EK9は軽量化を追求するため、バッテリーサイズをベースグレード…EK4 SiRIIよりも小型化していることは有名で、Hondaで公開されているプレスインフォメーション(Factbook)にも軽量化の一環として図に示されている。
CIVIC TYPE R 1997.08 プレスインフォメーション 軽量化概念図より引用![]()
ベースモデルに対して数々の改良を加えることで軽量化を行っており、項目3番目にバッテリーの小型化が含まれている。
小型化されたEK9の純正バッテリーサイズを調査
では、ベースグレードたるEK4 SiRIIの純正バッテリーに対して、EK9 タイプRの純正バッテリーはどのようなサイズに変更されたのか。
まずはパーツリストを用いて、EK9純正のバッテリーサイズの調査を行った。
バッテリー項目のイラスト内にはバッテリーが描写されており、補給用純正パーツとして部品番号も設定されている。選択してみると、サプライヤーに応じて3種類の部品番号が出てくる。
各サプライヤーに応じた部品番号と共に、バッテリーのサイズが表示される。パーツリストによれば、EK9における純正バッテリーサイズは『38B20R』で、前期後期レースベース問わず共通サイズ、オープン価格となっていた。
次にベースグレードのEK4 SiRの純正バッテリーサイズはどうなっていたのか、こちらもパーツリストを参照する。
EK4 SiRの純正バッテリーサイズは『55B24R』となる。オープン価格設定やサプライヤーは変わらず。
38B20Rと55B24Rの重量差は2.5kg程度あり、EK9が軽量化のために軽いバッテリーを選択していることが改めて分かった。併せて、バッテリーの長さが40mmほど変わるため、バッテリーを設置するトレイや台座のサイズもEK9とEK4で異なるものが装着されていることも判明。
バッテリーを選ぶ
以上の調査から、EK9の純正バッテリーのサイズはB20Rとなる。しかしバッテリーの入手性や価格、重量を考えると、互換サイズ筆頭のB19Rのほうが好都合になる。
B19R規格のバッテリーの中から10kg以下の重量で、本来なら低下してしまう容量が減っていないという相反する要素を持つPanasonic caos Blue Battery N-60B19Rをチョイス。
専用梱包箱にて配送される。ネット通販によるサポート付与対象で商品登録を行っておけば、保証期間内はバッテリー上がりも対応してくれるそうなので、交換作業後に登録しておいた。
交換作業
車体から旧バッテリーを外すときは、エンジンを止めてキーを抜き、ライト等のスイッチはOFF。それからマイナス端子から外す…といった、交換作業の基本的な流れを解説した説明書が貼付されており、参照すれば間違いはない。
2022年 caos 標準車(充電制御車)用 C8シリーズより引用![]()
作業は自己責任であること、バッテリー端子からケーブルを外すとECUやナビ、後付け機器にメモリーされたデータが消えてしまう可能性があることが記載されている。
ここ数年のイマ車であれば、あらゆる電装品がコンピューターに接続されており、何も考えずにマイナス端子を外してしまうと電圧低下を検知してエラーログが残り、異常を示す警告が出ることもあるそうだ。
車載の説明書(メンテナンスノート)を参照すると、バッテリーの交換方法までは記載されていないが、端子の脱着手順が記載されている。バッテリーの説明書と同じく、マイナス端子側から外すように指示されている。
バックアップ電源を用意
『呪いのモチーフ(…ドラクエのアレ。おきのどくですが ECUのがくしゅうデータは きえてしまいました。)』は発動しないが、メモリーされているデータを維持したければ、バッテリーのバックアップ手段(例:エーモン【8864】メモリーバックアップ
)が必要になる。
シガーソケット(アクセサリーソケット)にバックアップ電源を接続するタイプでは、車体回路の構成上ひと手間増え、説明書の解説文とは一部違った流れになるので、このレポート上では取り上げない。
市販のバックアップ電源は決して安くはない。そこで端材やホームセンターの電設コーナーで揃う部品で、以下の写真のようなバックアップ電源を製作した。
9V(006P)の積層電池とバッテリースナップ、ケーブル、ワニ口クリップ、ダイオード。車体のバッテリーは12Vで積層電池は9Vと低いが、エンジン始動時にはバッテリー電圧が落ちるため、9Vでもメモリーは維持される。
プラス側ワニ口クリップは、バッテリーのプラスターミナルに直接接続すると、交換作業の邪魔になる。そこでバッテリーから離れた常時電源線へ接続する。EKシビックであれば、ABSのヒューズボックス内に常時電源線が来ているので、そこにワニ口クリップを挟む。
リレーボックス内のT-1端子(80Aヒューズのすぐ隣)も常時電源線になる。作業中にケーブルを不意に引っ張ってしまってワニ口クリップを外したり、バッテリーの各ケーブルと絡んでショート状態にならないよう注意する。
