参考圧縮比は11.1にも達する。純正状態の圧縮比は10.8で、1990年代後半のエンジンでは非常に高い数値。これ以上高めてしまうと、純正ECUでは対処しきれなくなってしまう。

同じく戸田レーシングからは、オーバーホール用に圧縮比を純正プラスアルファ程度に抑えたピストンキットを販売しているが、こちらはB16AとB18C(タイプR用)の二機種向けのみ。肝心のB16B用がないのは、単純に需要が無いため…とのこと。

B16AやB18Cであれば日本国内に限らず、世界中で使われているエンジンなので、輸出することで開発費用をペイできるのかもしれない。しかしB16Bは、EK9シビックRのみ。

今でこそJDMとは車両のカスタム手法、ジャンルを意味するが、EK9シビックRは日本国内専用モデル…本来の意味でのJapanese Domestic Marketだ。残存数に限りがあるB16Bのために、今のご時世にわざわざ高いコストを掛けてまで、新規でオーバーホール用ピストンを開発、発売するわけがない。

B16Bスタンダードピストンの残骸

もし戸田レーシングからB16B向けのオーバーホール用ピストンが販売されたならば希望が湧くが、そのような動きは特に無さそう。素人が自前でピストンを用意したとしても、素性が分からない部品を持ち込まれてもチューナー側が困る。

現状で知り得たのがここまで。純正ECUを交換してフルコン化はコスト面で非現実的、厚いガスケットを使っての圧縮比調整は考慮せず、0.5mmオーバーサイズピストンでは、今度はシリンダー強度の低下も不安要素…といろいろネガが出てくる。

今のところ、極端な性能低下が起きているわけではない。この先はどうなるかは全く見通せないが、少しでも寿命を延ばすためにやれることはやっておくつもり。