2019年3月のアタマにレリーズベアリングの交換linkを行った。外していたミッションとエンジンを接合し、分解していたサスアームとナックルを装着していたところ、左側(助手席側)ナックルのボールジョイントのキャッスルナットが突然硬くなり、締め付け、緩めができなくなってしまった。この感触は仕事で散々味わってきたもので、ねじ山が潰れたか、異物を噛み込んでしまった状態と全く同じ。

動かなくなったボールジョイントのナット

これ以上、キャッスルナットが締め付けられなくなった。ナットとねじ山が互いに完全に噛み込んだらしく、緩めようとするとボールジョイントの軸そのものが回転するようになり、トルクが掛けられない。ナットを割る工具は無く、金ノコで切断しようにも残り時間が尽きていたため、ここで作業中止。

ナットが完全に固渋したことで、走行中にサスアームやナックルがすぐに脱落することはないだろうと判断し、このままディーラーへ向かうことにした。

作業打ち合わせ

パーツリストとサービスマニュアルを使いながら、ディーラーでの作業打ち合わせ。担当メカニックは「どこがダメなんです…?うわ、これか…」と現物を見た瞬間、目の色が変わった。

ナックル部のパーツリスト

今回、自分の手で壊してしまったのが、図中3番のボールジョイントのネジ部。単体で部品設定されているが、返ってきた答えはディーラーでの作業ができないとのこと。圧入されたボールジョイントを抜くための工具がなく、やるとなれば近隣の専用工場での対応になるという。

ボールジョイントの交換方法

サービスマニュアル上では、ボールジョイントの上下に脱着工具をセットし、万力にナックル一式を挟み込む。そして万力のハンドルを回していけば、圧入されていたボールジョイントが抜けてくる。どうやら、このリムーバ/インストーラ、リムーバベースなる工具が無いようだ。

もう一つの案が、図中2番のナックルCOMPで交換してしまうことで、これなら一日で終わる。問題はナックルが今も出るかどうかだが、幸いにしてまだ在庫はあり。ということで、ボールジョイントは、この交換パターンで依頼。

2.  51215-S04-N10  ナックルCOMP.,L.フロント  22,572円  1個
13.  90363-SF1-000  ナット,キャッスル 12MM  237円  1個
16.  94201-20180  ピン,スプリット 2.0X18  27円  1個
17.  94201-30200  ピン,スプリット 3.0X20  27円  1個
   その他  ショートパーツ類  計1,013円  

ハブベアリング部のパーツリスト

ナックルの交換に伴い、ハブベアリング系統の部品も併せて交換することになった。ハブベアリングはナックルに圧入され、取り外し時にはシールドと内部のリテーナーが壊れる構造になっており、移植できないため。

ただ、左側のハブベアリングが新しくなる一方で、右側は2014年2月中旬(185,450km)で交換したものlinkを継続使用することになり、左右で10万キロの走行歴差が発生する。後々のコンディション管理が面倒にならないように、併せて右側のハブベアリングも追加で交換を依頼した。

4.  44300-S5A-008  ベアリングASSY.,フロント  13,824円@6,912円  2個
5.  44600-ST7-R00  ハブASSY.,フロント  26,784@13,392円  2個
   その他  ショートパーツ  計630円  

これで事前打ち合わせは終了。実際の作業日はボールジョイントを壊した日…レリーズベアリングを交換してから二週間後。この期間はサスアームとナックルの脱落という最悪の事態に備えて、自宅とディーラーから救援できる範囲での走行に留めていた。サスアームとナックルが別々に動くたびに「ドゴッ!」「ドンッ!」と振動と共に大きな音が鳴っていた。

交換後の状況チェック

ナックルの取り外し、ハブベアリングの脱着については2014年2月中旬(185,450km)に行ったフロントハブベアリングの交換レポートlinkと同じなので、そちらを参照のこと。

新品のナックルとハブ

交換され、新品となったナックルは初めて見た。ハブ本体も新品になっているので、ブレーキローターの中心部から見えるリングもキレイな銀色になっている。

新品のナックル

新品だけに、鋳物特有の肌がハッキリ見えるようになっていた。路面やエンジンからの衝撃に耐え、それでいて粘りが要求される部分だけに、ただの鉄ではない。カーボンやシリコンといった成分をコンマ以下の配合で造られている、知恵と技術の結晶そのもの。

正常に戻ったボールジョイントのナット

固渋していたナットは、割ることなく外せたという。トルクが数百キロレベルのインパクトを使ったそうだ。ボールジョイントが新品になったことで、キャッスルナットは正しい位置に締め込まれ、割りピンで緩み止め措置も完了。これでようやく、安心して長距離走行ができる。

取り外したナックルやハブベアリング

続いて、車体から取り外された、ナックルやハブベアリングのチェックに進む。

ねじ山が潰れているボールジョイント

問題の、ボールジョイントの潰れたねじ山。4山ほど潰れており、これがキャッスルナットの締め込みができなくなった原因。うまくキャッスルナットが外れてダイスがあれば、修正できるレベルの損傷だ。

ロアアームからの取り外しのときは異常はなく、組み立て時も途中までは正しく締めることができた点から、ナットを斜めにセットしてしまったか。いずれにせよ、装着前にねじ山の清掃と点検を行っていれば、防げたトラブルだった。

ハブベアリングのインナーレース

距離にして98,062kmを支えた、ハブベアリングをチェック。フレーキングをはじめとする目立つ損傷は見つからなかったが、緩いカーブでは微かに「コッコッコッコッ…」という異音と振動があり、交換後は違和感が一切消えていたことから、ベアリングの構成部品のどこかに損傷があった可能性がある。

最初からレリーズベアリングの交換をプロに依頼していれば、今回のような二次損傷には至らなかったか。いや、レリーズベアリングの交換は、ミッションの脱着を自分でやってみたいという、単純な興味からのスキル習得が前提だったことで、全くの別問題だ。ねじとナットの扱いに慣れているときこそ危ないという勉強代、すぐに取り戻せる出費だったこともあり、あっさりと割り切った。

交換後に確信した、ハブベアリングからの微かな異音と振動について。一回目の交換となったのが、185,450km地点。目標としているゴール地点が月=384,400kmなので、残り198,950kmならハブベアリングの寿命と共に到着することになると考えていた。

しかし、サーキットで無茶な運転を何度も行っていたことがあり、今になって振り返ればハブベアリングに余計なダメージを与えて走っていたことで、僅か98,062kmで異音と振動が起きていた。ゴール前にハブとハブベアリングの寿命が尽きてしまい、廃車前に多大な費用を掛けて修理という、精神的ダメージの大きい事態に陥る可能性があった。ゴールまで残り10万キロ程度なら、ハブ、ハブベアリングのトラブルは起きないだろう。

走行距離:283,512km

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