マイナス側ワニ口クリップは、ボディアースが成立する部分に接続する。ここではヘッドカバーとフレームを接続するエンジンアースケーブルに繋いだ。
これでバックアップ電源が成立し、メモリー内のデータを保ったまま、バッテリー交換が可能になる。
バッテリーの交換作業
電装系の作業は、何事もバッテリーのマイナス端子を切り離すことが鉄則。
1.最初にマイナス側ケーブル端子から外し、ケーブルはバッテリーから離しておく。
2.続いてプラス側ケーブル端子を外す。安全のために赤い樹脂カバーが装着されており、固定ナットは内部にある。外した端子がエンジンや車体の金属部分に触れないよう注意すること。
3.手前側ステーを外す。ネジ部から下は長い棒状で、台座に掛けるために先端はL字状に曲げられている。
4.パネル側ステーを外すが、台座部分の状況は狭くて見えにくいので、バッテリーを少し傾けるとチェックしやすい。これで固定プレートが外れ、バッテリー本体を車体から外すことができる。
新しいバッテリーを車体(台座)に載せる。把手(取っ手)はこの時点で外しておく。
5.パネル側ステーと固定プレートを取り付ける。ナットは仮締め程度にしておく。
6.手前側ステーを取り付け、ナットを締める。5番で仮締めしておいたナットと交互に締めていき、締め付けすぎに注意する。
7.先にプラス側ケーブル端子を取り付け、確実に固定していることを確認したら、すぐに樹脂カバーを戻す。
8.最後にマイナス側ケーブル端子を取り付け、しっかりと固定してから、バックアップ電源を取り外す。
バッテリーの固定ナットや端子の締め付け忘れ、バックアップ電源の外し忘れや工具の置き忘れが無いかチェックして、異常が無ければバッテリー交換作業は終了となる。
細かいマイナーチェンジが続くPanasonic caos Blue Battery
標準車(充電制御車)用バッテリーはCxシリーズとして、型番の末尾にあるxの数字で発売年度が把握できる。
下記の付記欄にも書いてあるが、交換する度にC5→C7→C8とバージョンアップしており、大きく変わったのがC7からC8に掛けて。
Panasonic caos Blue Batteryといえば減液抑制シート。モデル問わず液口栓の上部に貼られていて、剥がすとバッテリー液の減少を抑える効果が減るとのことだった。
C8シリーズからは減液抑制シートの機能をプラグ内に埋め込んだ仕様に変更され、減液抑制シートそのものが廃止された。液口栓が2mmほど高くなっているが、EKシビックでは固定プレートに干渉することはなかった。
C5シリーズ時代は補水不要とされていたが、C7シリーズでは補水不要の文字が無くなり、C8シリーズでは減液抑制シートを廃止してシンプルな液口栓になった。補水しやすくなったことから、結局は旧来からの開放式バッテリーのほうがコスト面や機能面で都合がいいのかもしれない。
付記
2007年12月16日→2014年6月22日(193,631km)
ENEOS VICTORY FORCE
2014年6月22日→2018年8月29日
(273,773km)
Panasonic caos Blue Battery N-60B19R/C5
2018年8月29日→2022年1月2日(337,141km)
ENEOS VICTORY FORCE SUPER PREMIUM II VFL-60B19R
2022年1月2日→2025年12月23日(397,717km)
Panasonic caos Blue Battery N-60B19R/C7
2025年の晩秋、セルの勢いが弱くなったことに気付き、バッテリーのインジケータをチェックすると赤色になって要交換(補水必要)判定になっていた。
その後、クラッチフルード漏れでクラッチが切れなくなり、セルモーターでの走り出し
を繰り返したことで更に始動性が悪化。要交換判定になっていたことや、使用から4年目になるタイミングだったことで寿命と判断、交換に至る。
2025年12月23日→現行
Panasonic caos Blue Battery N-60B19R/C8
★N-60B19R/C8…5時間率容量:36(Ah)、普通充電電流3.0(A)、応急的に急速充電を行う場合は30分以内に留めること。
〆
バッテリーが新品になると、まず変わるのがセルモーターの勢い。セルモーターはより甲高い音を立て、回転時間が短くなってエンジンが始動する。
ECU内のメモリーデータを消さずにバッテリーを交換したので、無学習特有のもっさりした走りはない。caosは電力供給が安定しているためか、低回転でのガクガクしながらの加速が無くなっていて、エンジンがより元気になった印象を抱く。
バッテリーの寿命はオーナーの車の使い方に左右され、10年オーバーの長寿命があれば、2年でダメになったということもあり、判断が難しい。交換目安は3~4年となっており、過去に突然死した経験を踏まえれば、長く使わずに交換目安をベースに判断したほうがいいのかもしれない。