カウルトップパネルを外すと、助手席側にエアコン用の外気導入口が見える。場所柄、外気と接する部分なので、年月の経過と共に汚れが蓄積、ついでに常に空気が流れ続けることから、次第にスポンジパッキンの柔軟性が失われ、ひび割れが発生してしまう。

外気導入口

ひび割れたスポンジの状況。外気導入モードなので、ブロアモーターが奥に見える。
ひび割れだけならともかく、細かく砕けて流れてしまうとフィルターの目詰まりの原因になり、フィルターやエバポレータが無ければ、風にのって顔面や足元に向かって吹き出してくる。

スポンジ部分のみの部品供給はなく、新品はブロアケース一式での供給となる。ケースそのものも汚れていることから、スポンジの貼り直しといった現物修復は行わず、リフレッシュのために一式での交換を行うことになった。

現在はZE1インサイト用

結論から言うと、現在、EK系シビック用のブロアケース(ブロアーサブASSY./79305-S04-003、以下ブロアーサブASSY)は統合により、部品番号が79305-S3Y-003へ変更、ZE1インサイトと共通部品となった(ホンダからも、そのような回答を得ている)。ZE1インサイトは2006年7月まで製造が続けられて、応じて部品供給が長く続いた効果からか、部品価格が大幅に下落している。

ダンボール箱のステッカー

まずはダンボール箱の部品番号が記載されたステッカーをチェック。手元のパーツリスト上では中番がS04だったが、このようにS3Yになっている。特に急ぎではないが、毎度毎度緊急という扱いが助かる。

真っ白な新品ブロアーサブASSY

ダンボール箱を開封すると、新品のブロアーサブASSYが姿を現す。キレイな状態で部品単体を拝めるのは今だけ。外気導入と内気循環を切り替えるダンパに、構造変更が施されていることに気づく。

フラップ状のフタその1

謎のフラップ状のフタが追加されていた。ホンダに問い合わせてみたが、この構造変更に伴う案内できる資料は存在しなかったと返答が来た。フタは一方にしか開かず、写真は内気循環モードで、閉じたまま。

切り替えダンパを動かして、外気導入モードに設定してみる。

フラップ状のフタその2

車内側、内気循環モードのときの吸気口。切り替えダンパは閉じている。

フラップ状のフタその3

外気導入口側から見ると、フラップ状のフタが目立つ。

フラップ状のフタが開いたところ

外気導入モード、ブロアモーターが動作中…と仮定すると、空気が吸われてフラップ状のフタが自然に開くようになっている。つまり、外気導入モードでも、いくらかの室内の空気を吸引、外気と混合して吹き出す仕組みに変更されたようだ。

   79305-S3Y-003  ブロアーサブASSY.  10,584円  1個
DENSO  DCC3002  カーエアコン用クリーンエアフィルター  3,040円  1個

交換

春先の定例メンテナンス、エバポレーターの洗浄作業linkに併せて、交換を行う。

グローブボックス類の取り外し

ここまではエバポレーターの洗浄作業における、グローブボックスの取り外し手順をそのままだ。

ブロアモーターを外す

少しでも作業性を向上させるため、この時点で外せる部品は片っ端から外していく。
赤色丸のネジを外し、ブロアハイリレー(後期型のみ)をブロアーサブASSYから外す。黄緑色のコネクタはブロアモーターの電源線で、これも外す。そして黄色丸の3本のネジを外し、ブロアモーター本体をブロアーサブASSYから外す。同時に、ECUのカバーも取り外しておく。

モードモーターを外す

黄色丸のネジ2本を外し、外気導入と内気循環を切り替えるモードモーターを外す。ブロアレジスターに接続された、黄緑色のコネクタを外す。

本来の作業の流れは、エアコンの冷媒ガスを抜いておき、エンジンルーム内で冷媒配管とエバポレーターを切り離し、エバポレーターケースを車体から外してから、ブロアーサブASSYを外すという手順となっている。本気でエバポレーターの洗浄linkをするならともかく、ブロアーサブASSYのみの交換となれば、冷媒ガスの抜き取り→再チャージは回避したい。

ブロアーサブASSYの取り外しその1

そこで冷媒配管にはノータッチで、ブロアーサブASSYだけを取り外す方法を採る。ダッシュボードの裏側を覗き込むようにして、ブロアーサブASSYを固定している上部側のボルト2本(黄色丸)とナット(白色丸)を外す。後の分割撤去パターンに備え、予め橙色で囲った、3つのクリップを外しておく。

