スピードを上げていくと、足元からゴーゴー…ゴゴゴゴ…ゴロゴロ…と鳴るようになっていた。異音は、2011年に入る前から認識していた。三年以上も経てば、さすがに耳障りなレベルに達し、これ以上の我慢はできないことから交換に至った。
使用部品
フロントのハブベアリングは、ナックルに圧入されている。脱着には油圧プレス機を要するため、ショップに交換を依頼した。
(ホンダ電子パーツカタログより抜粋、引用)
| 1. | 44300-S04-A01 | ベアリングASSY.,フロントハブ(NTN) | 6,600円 | 2個 |
| 2. | 90681-SR3-A00 | サークリップ,スペシャルインターナル79MM | 390円 | 2個 |
| 3. | 44600-ST7-R00 | ハブASSY.,フロント | 11,300円 | 2個 |
| 4. | 90305-692-010 | ナット,スピンドル(22MM) | 420円 | 2個 |
作業状況
立会いは、作業の邪魔にならないように…。
分解されたフロントの足回り。ドライブシャフトのスプライン軸の錆は、丁寧に磨いて除去していた。
取り外されたナックル。中心にはベアリングが圧入されている。
ハブベアリングをいじってみると、ガタガタと動いた。組まれているときにはガタつきがなかったことから、末期状態ではなかったと考えられる。
組み立てを待つ新しい部品たち。ハブベアリングは、諸事情でとても馴染み深いNTN製だった。
油圧プレス機で、古いハブベアリングを抜く瞬間。
ナックルから抜かれた、古いハブベアリング。シールド部分が破壊されているので、中のコロが見えていた。ここからは折り返し。ナックルに、ハブベアリングとハブ本体を圧入して組み立てていく。
組み立てられたナックル。銀色に輝くハブ本体が美しい。あとはサスアームに組み込み、ブレーキキャリパー、ブレーキローター、タイヤを組み付ければ完成。
作業が終了し、ショップを出発していよいよ実走。ゴロゴロと絶え間なく鳴っていた異音が完全に無くなり、エンジン音、排気音、空力音、タイヤノイズそれぞれが心地よく耳に入ってきた。ラジオの音もハッキリ聞こえ、異音にかき消されていた女性DJの声も問題なし。ハブベアリングの回転がスムーズになったためか、停車状態からのゼロ発進がかなりラクになった。異音が収まると、それまで感じていたボロい印象が拭えるから、まだまだイケる気がしてくる。これだから古い車は面白い。
ハブベアリングの調査
異音の原因だったハブベアリングはショップから持ち帰って、自宅でチェック…整備屋の悲しい習性か。泥、グリス、錆といった汚れはブレーキクリーナーである程度除去し、調べやすくする。
ハブベアリングの向きは、写真で見えている方がドライブシャフト側、新聞と接しているのがハブ本体側となる。インナーレース(内輪)を外して、コロとご対面。メーカーはジェイテクト(旧光洋精工)、KOYOと刻まれていた。反対側のインナーレースはハブ本体にくっついていて、目立つような傷は一切なかった。
リテーナはプラスチック製。全周に渡ってヒビが入っていた。ヒビ割れた断面から、ナックルから外したときのダメージではないみたい。マイナスドライバーでコジってみたら、簡単に割れてしまった。アウターレース(外輪)に、目立つ傷はなし。ということは…。
思ったとおり、インナーレースに傷があった。フレーキングと呼ばれる現象だ。この25mmほどの傷が、走行時におけるゴロゴロ…といった異音の原因になっていた。
インナーレース表面をエグるようにして、傷がついていた。
なぜ、インナーレースにフレーキングが起きてしまうのか。
1.原因としては、過大なアキシアル荷重。
2.アキシアル荷重とは、軸に対して同じ方向の力。つまり、ドライブシャフトと平行となる。
3.例えば、減速をしつつ、旋回。このときにコーナー外側のベアリングに、アキシアル荷重がかかる。
4.経年劣化で封入グリスが流出し、潤滑不足に陥るとコロとインナーレースが直接接触を繰り返して疲れてくる。
5.疲労が限界を超えると、剥がれるようにして傷ついてしまう。
駆動と旋回を同じ軸で受け持つFF車なので、ハブベアリングの負担は大きい。サーキットを走らなくても、経年劣化で疲れてくるので、いつかは異常が起きる。フレーキングが起きてしまうのは、もはやFF車の宿命みたいなもの。そういうものだと割り切って、維持するしかない。
〆
サーキットにデビューしたのが2010年8月、もう少しで130,000kmに届こうかというときだった。それから現在までのサーキット走行回数は20回にも満たないが、ハブベアリングへの負担を増す結果になったのは間違いなさそう。街乗りメインでもサーキット走行を行うことを考えると、そう遠くない時期に再び交換することになるだろう(2019年3月16日追記、10万キロ持たずに交換
)。ちなみに、リアハブベアリングに関しては、まだ異常がないことから手を付けなかった。
走行距離:185,450km
