エアコンフィルターは長らくDENSO DCC3002(014535-1010)を使い続けてきた。

EK9+DENSO DCC3002

フィルターは1年周期で定期交換しており2024年3月、2024年度用に注文したところ「生産終了」「手配不可」という、完全に想定外の返答が着信し、入手ができなくなったことが判明する。

DENSO DCC3002は生産終了

次回生産予定がないためお手配できない商品となってしまいました。』と酷なメッセージが。ここでDENSOを責めるのは筋違いで、そもそも25年前もの車種用であり、単純に需要が無くなった都合だろう。

他の部品商会にも問い合わせてみたが「入手できません」という似たような返答が次々と着信し、さっそく代替品を探すことになった。

EKシビックに限らず

表題にはEKシビック用と書いたが、実際はEKシビックに限った情報ではない。EKシビックをはじめとする共通コンポーネント車両向けの情報となり、RD1/2型CR-V、EL1/2/3型オルティア、MB3/4/5型ドマーニ、EK3型インテグラSJ、ZE1型インサイト、そしていすゞのMJ4/5/6型ジェミニに適用される。

なぜ調べるのか

Web通販上でのフィルター本体の写真は代表的な形状のみが掲載されており、商品が実際に到着するまでは詳細が分からないことが多い。

商品掲載例

商品写真として、このような掲載パターンをよく見る。

EK9+DENSO DCC3002

DCC3002の実態。先に掲載されている商品写真例と比較すると、その印象はだいぶ異なる。緑色のろ材部分は共通ながら、周囲を覆う灰色のスポンジシールがあり、背面は黒いガイドパーツが装着されていることで、エアコンダクト内にしっかり収まるようになっている。

つまり廃番になったDENSO DCC3002と同様の構造、フィルター部分の周囲がスポンジシールで覆われ、背面にプラスチック製のガイドパーツが存在していることが、代替品としての最低条件となる。

コスモ石油CCA3002

コスモトレードアンドサービス(コスモ石油系)のCCA3002は、DENSOのOEM。よって形状はDCC3002とほぼ同一であり、フィルター周囲のスポンジシール、背面のガイドパーツがそれぞれ接着されている。

このようなフィルター構造なら安心して使えるが、中にはフィルター部分だけの商品も存在する。

BLITZ ハイブリッド エアコンフィルター

▲画像は、BLITZ ハイブリッド エアコンフィルター外部リンク:BLITZ ハイブリッド エアコンフィルターより引用。

BLITZ ハイブリッドエアコンフィルターでの商品例。光触媒消臭や水洗いによる再利用可能と素晴らしい特長が揃い、これは良さそうだ!と、実際に取り寄せてみると唖然とさせられた。

BLITZ ハイブリッド エアコンフィルター HA302

適合品番はHA302。箱から取り出してみると、フィルター部分しかない。スポンジシールやガイドパーツが無い。商品写真と全く変わらない。

HA302は隙間だらけ

実際にエアコンダクトにセットしてみると、このように隙間だらけ。

隙間だらけ

本来ならフィルターでエバポレーター全体を覆わなければならないが、このHA302を使うと露出してしまう。このような露出部分に汚れが蓄積しやすく、一旦内部に詰まってしまうと分解しない限りは清掃することができない。

こういったエアコンフィルターが世の中に存在していることが、使い慣れたDENSO DCC3002以外の選定を難しくしている。検索で知れる情報量も少なく、それならばと気になったエアコンフィルターを実際に購入してみて、調べてみることにした。

部品倉庫内でエアコンフィルターを一時保管

調査用として入手したエアコンフィルターは、部品倉庫と化しているクローゼット内に積み上がっていた。

株式会社車楽院 CAR PLUS プレミアムエアコンフィルター

調査第一弾は株式会社車楽院。

CAR PLUS

CAR PLUS プレミアムエアコンフィルター外部リンクCAR PLUS プレミアムエアコンフィルターだ。

Yahoo!ショッピングや楽天といったWeb通販サイトでヒットし、2,000円以下で購入可能。この価格ながらフィルターに活性炭を配合したことで、脱臭や抗菌に対応しているとのこと。