ブロアーサブASSYの取り外しその2

今度は下部側のボルト2本を外す。これでブロアーサブASSYが外れるわけではなく、ただその場で左右にガタガタと動くだけ。

ブロアーサブASSYのクリップその1

ブロアーサブASSYから先に3つのクリップを外しており、今度は裏側の3つのクリップを外す。交換品と見比べつつ、手探りで位置を把握しておく。これでブロアーサブASSYが上部と下部に分割することになり、最初に下部から外し、続いて上部を外すという、取り外しを二回に分けるパターンだ。

装着されていたECUをハーネスを接続したままフロアに降ろし、ついでにエバポレーターケースのネジを外して下部を少しだけ開いておき、ブロアーサブASSYが動かせる範囲を広げておく。知恵の輪の要領で、予め分割したブロアーサブASSYの下側部分、上側部分と順次撤去していく。ブロアーサブASSYとエバポレーターケースの接続部分には、冷媒ガスの配管がある。曲げや傷をつけないよう、細心の注意を払いながら作業を行う。

ブロアーサブASSYの取り外し完了

ブロアーサブASSY撤去完了!上半身を大きく反ったまま、腹に力を入れるような格好が続いたせいか、頭に血が上ってしまい鼻血に見舞われることに…。作業着手から、一時間が経過していた。

止血と小休止後、ここから折り返し。ブロアーサブASSYの装着作業に入る。

ブロアレジスターの移植

ブロアレジスターを移植する。後期型は大型ヒートシンクがついたパワートランジスタだが、前期型はコイル状になった抵抗線が剥き出しなので、断線等のダメージを与えないように注意。

ブロアーサブASSYの上部側を装着

新品のブロアーサブASSYについても、6つのクリップを外して上下に分割しておき、上部側から車体へ装着していく。取り外しでコツを掴んだおかげか、装着にはさほど苦労していない。

新品フィルターを装着

続いて、下部側も装着。春先の定例作業の一環なので、エバポレーターにスプレー洗浄剤を噴射しておき、新品フィルターも装着する。

ブロアモーターやモードモーター、ECU等、外していたものをどんどん装着して元に戻していく。ハーネス類を再装着して回路が戻ったら、グローブボックスを装着する前に試運転を行う。

フラップ状のフタその4

最も気になるのが、フラップ状のフタがどういう動きをするのか。まずはブロアモーターを止めた状態をチェックし、フタが閉じていることを確認する。

フタが開いたところ

外気導入のままブロアモーターを動かすと、風量設定に応じてフタが開いていく。思ったとおり、外気導入モードでも室内の空気を吸うように変更されていることが分かった。

特に夏場、熱せられた外気だけを吸ってエバポレーターで冷却するよりも、冷えた室内の空気も同時に取り込むことで温度を僅かでも下げて、冷房効果を少しでも向上させようという意図だろうか。

廃棄前のブロアーサブASSYチェック

スポンジに見えて…

作業前はひび割れたスポンジに見えたが、実際は20年弱分の粉塵、小石や砂だった。スポンジは痩せて殆ど残っておらず、代わりに粉塵等が厚く堆積しており、これで密閉効果が維持されていたことにどん引きした。フィルターが無ければ、脱落した粉塵がブロアモーターによって車内へ拡散していた可能性がある。吸気口周囲のスポンジパッキンは消失が始まっており、交換しておいて正解だったかもしれない。

内部シャーシの錆び

内部の金属シャーシには、錆びが出ていた。しかも、水が飛び散ったような痕跡から錆びが発生しており、長年の運転で結露や外気からの水分によるものだろうか。プラスチックのフレームに囲まれているので、車体への直接的な影響はなし。

内部シャーシの錆び

ブロアーサブASSYの下部側においても、黒い粉塵まみれ。ブロアモーターを外して手を突っ込めば清掃できる部分で、過去に何度か拭き掃除を行っていたことから、派手な汚れは見つからなかった。

落ち着いて振り返ってみれば、作業性の悪さは間違いなくワースト記録で、保護手袋をしていても手の甲が傷だらけになっていた。冷媒ガスを抜いてエバポレーターASSYを外す…という本来の作業手順なら、ここまで苦労はないと思われる。

時間の経過と共に、純正部品の価格は値上げしていくことになるが、今回はブロアーサブASSYがZE1インサイトにも使われていることで、価格が安くなって助けられた。手元のパーツリストと比べても、5,000円近くの値下がりとなっている。

ZE1インサイトのエアコンフィルターの交換レポート外部リンク:継続は力なりを読むと、EK系シビックと殆ど変わりないことが分かり、90年代の設計が残っていたことが見えてくる。古い設計の部品を長らく有効利用するパターンは、ワイパーリンクの交換linkに続いて二度目だ。またもや、ホンダ特有の設計の凄さを実感することになった。

走行距離:265,301km

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