Yahoo!ショッピングを通じて注文しようとしたが、事前注意事項が地味に強烈。

キャンセル不可

いかなる場合でもキャンセル不可』とのこと。注文前に在庫の有無を確認することが唯一のキャンセル適用手段だが、そういった問い合わせをすることなく購入手続きを行って、万一販売終了だったとしてもキャンセルは不可能なのだろう。

EKシビック用CAR PLUS プレミアムエアコンフィルター

商品名には『エアコンフィルター シビック EK2 EK3 EK4 EK9 炭』と掲載され、EKシビックの型番が多数並んでいるからコレだろうと判断。そして在庫の有無を確認することなく、購入手続きを行う一種のガチャを実行。幸い、翌日には到着したが。

パッケージはシンプルな白い箱で、品番として『30080203007』とホンダ純正部品番号の『08R79-S04-A00』が印刷されたステッカーが貼り付けられている。フィルターの交換方法を印刷したA4の説明書が一枚同封。フィルター本体は、スポンジシールとガイドパーツが組み合わさっており、フィルター本体の色も相まってDENSO DCC3002にそっくり。

300…で続く品番から、チューニングショップのKTSから販売されているstrike エアコンフィルターもヒットした。供給元は同じである可能性が高い。

BOSCH アエリストプレミアム

エアコンフィルターのラインナップ数では、DENSOと同じくらい豊富なのがBOSCH。世界最大の自動車部品サプライヤーで、何気に身近な企業。同社のエアコンフィルターは、オートバックス等のカー用品店でも多数陳列されている様子を見かけることがある。

Web通販サイトでもヒットしやすいが、ここでも掲載されている写真は代表モデルのみ。

BOSCH エアコンフィルター

▲画像は、国産車用エアコンフィルター アエリスト プレミアム (抗ウイルスタイプ)外部リンク:国産車用エアコンフィルター アエリスト プレミアム (抗ウイルスタイプ)より引用。

この写真があちこちで使い回されている現実。フィルターの付加機能の違いで4種類もの商品があり、最大の問題は公式Webサイト上での車種別適合品サーチ外部リンク:BOSCH 製品カタログ自動車部品とアクセサリーで、EKシビック向けのエアコンフィルター適合情報が登録されていないこと。

BOSCH エアコンフィルター

最も古いシビックの登録データは7代目の"スマートシビック"、EU/EN系となっており、それ以前のモデルは未掲載。ENシビックとは天然ガスエンジン(D17A)仕様の型式だが、ここに掲載されているマニアックさが極めて興味深い。

もう一つ、4種類の商品差について。

∧高額多機能
│ 1.アエリスト プレミアム(抗ウイルスタイプ)
│ 2.アエリスト フレッシュ(抗ウイルス・抗菌・脱臭タイプ)
│ 3.アエリスト フリー(抗菌・脱臭タイプ)
│ 4.アエリスト コンフォート(高集塵タイプ)
∨低額少機能

非常に迷うところだが、DENSO DCC3002と同等の付加機能…PM2.5対応の高集塵、脱臭、抗菌・防カビ、抗ウイルスを求めると、アエリスト プレミアムかアエリスト フレッシュのどちらかになる。

さらにアエリスト プレミアムとアエリスト フレッシュの違いを比較すると、アレル物質抑制機能の有無の差。それならばアレル物質抑制機能もあったほうがいいと判断し、アエリスト プレミアムを取り寄せてみる。

BOSCH エアコンフィルター アエリスト プレミアム AP-H01

適合品番はAP-H01で、実売価格は4,000円程度。交換方法を記載した説明書、交換日や総走行距離を記入するステッカーも同封されている。

ガイドパーツや周囲のスポンジシールの状況

フィルター背面のガイドパーツは白、フィルターの逆差しを防ぐ凸状の部分がない。周囲のスポンジシールは健在で、BOSCHの文字と風向を示す矢印が印刷されている。

大手サプライヤー製のエアコンフィルターだけあって、作りや梱包状態は上々。よってDENSO DCC3002の代替推奨フィルターその1と判断した。

ただ、車種別適合品サーチでデータが未登録であった点から、ゆくゆくは廃番になっても不思議ではないと警戒心が残る。追加で代替品を探すことになった。

パシフィック工業 エアコン用クリーンフィルター

引き続き検索していると、やけにヒットするのがPMCというブランド名のエアコンフィルター。

アルファベット3文字のブランド名から中華製かと警戒するが、調査を重ねていくとパシフィック工業株式会社外部リンク:パシフィック工業株式会社という、日本の企業であることが判明。

パシフィック工業株式会社公式Webサイト

indexページ部分内に車種別品番検索欄が掲載され、使い勝手の良さが光る。レスポンシブウェブデザインに対応していないのが難点だが、見れないほどではない。

車種適合品サーチ外部リンク:パシフィック工業株式会社の車種別適合品サーチでの検索は、PC-501BとPC-501Cの2種類のエアコンフィルターがヒットした。

パシフィック工業、エンジンの記載ミス

EK9では、ご丁寧に前期型と後期型を分けて掲載しているが、前期型のエンジンがD16Bというミスを発見。この手のページではよくあることなので、この項目は無視。

2種類のエアコンフィルターでBタイプは集塵のみ、Cタイプは活性炭による脱臭、抗菌・防カビ、抗アレルゲン、抗ウイルス機能が付与される。Bは基本を示すBasic、Cは活性炭を示すCarbonの頭文字か。

ここでもDENSO DCC3002と同じ機能を求めてPC-501Cをチョイスするが、やはり製品写真は分かりにくいものだった。

パシフィック工業PC-501Cの製品写真

各Web通販サイトより引用。パッケージに印刷された品番のPC-501Cはなんとか判別できる。フィルター本体の形状は、ガイドパーツが装着されている様子は分かるものの、詳細は不明。さっそく購入手配を掛ける。

パシフィック工業PC-501C

適合品番で示されたPC-501Cが到着。実売価格は3,400円程度。交換方法を記載した説明書、交換日や総走行距離を記入するステッカーも同封されている。

フィルター背面のガイドパーツはOK、周囲のスポンジシールも接着されて問題なし。ろ材を囲う枠部分が硬めに成形されており、曲がりにくくなっているのも嬉しいポイント。

パシフィック工業PC-501Cの背面ガイドパーツ

背面のガイドパーツをよく見ると、ダクトへの逆差しを防ぐ凸部分が成形されている。BOSCH AP-H01には存在していない部分で、しっかり考えて設計してあることが分かる。

パシフィック工業PC-501Cの適合車種

パッケージに記載されている、適合車種一覧。EKシビック用のエアコンダクトと共通部品を使用する、計6車種に適合する。省略されがちなZE1インサイトまで欠かすことなく記載。そして最も驚いたのがMADE IN JAPANの文字だった。

フィルター系部品の専業メーカーであり、作りの良さ、検索におけるヒットのしやすさ、しかも国産品と特長が並ぶ。DENSO DCC3002の代替推奨フィルターその2と判断する。

まだ現役?既に四半世紀前の車ですが

EKシビックが発売されたのは1995年9月。その1995年は阪神淡路大震災、オウム真理教による地下鉄サリン事件Windows95の発売という、極めてインパクトのある出来事が続いた年だ。

当時のカーエアコン用フィルターは別途オプション品として、その車の付加価値を上げるためのもの。新車カタログに掲載されているようなレベル。今どきの車のようにエアコンフィルターが標準装備ではなく、グローブボックスは簡単には外れず、すぐには交換作業ができない構造となっている点でも、あまり重要視されていなかったことが伺える。

初登場から四半世紀が経過し、現役の実動車両はどれだけ残っているのだろう。車が減ってエアコンフィルターの需要がなくなれば、供給メーカーも販売を終了する。その筆頭がDENSOだった。企業もボランティアではないので、この先いつまでも買えるという楽観的な希望は持たないほうがいい。

廃番となったフィルターたち

廃番となったDENSO DCC3002、ホンダHAMP H1722-P2J-013。純正部品だけでなく定期交換用の消耗品まで減っていくことは、旧車を維持する難易度の高さを改めて実感させられることになった。

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